2015年4月18日 (土)

聴診器でテロと闘う(1)

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4月8日からイラクの難民キャンプの巡回診療に入った。
その様子を紹介していこうと思う。
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15日、アルビルから車で3時間かけてドホークへ、さらに2時間かけてシリア国境沿いのある村に入った。
川が流れており、その向こうはシリアである。
この村の難民キャンプを訪ねるのが目的だった。
この難民キャンプには、診療所がない。
移動診療車も行っていない。
我々が訪ねることを知ると、JIM-NETが長年、クルド人自治区で、大きな支援をしてきたことを評価してくれ、ドホークの保健局のドクターと看護師2人が同乗することなった。
ドホークには、かなりしっかりしたネットワークがある。
プライマリケアセンターがあり、難民救済にも力を注いている。
同行した若いドクターも、週3日、難民キャンプの診療所で仕事をしているという。
しかし、保健局はこの村の難民キャンプに関しては認知していなかったようだ。
「日本人がこういうところを見つけるって、すごい」と感心された。

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難民キャンプに着き、診察を行った。
2人の高齢女性。
一人は高血圧で、もう一人は糖尿病だった。
ぼくは、二人に、塩分を減らすこと、体重を5キロ減らすこと、野菜を多く食べよう、と話した。
神妙に話を聞いていた2人は、ぼくの話の後、こう言った。
「それで、私たちに何をくれるの?」
大笑いになった。
長野県でやるような健康づくり運動は、イラク人の感性に合わないようである。

1504164fullsizerender テントに日の丸。日本からの支援が入っている

でも、ぼくはあきらめない。
薬を配ればいいという地域医療は、墓穴を掘ると思っている。
今、薬が足りないので、薬を提供することはとても大事だ。
薬を提供することで、「自分たちは見捨てられていない」と感じることができる。
しかし、そこから一歩前進して、少しでも自分の健康をよくしようとする意識は、その場の薬より意味が大きい。
「聴診器でテロと闘う」とは、単に注射や薬を多用するということではない。
その人の生活を見直す「行動変容」を促す、本当の意味での医療支援を難民キャンプで行いたいと思っている。

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2015年4月17日 (金)

アハメド君が英語の教科書に

高校の英語の教科書「WORLD TREK」(桐原書店)に、
「アハメドくんのいのちのリレー」が収録されている。
高校生の英語の勉強に役立ててもらるのはうれしい。

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「アハメドくんのいのちのリレー」(集英社)という絵本は、まず日本語で出版し、
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田先生の応援により、英語、アラビア語、ヘブライ語という3か国語バージョンが作られた。
パレスチナとイスラエルに平和が訪れてほしいという願いを込めてつくったので、
その思いが、高校生に伝わるとうれしい。

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2015年4月16日 (木)

ISのある世界を考える(21)

5年後、東京オリンピック・パラリンピックが開催される。
世界中からたくさんの人たちに来てもらわなければならない。
どんなにテロ対策を講じて、水際の警戒レベルを上げたとしても、
完璧に防御する方法はないと考えたほうがいい。
東京オリンピック・パラリンピックを無事に終わらせるためには、
日本が非軍事で、すべての戦争に加担していないという旗色を明確に示すことが大事だろう。
そして、人道支援を世界の先頭を走ってやり続けることだ。

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日本卓球協会は、クウェートへの遠征を中止した。
アラブへ行くのが怖いと考えてのこの行動は軽率である。
観光立国を目指し、オリンピック・パラリンピックを成功せさようとするならば、
アラブや、16億人のイスラム教徒たちが日本に来てくれることが大事なのである。
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『「イスラム国」よ』(河出書房新社)にそのことを書いた。
この本を4冊も買ってくれた関西の女性から手紙が来た。
感動したので、いろんな人に勧めてくれているという。
関西の紀伊国屋で立ち読みしている人に話しかけると、高野山でのぼくの講演を聞いてくれた人で、買おうか迷っていると答えたという。
この本は、印税がISにより日常を奪われた子どもたちの支援のために使われるので、「ぜひ、買って」と勧めてくれたとか。
さらに、『1%の力』(河出書房新社)も同様に印税が人道支援のために使われるので、合わせて勧めたら、
二冊とも買って行かれたとか(笑)。
ありがたいことだ。
こうした読者がいるおかげで、『「イスラム国」よ』はもうすぐ増刷の可能性が出てきた。
今後とも、応援をよろしくお願いします。

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