2019年5月25日 (土)

鎌田實の一日一冊(349)

「100年未来の家族へ ぼくらがつくる“弁当の日”5.7.5」(竹下和男著・写真、宝肖和美写真、自然食通信社


著者の竹下先生とは何度もお会いしたことがある。
元校長先生で、「弁当の日」というのをつくり、食の大事さや作る人、食べる人の身になることの大切さを教えてきた。
その弁当の日は全国に広がった。
本書は、18年間撮りためた写真と子どもたちの残した言葉からすくいあげた川柳で構成している。

竹下先生の言葉はやさしくて、あたたかい。
目玉焼きがごはんの上にのっているだけの弁当に添えられた川柳は、
「自立度にあふれたおかずのある弁当」
病弱だったぼくの母がよく作ってくれた、ごはんの上にコロッケが一個のっているだけの弁当を思い出した。
この人の置かれた状況で、精いっぱい作っている弁当だと感じた。

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肉、ナス、玉ねぎの焦がしすぎた焼肉弁当には
「失敗する権利、子どもにあるのです」とある。
いいなあと思う。
これこそ教育なんだと思った。

弁当の日に、みんなの弁当を並べて撮った写真には
「並べたらみんなちがってみんないい」
弁当づくりを通して発見すること、成長することのなんと多いことか。
子どもたちにとって初めての弁当づくりの日は、革命の日だと思った。

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2019年5月24日 (金)

鎌田實の一日一冊(348)

「お別れホスピタル2」(沖田×華、小学館)

週刊スピリッツに連載中のコミックの第2巻。
主人公は、がんの患者さんだけでなく、老衰に近い人もいる終末期病棟で働く若い看護師。
一話読み切りの物語だ。
その中のひとつ、若い主人公の担当患者が飛び降り自殺をしてしまう。
大きなショックを受けた彼女は、自分の人生や仕事を見つめ直しながら、拒食症で自傷行為を繰り返している妹のことも考える。

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命とは何か。
最近、『DEATH 「死」とは何か』(文響社)とい本を読んだ。
イェール大学で道徳哲学を教える著者は、自殺について哲学的に、倫理的に、道徳的に分析していく。
多くのページは自殺に対して否定的な論調だが、ときには同意せざるを得ないときがあるとしている。
日本人は死についてあいまいだというが、この「お別れホスピタル」は死について考えるきっかけをくれると思う。

頼まれて帯を書きました。
「躓き、絶望、死を語っているのに、面白くて、優しくて、深くて、切なくて、泣けてくる、不思議な物語」

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2019年5月23日 (木)

行動変容は一歩ずつ

JIM-NETの現地スタッフのバンさんの家庭に、モスルからの国内避難民の人たちが集まりました。
この人たちはクリスチャンのため、ISがいた時期にはかなりの迫害を受けました。
そのためもあって、チームワークがとてもよく、明るく、みんなで助け合おうとしています。
ぼくは難民キャンプでヘルスプロモーションの話をしていますが、
この人たちにも健康と食の話をしてほしいということで、バンさんの家庭で小さな集まりを持ったのです。

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1時間ほど、パワーポイントを使って、健康の話をしました。
食事は野菜たっぷりで、たんぱく質が大事、という話です。
その後、バンさんと打ち合わせをして作ってもらった野菜たっぷりの料理を、実際に食べてもらいました。
イラクの料理は油を多く使うので、油をどれだけ減らせるか。
どうやって減塩するか、が大きなポイントになってきます。

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そして、日本の講演でもやっているように、みんなでスクワットやかかと落としをやってみました。
みんな話の内容に納得したようで、ぼくも大満足です。
しかし、最後に、ショックで絶句してまう出来事が。
終わって別室に集まると、そこには大量のスイーツがあり、これを食べきってしまったのです。
基本的にお酒を飲まない国なので、甘党が多いのです。
この日も各自体重を測りましたが、女性でも80㎏以上でBMIが30を超えている人が何人もいました。
でも、あきらめてはいけません。
ぼくのレクチャーを受けた32人のうち28人で、大きな効果が出ています。
バンさんの娘さんは12キロ痩せました。

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「太って当たり前」という意識を変えることから始まります。
これから、イラクでヘルスプロモーションが根ざし、
イラクでもスクワットやかかと落としのブームがやってくると面白いと思いました。

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