2009年12月15日 (火)

バグダッドの爆破テロ

12月8日、バグダッドで起こった連続爆破テロに関して、連絡が入った。
バグダッドには、アブ・サイードという現地人スタッフがいる。
彼が、骨肉腫で片足を切断している12歳の女の子アヤに付き添って、マンスール病院に行っているときに、爆破テロが起こった。
病院から帰ろうしたが、すべての道が通行止めになっていたという。2

今、信州大学で研修中のドクター・ナジャハの家から50メートルほどのところでも爆発があった。
家の窓やドアは爆風で壊れてしまったという。
ナジャハの子どもは学校に行っており、無事だった。
ご主人は、その場にいたが、なんとか怪我をしないですんだという。
この連続爆破テロで、130人が死亡し、500人の負傷者がでたという。

アヤは、昨年のバレンタインチョコレートに絵を描いてくれた。
今回の大きなテロで、また、怖い思いをしたと思う。
今年のバレンタインチョコレートの缶に絵を描いてくれたのは、サブリーン。
この10月に目のがんで亡くなった。
Photo 彼女の遺していった絵は好評で、たくさんの方が「かわいい」と言って、注文してくれている。
すでに2万個の注文を突破した。
永六輔さんが、TBSラジオの「土曜ワイドTOKYO 永六輔その新世界」で毎週話をしてくれているらしい。
永さんから話を聞いた、という注文のファクスがたくさん入っている。
ありがたいことです。

その永さんのラジオ土曜ワイドに、12月19日午前8時半ごろ、山口県から電話出演する。
ぜひ、聴いてください。

バレンタインチョコレートについては、こちらをご覧ください。

http://www.jim-net.net/notice/09/10campaign_yokoku01.html

2009年12月14日 (月)

お寿司の日

091209image465 毎年恒例のお寿司の日があった。

寿司ネタは、小学校時代の親友、宿谷賢一君が送ってきてくれた。
宿谷君は「鎌田が施設長をやっているなら応援してあげるよ」と言って、15年近く、鯛やカニ、マグロ、イクラなどを大量に送ってくれている。
シャリは、秋田に講演に行ったときにいただいたお米。
もみつきのままとっておき、お寿司の日の前日に精米した。

これをボランティアで握ってくれたのは、病院のすぐ近くにある玉川寿司のオヤジさん。
朝5時から、三升を五回炊いてもらい、約2000個のお寿司を握ってもらった。

ぼくは一人でうまく生きれない人間で、子どものころから親友に守られてきた。
宿谷君とは、一緒に野球部に入った。ぼくがショートで、宿谷は一塁。
彼は、とにかく足が速かった。
先見性のある男で、ウナギの養殖の会社をやったり、野菜を刻んでパック詰めをする会社をやったりした。
しかし、時代よりも3歩くらい先を走ってしまうために、事業としてはうまくいかず、何度も失敗した。
今のダイヤフレッシュフーズという会社をつくって、成功した。

「オヤジもお袋も亡くなって親孝行できないから、その代わりだ」と言って、施設のお年寄りの喜んでもらってほしいと、新鮮な魚を送ってくれる友人の言葉がうれしい。

お寿司の日、お手年寄りたちは大喜び。
「最高、最高」とはしゃいでいる。
足が不自由でふだん歩かない人も、握っているカウンターのところまでやってきて、「カニがいい」とか、「マグロがいい」とか、注文している。
この日は、特別にお酒の好きな人はビールも飲めるようした。
血圧が高い人が一人いて、ドクターストップがかかりそうになった。
「こんな日には、いっぱい飲みてえな」と、口数が少ないおじいちゃんが言うので、
「じゃあ、一口だけ」と飲んでもらった。
「生きててよかった」と、うれしそうな笑顔がこぼれた。

2009年12月13日 (日)

この人に会いたい(16)米長邦雄さん

日本将棋連盟会長。
『癌ノート~米長流 前立腺癌への最善手』(ワニブックス)という本を読んで、おもしろいなと思った。
66歳で前立腺がんになった。しかも広範囲の前立腺がん。
手術をすすめられたが、いろんな情報を集め、セカンドオピニオンを受けたりしながら、
放射線治療も選択の一つと考えた。Photo_2

ブラキセラピー(小線源療法)の、埋め込み式の低線量率組織内照射は、がんが前立腺の両側にあるために弱すぎる。
がんの進行を止められないといわれた。
彼は、手術に傾きかけるが、高線量率組織内照射という放射線治療があることを知る。
最近の前立腺がんの手術は、神経温存療法も行われるようになり、尿モレや勃起不全などが起こりにくいといわれている。
それでも2、3割は、機能不全を起こす可能性がある。

そこで彼は、情報を集め、セカンドオピニオンを受け、自分にとっての最善手は何か、選択しようとする。
勝負師米長は、正しい情報と客観的な判断、そして、最後にそのドクターのもっている運気をみて決めたという。
運気というのは、おもしろい。

米長さんは、笑いながら言った。
「タイガーがいま、大騒ぎされているが、運気のない女性と付き合ってしまったことが問題なんだ」
「そうですか、じゃあ、あげまんの女性と付き合わないといけないですよね」
と、ぼくは切り替えした。

以前、ぼくは62歳の男性の奥さんから手紙をもらったことがある。
やさしかった夫が、このごろイライラしているという。
ぼくは、定年退職後、精神的な過渡期で、暗くなったりすることがある、長い目で支えてあげてください、と手紙で返事をした。

また、奥さんから手紙が来た。
孫にもやさしかった夫が、孫を怒鳴ったり、私を怒鳴ったりする。L1080191
実は、話しづらいのですが、と前置きし、夫はセックスができなくなった、と書かれていた。

その書きづらいことを書いてくれたことで、ようやくピンときた。
前立腺がんでホルモン療法をしているので、薬の影響もあると思った。
泌尿器科の先生と相談をして、すぐに改善することができた。
奥さんから、もとの夫に戻りました、やさしくて強い夫です、とニヤッとしてしまう手紙をもらった。

セクシュアルなテーマは、大事なことなのに、なかなか相談しづらい。
はじめの手紙のときに、勘のいい医師ならば、言いづらいことを言わせずにすんだかもしれない。
ぼくは、定年退職後の精神的なショックということで片付けようとしていたことを反省した。

がんの治療では、命を助けるために、尿モレや勃起障害などについてはあまり斟酌しない空気がちょっとある。
命が少しでも助かる方法を選ぶのか、セクシュアルなことも含めたQOLを選ぶのか、患者さんそれぞれの価値観によって選択するのが、その人にとっての最善の治療法となる。

稀代の勝負師が何通りもある指し手の中から、どうやって自己決定したかがよくわかった。
インタレスティングな時間であった。

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