2016年7月23日 (土)

鎌田劇場へようこそ!(279)

「ラサへの歩き方 祈りの2400㎞」
中国の映画である。
中国がチベットに対して、こんなにあたたかな映画をつくるなんて、少しうれしくなった。
                      ◇
チベットの小さな村の11人が1年かけ、聖地ラサへ、そしてカイラス山への2400キロを五体投地で旅する。
度肝を抜かれた。
3歩歩くたびに身を投げ出して進む「五体投地」。
自らを投げ出し、他者の幸せを祈る。
巡礼者のなかには、アルコール依存症で家族を苦しめている人もいる。
旅を続けながら、あたたかくやさしくなっていく。

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車との接触事故を起こし、彼らのテントを運ぶ車が大破する。
それでも怒鳴り合わず、握手しながら、それぞれの幸せを祈って別れる。
すごい。
ぼくたちだったら、怒鳴り合ったり、最後は法律で解決したりする。
世界は、寛容さを失って、ちょっとしたことから争う。
戦争で殺し合いもしてしまう
だが、もっと大切な生き方があることを、この映画は終えてくれる。
自我に偏執しないための修行。
テントの中でみんなで話し合いをし、お経を唱和する。
これも、11人の旅の人間関係のストレスを取り除く作用がある。
旅の間に、赤ん坊も生まれる。
巡礼の旅は、生と死、人生そのものだ。
なんとも魅力的な映画である。

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2016年7月22日 (金)

鎌田劇場へようこそ!(278)

「ジャニス リトル・ガール・ブルー」
永遠のロックの女王ジャニス・ジョプリンのドキュメンタリー映画。
生きざまそのものがロックンロールである。
彼女の「サマー・タイム」を聞いていると、自分の青春がよみがえってくる。
暗くて、暑苦しく、しんどい青春である。
多くのシンガーが「サマー・タイム」を歌い続けてきたが、彼女の「サマー・タイム」は全く違う。
心の奥から絞り出すような声は、人生の悲しみを吠えているようだ。
見事なブルースだ。
一度聴いたら、中毒になる。

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子ども時代も大学時代も、ずっとブスと言われ、幸せな思い出がない。
この映画でも、亡くなる少し前に高校のクラス会に出席するが、保守的な地域の同窓生たちには、常識から飛び出してしまったジャニスを受け入れることはなかった。
ジャニスはいつも傷ついてきた。
傷ついて、傷ついて、傷ついて、あの歌声が生まれたのだ。
ジャニスはずっと愛を探していた。
命がけで愛する人が欲しかったのだろう。
音だけで聞くよりも、この映画をみてもらうのが一番だ。
彼女を超えたロックシンガーをぼくは知らない。
すごい映画だ。

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2016年7月21日 (木)

永六輔さん、ありがとうございました

7月7日、永六輔さんが亡くなられた。
ご自宅に電話をしたとき、亡くなられた直後だった。
ご家族が「なんでわかったんですか」と驚いた。
虫の知らせだったのかもしれない。
「偶然です。でも、虫の知らせってあるんですね」
うちにいたいという永さんの気持ちを察して、入院していた病院に尋ね、
少しだけだが、家で療養できるようにお手伝いをした。
永さんとのお別れにも行った。
「大切なことをいっぱい教えていただきました。
ありがとうございます。
長い間、ご苦労さまでした」
声をかけさせてもらった。
             ◇
永さんから教わったことはたくさんある。
憲法もその一つだ。
「憲法を守る」といったとき、9条ばかりにスポットが当たるが、
99条もとても大事なのだ。
憲法とは、国家の基礎となる法のことであり、国家が守るべきものである。
そのことを、水野スウさんが「わたしとあなたのけんぽうBOOK」という冊子に、わかりやすくまとめている。
「わたしの12条宣言」という項にこう書かれている。
「国民に保障する自由および権利は、国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない。
そもそも憲法は、国という権力を縛るためにつくられたもの。
縛られる側はそれが不自由で窮屈だから、何とかそれを緩めようと絶えずチャンスを探っている。
だからこそ私たちは国がすることをいつだってちゃんと見張っていなければいけない。
国が私たちの権利をないがしろにするとき、おかしなことをしようとしたとき、はっきり声に出して、おかしい、いやですって意思表示しなければいけない。
国と私たちのおしくらまんじゅうが必要なんだ。
こういう努力を休まず続けることで、私たちの自由や権利ははじめてやっと保たれる。
きっとこれが12条の本質なんだ」
             ◇
永六輔さんが亡くな った夏、もう一度、みんなで憲法について考えてみたい。

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