« 食の崩壊2 | トップページ | 食の崩壊4 »

2008年5月22日 (木)

食の崩壊3

浜松で講演をし、フォーシーズンズホテル椿山荘東京でテレビの打ち合わせがあった。

6/16(月)19:00~、テレビ東京「主治医が見つかる診療所」で健康の話をする。テーマは「ちょい太で大丈夫」。

食の崩壊(3)

 ファーストフードは安くて旨くて便利である。この便利であることが曲者だ。それぞれが忙しい自分の時間に合わせて一人で食事を済ませることができてしまう。孤食化が進んでいる。
 地方の小中学校の4割が、朝食を週1回以上1人で食べているというデータが出ている。その傾向は学年が上がるごとに増え、中学生では5割を超える。

 1人で食べるものは、好きなもの、簡単なものだ。肉まんをチンして食べる。ケーキを食べる。スナック菓子を朝食として食べる。あるいはジュースだけ。そんな子どもの朝食が増えている。

 2004年に行われた国民健康栄養調査で、20歳未満を含めて朝食の摂食率が約11%だった。1日の食事が2回になることで、成長期の子どもには栄養の不足が心配される。
 血糖値の上昇が脳細胞を目覚めさせる。朝食を摂らないと、学校へ行っても朝ぼーっとした子どもになってしまう。
 食事が2回になるので、かえって肥満になりやすいと言われている。

 肉まんをチンして、これを食べて学校へいけと言われても、不登校の子どもには、学校へ行く力にはならないだろう。

 お母さんが1時間ほど前からお勝手でガサガサ仕事を始める。まな板で葱を切る音、味噌汁が煮立つぐつぐつという音、みその匂い。ごはんが炊けるゆげの音、お米の匂い。味だけではなく、音や匂いの中で、日本人は育てられてきたのではないだろうか。
 コーンフレークにミルクを入れてあわただしく口の中へかき入れても、本当に力のつく朝食にはならないだろう。

 ファーストフード店が多くなり、ファーストフードを食べる人が多くなることによって、肥満の人たちが増えていく。そしてそれだけではなく、いずれ家族で一つのテーブルを囲む回数がどんどん減っていくことだろう。

 食事をしながら、おじいちゃんと孫たちが会話をし、食育が行われたはずだ。分け合うこともそこで教えられた。
 最後に一個残ったときに、どうやって食べればいいかの想像力もそこで養われていったのである。おじいちゃんに勧める。おじいちゃんが孫に食べろと言う。じゃあ2人で食べるかと、想像力も共感力も養われてきたのではないかと思う。

<つづく>

|

« 食の崩壊2 | トップページ | 食の崩壊4 »

心と体」カテゴリの記事