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2008年6月13日 (金)

雪とパイナップル3

昨日、福岡で高校生のための授業を行い、また名古屋へ戻ってきた。
同じ空を数日の間に何度も往復している。
豊田市で講演を1つ行い、新幹線に飛び乗って、東京でJCF(日本チェルノブイリ連帯基金)の理事会に参加した。 
ぼくの“なげださない”毎日はつづく。

雪とパイナップル(3)

And 白血病の少年アンドレイは、骨髄移植の後、敗血症の熱にうなされ、何ものどを通らなくなった。
「何が食べたいの?」と何度も聞いてくれる日本人の看護師がいた。
アンドレイはパイナップルと答えた。一生のうちに一度しか食べたことのないパイナップルを思い出したのだ。

日本人の看護師は、仕事が終わるとマイナス20℃の雪のゴメリの町を、パイナップルを探して店を一軒一軒歩いた。
経済の崩壊した貧しい国ベラルーシ共和国に、パイナップルは見つからなかった。

町中のうわさになった。パイナップルの缶詰を持っている人が、日本人はそんなことまでしてくれるのかと感激し、翌日缶詰を病院に届けてくれた。
息子はパイナップルを食べることができたのである。
奇跡が起きた。熱が下がり、退院することができた。
しかし残念ながらアンドレイは10ヵ月後、白血病が再発し、亡くなった。

お悔やみに訪れたぼくは、お母さんは泣きながら話してくれた。
「大切な息子を失ったけれど、日本人に感謝しています。
私達家族は、雪の中パイナップルを探してくれた日本人がいたことを忘れません」

助けてあげられなかったのに、感謝されたのだ。

つづく

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