グリーンランドより
グリーンランドに着いた。とにかく寒い。1週間くらい前まで、この辺りの海は氷で埋め尽くされていたという。急激に暖かくなっているらしい。
しかしぼくとってはとにかく寒い。何枚も厚着して、スキーウェアを着、モモヒキをはいて、寒さにこらえている。
8世紀にバイキングがノルウェーから氷河の島グリーンランドを見て、あまりの寒さに希望をこめて、また入植者を募るため、あえてグリーンランドと名づけたという。
グリーンランドは希望を込めた名前であって、実際はホワイトランドと呼んだほうが間違いなさそうだ。
しかしその白い世界のグリーンランドが、今や本当にグリーンになってしまいそうな気配である。
イヌイットに会い、マスクダンスやドラムダンスを見た。
温暖化のため、氷が張り出すのが1ヶ月遅くなり、氷が解けるのが1ヶ月早くなったという。
そのため、狩で生計をたてる先住民としての生活がなかなか難しくなってきた。
7月のグリーンランド。ちょっと足を伸ばせば、85%は氷の世界だが、街の中には、雪がほとんどなくなっている。(写真左上)
その氷河がどんどん痩せ細っているという。20年前に比べると、7月の気温は3~4度高まった。
間違いなく温暖化は進んでいる。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル Intergovernmental Panel on Climate Change)、北極周囲圏委員会のアケルット・リンゲンさんは言う。
「今イヌイットは、アラスカ、カナダ、ロシア、グリーンランドに16万人が生活している」
5千年前、モンゴルの近くからアラスカやグリーンランドへ渡ってきた。日本人にそっくりなのである。モンゴロイドである。伝統的な生活を守りたいと思い、交渉の末、1年間に20頭のくじらを捕ることを許されている。
イヌイット北極周辺青年団の責任者の女性は、温暖化とともにイヌイットの生活が壊され、若い男達の自殺が多くなっていると心配な報告をしていた。アルコールに走る若者も多いという。
温暖化のため、首都ヌークから北へ移動していく。
食べ物のなくなった北極グマが、氷にのって移動し、人間と同じ地域で生活するようになった。
お互いが危険な存在になってきている。
氷の国グリーンランドにハエや蚊が見られるようになってきた。
ぼくたちは船を借りて海へでた。
1週間前までヌークのまわりの海は氷山で埋め尽くされていたという。その氷山はいまはほとんどない。
わずかに浮いている氷山の近くまで船を走らせた。
不思議な緑の氷。氷山の周りは紫色に輝いている。幻想的な光景である。
船をとめて、氷山の一角を砕いて取ってくれた。
コップの水の中へ氷を入れる。何千年も前のものかもしれない空気が、はじけるように溶け、耳元でパチパチと音をたてた。初めての体験である。
水がおいしい。不思議なことに、氷の中には塩分を閉じ込めないのだ。海の氷は塩辛くないのである。
その分北極海の海水は比重が重くなり下へ沈んだ。そこへメキシコ湾流という暖流が表層状に流れ込み、アイスランドやオランダやデンマークを緯度の割には暖かくしている。
メキシコ湾流は風を運んできた。それがデンマークの風車の技術となっていった。
海が凍らなくなると、世界中の対流が止まる可能性がある。魚にも大変なことが起こるだろう。
人間の命を守っている魚がとれにくくなる可能性がある。
イヌイットと温暖化について議論を交わし分かれた。
白夜の夕暮れは大変美しかった。夕暮れといっても夜中の12時近くである・・・
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