フェルメールに会いたくて
フェルメールを見るためにフリックコレクションへ行った。
「兵士と笑う娘」はなかなかの一品だった。
光があたった女性のはにかんだような優しい穏やかな顔がとても印象的だ。
少し開いた窓から差し込んだ光と、ステンドグラスを通した光とが、微妙に研鑽されている。
カーテン部分の陰影など光の捉え方が見事である。
外の光が窓に反射しているのもわかる。
フリックコレクションは、NY5番街にある邸宅美術館である。
なかなかたいしたものだった。
その他に「稽古の中断」と「女と召使」が飾られてあった。
「稽古の中断」は、窓から差し込んだ光の中、若い女性と音楽の先生が見事に描かれているが、「兵士と笑う娘」ほどの感動はない。
女性の顔があまりイキイキと感じられなかった。
フェルメールが残した絵は33~36点ほどではないかといわれている。
フェルメールは光を捉えるのがとてもうまい。
窓辺から光が差し込むとフェルメールの世界が広がっていく。
しかし光が差し込んでいない絵は、この時代のレンブラントやその他の絵と同じように暗いのだ。ぼくはあまり好きではない。
作品の中にクオリティの差があるように思った。
さらにフェルメールの絵を探して、メトロポリタン美術館へ行った。
ゴッホやマチス、ピカソなどの絵がふんだんにある美術館だが、フェルメールの絵の前には最も多くの人が集まっていた。
どこの美術館へ行ってもフェルメールの絵の前には大きな人だかりができている。
世界の人気画家であることは間違いない。
「窓辺で水差しを持つ女」が実にすばらしい。
女性が窓辺に立ち物思いにふけっている。
左手で水差しを持ち、右手で窓を開けようとしている。
水差しの下には盆があり、窓からの日差しと、盆の下の赤いテーブルクロスが、淡く映し出されて、光の反射をみごとに捉えている。
女性と背後の白い壁、そして右奥に見える掛物とのバランス。
窓にかかる手の美しさ。
確かに傑作だと思う。
その他、「眠る女」「少女」「信仰の寓意」の全部で4点が掲げられていた。
しかし圧倒的に優れていたのはやはり「窓辺で水差しを持つ女」。
350年前に活躍したフェルメールの絵が見たくて、アムステルダムからNYへたどり着いた。
たくさんのフェルメールを見た。
最も優れているのはやはり、マウリッツハイス美術館にある「真珠の耳飾の少女」と「デルフト眺望」、メトロポリタン美術館の「窓辺で水差しを持つ女」だと感じた。
この3点は心を揺さぶられるほど美しい絵であった。
8月2日から上野の東京都美術館でフェルメール展が開催され、7点の作品が展示されるらしい。ぜひ見ていただくといいと思う。
http://www.tobikan.jp/
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