ドリームランド
アンドリ・スナイル・アグナソンが、ベルゲンから11歳の息子を連れてピースボートに乗船してきた。1973年レイキャヴィーク生まれである。
1999年に「青い惑星のはなし」という児童書を書き、アイスランド文学賞を受賞。
2006年「ドリームランド」がベストセラーとなり、再び二度目のアイスランド文学賞を受賞している。
船上で彼の講演会が行われた。
(写真左:マグナソンさん、田中優さんらと・・・)
アイスランドは環境立国として有名になってきている。
かつてエネルギーの50%を石油で賄っていたが、火山国という点を利用して地熱エネルギーを開発したり、水力発電などを取り入れたりしながら、CO2の排出量を減らしてきている。
しかしマグナソンは自国の問題をいくつか挙げている。
アルミニウムの精錬所が増えてきた。世界資本が入ってくる。電気が安いという理由である。アルミニウムは電気の缶詰と言われている。同じ目方でいうと、鋼鉄の30倍の電気を必要としているという。
ヨーロッパやアメリカではアルミの工場をアイスランドへ移転する計画が多く持ち上がっている。政府は雇用や地域経済のことを考え、グローバル企業の要望に従おうとしているが、マグナソンは新しい市民運動を起こし、アイスランドの自然を守るべきだと語る。
冷戦時代、アイスランドにはアメリカ軍の基地があった。ソ連を睨むにはもってこいの場所だったのだ。
冷戦が終わり、2006年アメリカ軍は撤退を決めた。アイスランドの中では意見が分かれた。アメリカ軍が地域経済を潤す。日本でも良く聞く議論である。
マグナソンはもちろん、アメリカ軍がいなくなることを望んだ。
もともとアイスランドには軍隊がない。この数百年、戦争をしてこなかった。平和な国のシンボルとして、外国の軍隊も必要ないと思っていた。
当時1000人の人が基地で働き、おそらく5000人近くの人がその経済で生活していると推測された。2006年アメリカ軍が撤退したあと、1000人の人の新しい仕事はきちんと見つかった。義肢や義足の工場に500人が雇われ、新しい平和の産業が生まれた。
アイスランドはもともと豊かな国であった。さらに豊かになろうとして、国はアルミニウム精錬所の建設を進めている。次々と川にダムをつくり、美しい滝や自然が壊されていった。
売買ゲームに電気を必要とするようになった。アイスランド人にとって豊かな暮らしのためには、充分すぎる電気がある。大切な自然を壊し、世界企業の精錬所をつくるための電気はもういらない。
マグナソンたちは立ち上がった。その一つがベストセラー「ドリームランド」の出版である。日本語の翻訳本はまだ出ていないのが残念だ。
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