小さな秋の一日
訪問看護の実習で、看護学生をつれ、97歳のおじいちゃんの家を訪問した。
僕とおじいちゃんは、27年来の付き合いである。
ご家族も、27年間、おじいちゃんを看てきた。
いま介護度5、完全に寝たきりであるが、おじいちゃんは明るい。
八ケ岳の山々は、紅葉で色づきはじめている。
いい空気を吸い、いい景色を見て、原村の往診を終えた。
病院に戻り、ホスピス病棟を回診すると、病室ででれっと寝ているヤツがいた。
患者さんのおうちから、ヒメという犬がやってきていたのだ。
ヒメは、ほかの患者さんをびっくりさせたりしない。
頭のいい犬である。
いつも静かにしていてくれる。
ヒメのおかげで、空気がなごむ。
ファンも多い。
秋の収穫祭のこの日のメニューは、豚汁に栗ご飯、それに舞茸の天ぷら。
季節の恵みは、体にもこころにも栄養たっぷり。
栄養士と調理師が地下の厨房から上がってきて、ホスピス病棟でいろいろな料理を作ってくれる。
さつま芋がふける、甘いにおいが漂っている。
幸せな、秋の日の病棟である。
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