鎌田實の一日一冊(1) 命がけの読書週間
水谷修さんとの共著の本が発売される予定だ。
今週、八王子で対談・打ち合わせを行う。今、頭の中をウォーミングアップしている。
そして今週は、命がけの読書週間である。
「ひきこもりはなぜ『治る』のか?―精神分析的アプローチ」
(中央法規出版、斎藤 環 著)
「家族パラドクス―アディクション・家族問題・症状に隠された真実」
(中央法規出版、斎藤 学 著)
「社会起業家に学べ! (アスキー新書 69)」
(今 一生 著)
社会起業家という言葉をご存じだろうか。環境問題や地域開発をひとつのビジネスとして成功させる、新しいやりがいのある仕事の形態である。
金融資本主義のようなバーチャルの世界で途方もないお金を稼ぐのではなく、地道な方策で知恵と汗を流しながら、人と人がとつながりながら、そして地球を守りながら、地域に貢献していく新しいビジネスが、いくつも紹介されている。
吉田屋旅館はつぶれそうな旅館だった。それを大学生の女の子が引き取り、若女将になり再生させた。
金・土・日は旅館を開き、全国からお客様が集まる旅館にした。一方月~木曜は、地域でお年寄りを助けたり、農家を助けたりする。なんだか若面白い若者達がこの旅館に集まってくるのである。
なかなか面白い本である。目から鱗の本であった。
「心の旅人たち」
(ポプラ社、ポール・マクダーモット 著、宇丹 貴代実 訳)
これはぜひお勧めである。
72歳の女性が多発性骨髄腫で亡くなっていく。1人の心理療養師が、ボランティアで1年半、この女性の命に伴奏する。人間はこうやって死んでいくのかということがよく見えてくる、素敵な本である。
美しい言葉が繰り広げられていく。亡くなっていく女性が、「ありがとうたぶん…ここからは…一人で行けると思う…」と言って本当に一人で死んで行く。このおばあちゃんが初めから立派だったわけではなくて、ちょっと迷惑気味の困ったおばあちゃんが、実は淡々と自分を見つめ、最後はきちんと自分の人生をくくることができた。
なかなか素敵な本であった。
「暴走する資本主義」
(ロバート ライシュ 著、雨宮 寛 訳、今井 章子 訳)
今日現在の金融資本主義が壊れていきかかっている姿を暗示するような本である。
本来どんな形の資本主義が良いのか、ライシュはこの本の中で明確に語っている。
これもお勧めの本である。
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