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2008年11月18日 (火)

銚子市立病院がつぶれた

銚子市立病院は、2年前までは34人の医師がいて、銚子市約10万人の健康をまもる拠点病院であった。
今年6月には、医師は12人に減少していた。

銚子市長の言葉によると、2年間で40億円を病院に投入した。
市の貯金である財政調整基金は4億2000万円しかない。
市の財政から考えると、これ以上一般財源から病院に繰り入れることはできない、とのことであった。
きっかけは、赤字体質に業を煮やし、病院の再建を考え、医師の給与を引き下げたことから、派遣元の日本大学の逆鱗に触れたとのこと。

現在、自治体立の病院の8割は赤字だという。
全体の累積赤字は、1兆8736億円といわれている。

小泉首相の時代から厳しく行われた、国の医療費抑制政策が、ボディブローのようにきいている。
国立がんセンターでは、麻酔科医がいなくなり、手術も減らさざるを得なくなっている。
地方の大病院や国のナショナルセンターですら、大変なことが起きているのである。
妊婦が脳内出血を起こし、8つの病院に受け入れ拒否された問題は、偶然の出来事ではなく、国の医療費抑制政策で、現場がへとへとになっているのである。

1102 34人の医師がいた病院が12人の医師になると、もう当直すら回すことができなくなる。
救急医療もきちんと行えない。
そして、その間に、赤字は火達磨になっていくのである。
大都市にあり、医師が集まりやすい拠点病院以外のほとんどの病院では、黒字にするのはほとんど不可能だ。
がんばって赤字を低く抑えたとしても、医療費抑政策が重くのしかかり、病院はこれ以上がんばれない。
今はとにかく地域医療をつぶさないことが急務である。

数年前までは、日本の医療は世界最高の医療システムとWHOで賞賛されていた。
まだ土俵を割ってはいない。
が、土俵際にいることは間違いない。
日本の医療を崩壊させてはならない。
それには、消費税をあげてでも、日本の医療を再建させる必要がある。
できるだけはやく選挙を行い、医療と福祉、教育という、人間が生きていくうえでもっとも大事な国の下半身に、あたたかな血を通わす政策を掲げる政党はどこか、国民の選択を仰ぐべきだと思う。

写真は、地域をまもる諏訪中央病院。かつては累積赤字4億円をかかえていた。

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