ウエットな資本主義をつくりたい
岩次郎小屋の木々も、鮮やかに色づきはじめた。気持ちのいい秋である。
僕はかねてから「ウエットな資本主義をつくりたい」と思ってきた。
資本主義はもともと競争主義であり、ほうっておけばドライになる。
だから、意識してウエットにしたい、と思う。
この10年、日本はアメリカをお手本にしながら、国づくりを行ってきた。
もともとアメリカは砂漠のある多民族の国である。
気候もドライだ。
いろいろな国から移ってきたたくさんの人間が生き抜くためには、透明性のある競争社会をつくるしかなかった。
でも、日本はちょっと違う。
水が豊かで、湿気の多い国である。
梅雨もある。
気候もウエットである。
この気候で何万年も生きてきた。
僕たちは感覚的になかなかドライになれないのではないだろうか。
資本主義社会は、競争主義を前提としている。
だからこそ、競争主義の土台のところに、あたたかな血が通っていなければならならいと思う。
これが僕のいうウエットな資本主義である。
具体的にいうと、まず教育の充実が大事だ。
アイスランドがGDP比7.2%に比べて、日本は3.4%と先進国のなかでもっとも教育にお金をかけない国である。
若いお母さんたちを支える子育て支援も、日本はGDP比0.75%と先進国のなかで少ない。
3.02%のフランスはすでに少子化から脱出し、出生率2.0を超えた。人口が増える国になったのである。
医療費も、日本はお金を出さない国である。
アメリカは15%、ヨーロッパの先進国は9.2~10.2%くらいなのに対し、日本はわずか8%である。
ウエットな資本主義を行うためには、教育と子育て、医療、介護の充実がまず大事である。
それを実現するには、消費税を上げるしかない、と僕は思う。
10月16日付けの読売新聞では、8ページにわたって、医療崩壊に対する新しい提案がされている。
年金と医療と介護を充実させるために、消費税を10%にすべきと提案している。
大賛成である。
医療崩壊がおきてからでは遅い。
まずは来年から医療の抑制政策をやめ、医療と介護に、僕たちの税金をある程度投入すべきだ。
そして、再来年からは毎年1%ずつ、10%まで消費税を上げていく。
国民も、ある程度覚悟がいる。
しかし、現在の世界経済の厳しい状況のなかで、日本という新しい国づくりを明確に示したほうが、国民は納得するのだと思う。
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