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2008年11月29日 (土)

鎌田劇場へようこそ!(7)すさまじい映像美『落下の王国』

カマタ映画祭りの第2弾は、映像の魔術師ターセムが4年間、世界をまわって撮った映画『落下の王国』。
とにかく美しい映画である。
ひさしぶりに心が高鳴った。

Photo_4  病室のベッドに横たわるスタントマンは、橋から落ちて大怪我をした。
5歳の少女がオレンジの木から落ちて腕を骨折し、入院してきた。
2人とも、落下している。

落ちていくものに、僕はなぜかひかれる。
つい最近、PHPに「落下する人生、画家ゴーギャン」のことを書いた。
この映画も、タイトルにひっぱられて、映画館に引き寄せられた。

1日に1回しか上映されていない。
どうも客入りがよくないのかもしれない。2
でも、見て損はない。

CGやセット撮影を一切使わず、世界中をロケして歩いている。
ハリウッドがつくるファンタジーとちがって、何とも奥が深いのである。
石岡瑛子のコスチュームデザインが圧倒的にすばらしい。
このデザインのおかげで、映画がぐんとクオリティーアップをしているような気がする。

ゾウが水中を泳ぐシーンや、砂漠で撮られたシーンなど、見事に美しい。
プラハ城やタージマハルでとった画像も、息を飲むほどだ。
南アフリカやバリやフィジー、イスタンブール、プラハ、アンコールワット、エジプトのピラミッド、中国の万里の長城・・・。
しかも、それらがすさまじいアングルから、これはと思うような撮影をしているのである。

3_3 ターセムの前作『ザ・セル』は、大ヒットしたが、今回の『落下の王国』はいくつもの賞をとったが、興行的には厳しかったのかもしれない。
シュールな撮り方をしている。
なんとも詩的である。
映画でなければ、表現できなかった詩的な心を、見事にあらわしている。

3カ月ほど前、僕がおすすめをした『赤い風船』なんかにちょっと似ている映画である。
映画の好きな人には、絶対にこたえられない映画である。
チャンスがあったら、みてほしい。

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