暴れだす獣の脳
2007年児童虐待の相談件数が4万件を超えた。
母親が小さな子どもを放置し、餓死させる。
子どもが少し言うことをきかないと、つねったり、たたいたりしてしまう。
なんだか悲しくなってしまうが、人間の心のなかにはそうしてしまう爬虫類の脳がある。
人間は、進化の過程のなかで爬虫類を通っている。
爬虫類の脳のなかには、睡眠欲や食欲や性欲、その隣に攻撃欲がある。
どれもこれも、バランスが保たれている範囲では、生き抜くために必要な力になっている。
しかし、ちょっとした危ういバランスで、性欲と、隣り合う攻撃欲が結びついてしまい、性的な虐待も起きてしまう。
僕たちの病院には、子どもを引き取って育てている若い夫婦がいる。
子どもがいないわけではない。
生きることに大変な子どもを引き取って、育てているのだ。すごいなと思った。
山梨の内藤いずみ先生に頼まれて、講演にいったときも、僕をサポートしてくれた一人がにこにこしながら、こう言った。
「私はもうおばあちゃんになりかかっているのに、小さな子どものお母さんなの」
自分のお子さんが成人し、いまは虐待に遭ったという子を引き取られたという。頭が下がる。
人間のこころのなかには獣がいる。
だが、獣の脳をコントロールする人間の脳もある。
人間の脳の特徴は、大脳皮質が異常に成長していることである。
人をやさしくしたり、人を支えたりする、こころの中枢が、ここにあるのである。
人間が人間らしく生き抜くためには、この部分にいい刺激を与えることが必要なのだ。
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