~~不安連鎖を断ち切る5カ条~~
悲しいことに、この国のリーダーたちには、戦略がない。
悲しいことに、この国のリーダーたちには、戦術がない。
リーダーを信頼できない以上、国民一人ひとりがこの国を守らなければならない。
不況から恐慌へ発展するプロセスには、不安心理がある。
この不安心理の連鎖を、どこかで断ち切らなければいけない。
《不安連鎖を断ち切る5カ条》
1 「下がったものは必ず上がる」と、毎日毎日自分に言い聞かせること。これについては、前に触れたので、簡単にしておく。
2 不況時の呼吸法はやめる。
不況時の呼吸は背がまるまり、下向きになり、抑制的な呼吸になる。
いい考えも浮かばなくなり、ものごとをネガティブに考えるようになる。
呼吸は、自然にしていると一分間に18回。これは海の波を起こす回数に似ている。
海辺に立つと、なにかほっとするのは、自分の呼吸数と波の繰り返しが似ているからなのである。
宇宙とつながっている自分を感じること。
そのためには、顔と胸を斜め上にあげ、下向きにならないこと。
極端に下を向くと、胸郭が抑制され、いい呼吸ができなくなる。
わずかに上を向くことによって、息をいっぱい吸いやすくなる。
吸った息はゆっくりと吐く。
世界とつながっていることが、呼吸をしながら感じられる。
ただし、上を見過ぎないこと。首が疲れる。呼吸もしにくくなる。ほんの少し、胸も顔も上を向くことが大事。鎌田實がいう「いいかげんがいい」のである。
3 今までやろうとして、できなかったことをやること。
買いたいものがあったら、ここは見栄をはってでも買おう。車でも、マンションでも、電気製品でもいい。
大きく背伸びをするのは破綻を招くが、少し背伸びをして、車を買ってみる。
団塊の世代で、一生に一度はスポーツカーに乗りたいと思っていた人は、スポーツカーに乗ってみよう。それが国を救うことになる。
もちろん、日本の車が最高で、日本の車を買ったほうがいいが、世界の不況を考えたとき、日本は世界と経済がつながっているのだから、どの国の車でもいい。かつて乗りたかった車を買えばいいのである。
尻の穴を小さくしないこと。
円高なので、以前よりは外国の製品だって買いやすいはずである。
旅をするのもいい。
行きたいところがあったら、国内でも国外でも旅にでよう。いまがチャンス。
韓国の旅行ならば、国内の旅行よりも安い。韓国に焼肉に行きたいと思っている人は今がチャンス。
ヨーロッパだろうが、南極だろうが、どこでもかまわない。
ぼくはアメリカがきらいではあるが、ブロードウェイにミュージカルをみにいくのもいいと思っている。
「こんな時代に」と人に後ろ指をさされることをするのが大事。
つまり、第3条は、「ばかやろう」になればいいのである。
「あいつ、バカだな」とみんなに言われるようなことを、今する人間が大事なのである。
4 「ばかやろう」に拍手をしよう。
おバカさんになることをすすめた。不況のなかで、ドン・キホーテのようなことを国民の一割がやりはじめれば、この国は変わる。
1500兆円という世界でいちばん貯金をもっている日本。
その1500兆円の一割が動けば、日本は世界でいちばん早く危機から脱出できると話した。
国民の一割の人が、「おバカさん」といわれるような大胆な行動をすること。
100年に1度の危機を迎えたときにき、合理的な行動だけでは脱出ない。
一割の「おかしな人たち」をみんなで拍手することである。
「いまどき、スポーツカーなんて買って、あいつはバカだ」と言わずに、「あいつはすごい」と、みんなで拍手する。
こんなときに、家を建てるための地鎮祭をみかけたら、知らない他人も拍手をして、えらい、えらいと言ってあげることである。
いま何かを買ったり、旅行をしたり、いのちがけでお金を使ってくれる人を評価することである。
5 笑うこと。
バカらしいけれど、けっこう大事なことだ。
月刊誌「諸君」に、ぼくはアランの言葉を引用した。
「しあわせだから笑うのではなく、笑うから幸せなのだ」
いま多くの人間は、不幸せになりかかっている。
こんなときこそ暗い顔をせず、みんなで笑うこと。
笑ううちに幸せは近づいてくる。
つまり、経済の危機から脱出できるはすである。
とにかく、2009年はちょっと上をみながら、胸郭をひろげて、いい呼吸をする。
そして、自然とつながっていることを確認しながら、笑うことである。
なんでもいい。くだらないことでもいいから、笑うことを繰り返してみようではないか。
リーダーに頼ることができないのなら、この危機を自分たちの力で脱出しなければならない。