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2009年1月21日 (水)

鎌田劇場へようこそ!(14)『チェ 28歳の革命』

大ヒットしているらしいが、偉大な失敗作だと思う。

チェ・ゲバラのファンにとっては、たまらない映画づくりだと思う。1
映画が好きな人にとっても、いくつかの魅力的な仕掛けがあり、たまらない映画だとは思う、たしかに。
しかし・・・。

ハリウッド映画に慣らされている観客にとっては、退屈な映画になるだろう。
監督のスティーブン・ソダーバーグはこう言っている。
「ぼくがどうしても観客に伝えられなかったもの、それはにおいだけだ」
「チェという人間と一緒にいること、それはどんな感覚だったのか味わってほしい」

ソダーバーグ監督の狙いからすれば、まさに計算しつくされた構成になっている。
見事にチェという人間と一緒にいること、同じ空気を吸うことがどんな感覚だったかがわかるような映画の仕掛けになっていることは間違いがない。
観客に伝えられなかったものは、においだけだと監督はいうが、じつはそのにおいを伝えているのである。
そういう意味では、すてきですばらしい映画だと思う。

2 28歳のチェが、ハバナへ向かって、キューバ革命を戦っていく。
革命成立後、チェがキューバのナンバー2として、国連総会で演説をするその光景が白黒になるのだが、これは観念的すぎるように思えた。
ストレートに描いても、それだけで魅力的なチェという人間の姿が、技巧的な編集の仕方をしたことによって、退屈な作品になったように思う。

パート2の『チェ 39歳別れの手紙』をみていないので、何ともいえないが、こちらもまた、映画のサイズをかえ、違った手法で撮られているらしい。
チェが39歳で亡くなっていく1966~67年の最後の1年を描いている。
一気に4時間半、2本の映画をまとめてみないと、監督の狙いがいまひとつピンと伝わっていない可能性はある。
こちらをみたうえで、映画の本当の評価をしたいと思う。
いまはただ、チャレンジ精神のある映画だとだけ言っておきたい。

チェ・ゲバラを演じたデル・トロがいい。
デル・トロという俳優をみるだけでも、みる価値のある映画だと思った。A

ぼくの書斎の裏側には、ドラムの練習をしたり、音楽を聴いたり、読書をする隠れ部屋がある。
そこには、ぼくが設計した、ひょうたん型の不思議な形の、ピアノ盤を利用してつくったテーブルがある。
その黒い、輝くテーブルのうえには、いつも、チェ・ゲバラの写真集が置かれている。
朝4時半におきて、コルトレーンのジャズを聴きながら、チェ・ゲバラの写真集をみる。
ぼくの至福の時間なのである。

チェ・ゲバラを好きな人間にとっては、こたえられない『チェ 28歳の革命』。
チェという人間に興味のある人、映画好きの人にはおすすめである。
ハリウッド映画大好きな人には、お金をドブに捨てるようなものかもしれない。

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