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2009年2月 1日 (日)

鎌田實 日本経済への提言⑰

~~子どもを産もう~~

豊かな社会は、分厚い中流が支えている。
分厚い中流の多くは、若者たちによってつくられる。

好きな人ができたら結婚し、子どもを産む。
当たり前のようだが、今はそれができにくい。
結婚し、家庭を築いていくことは、よい消費者となる。
結婚式や出産祝いなども、GDPを押し上げる。
子どもができることが、分厚い中流をつくっていくうえでたいへん大事なのである。

日本の人口は、2005年、1億2777万人。
2030年には1億1522万人になり、高齢化率は31.8%になると推計されている。
このままいくと、2055年には人口は8993万人と1億を割ってしまう。P1110304
日本の人口は急激にブレーキがかかり、消費者が減っていくのである。
資本主義社会としては、成り立たなくなる。
2055年の高齢化率は40.5%。
弱者や高齢者を支えようも、支える力が非力になっていく。

若者を大事にすることである。
昔は、世話好きのオヤジやオバサンがいた。
若者たちを一緒にさせようという世話好きが、いまもう一度必要なのかもしれない。
大きなお世話と思わずに。

出生率を上げるためには、子育て支援のお金をフランス並にGDP比3.02%くらいにす べきである。
日本は0.75%しか支援していない。
みんなが、子どもを産みやすいような環境をつくるべきである。

医療も小児科や産婦人科が手薄にならないように、制度改革をしていく必要がある。
国立大学の医師には、それぞれの希望する科の枠の制限などを設け、日本が今後必要な数の医師を養成していくことである。
たとえば、一つの科に多くの医師が希望したら、成績順に決め、そして、それ以外の科でも、社会にとって必要な数の医師をきちんと養成していく。
公共財として医療を考えていくべきだと思う。
医師の職業の選択の自由は少し狭まるが、そのぶん、医師に対する社会的な評価や金銭的な評価を、きちんと高めることによってカバーすればいい。

この国をどうしていくのかというデザインのなかで、ぼくたちの税金をどこに投入すれば、国の勢いをつくり出せるのか。
人口推計からみれば、はやく手を打たなければならならいのは間違いない。

日本には、10年先をみている政治家が非常に少ないことが危惧される。
ましてや、40年以上先の2055年の、人口8900万人台の日本を想定しなら、こうならないようにどうしたらいいかを考えている人はとても少ないと思う。
もちろん、短期的な視点で、ここ数年の経済不況を脱出するための方策を考えることが大事だが、長期的な視点で、50年先の日本の姿を想定しておくことも大事なのだと思う。

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