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2009年2月28日 (土)

鎌田實の一日一冊(18) こころの空腹を満たす本

すごいおもしろい本を見つけた。
『“弁当の日”がやってきた』『台所に立つ子どもたち』。
どちらも、著者は竹下和男さんで、自然食通信社から出版されている。

Photo 香川県の小さな町の小学校、滝宮小学校の竹下和男校長が、「親は手伝わないで」と、子ども自身がお弁当をつくる日をはじめた。
その後、竹下校長は、高松市にある国分寺中学校に移られた。
ここでも、子どもたちが台所に立って自分の弁当をつくりはじめた。
弁当作りを通して、子どもたちの「こころの空腹感」を埋めはじめたのである。

竹下さんは、3つの時間の深刻な現実を訴える。
まず、「暮らしの時間」。
これが縮小した。
日本人は貧しい時代から、必死に働きながら、この暮らしの時間を減らしてきた。
電化製品に囲まれるようになり、便利になったが、一つひとつの暮らしの丁寧な営みが減っていった。
暮らしの時間を削って、働き、経済的に豊かになった。
部屋数が増えて、一人ひとりが自分の部屋をもつようになリ、テレビやゲームやパソコンやコミックが自分の部屋にあふれるようになった。
家族がどんなことを考えているか、わからなくなった。
個人個人の遊びの時間は増えたが、家族の絆は減っていった。

次第にその「遊びの時間」も縮小していった。
時間、空間、仲間という三つの「間」がなくなった。Photo_2
学びの時間が増大したので、遊びの時間は減少した。
開発が進みすぎて、子どもたちが自由に遊べる空き地や野山や川原などの空間などがなくなりだした。
たくさんの仲間が集まって、遊ぶことが難しくなった。

3つめの時間は、「学びの時間」。
これが増大した。
有名私立小学校、有名私立中学校、有名私立高校に入るために、子どものころから早期教育が増大してしまった。
「暮らしの時間」と「遊びの時間」を豊かにとりながら、「学びの時間」をつくることが大事なのに、
「暮らしの時間」や「遊びの時間」を削って、「学びの時間」だけをつくったので、
知育は少し豊かになっても、体育も情育も食育もみんなやせ細そってしまった。

この本、ほんとうにおもしろい。
この二冊を読むと、どうしたらいいのか見えてくる。
ぜひ、読んでみてください。
感激しますよ。

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