そして、すばらしいニュース
3月28日は、スリーマイルアイランドの原発事故からちょうど30年だった。
その後、原発事故が次々に続いた。
この船に乗る若者30人ほどと、寺子屋という自主企画で、核について勉強会をした。
英語では、核も原子力も「nuclear」であらわすが、日本語では核兵器は「核」といい、「原子力」は平和利用のイメージをつけるために、「核」と使い分けている。
「太陽エネルギー、風力エネルギー、そして環境にやさしい原子力エネルギー」と、巨大な宣伝費を使って宣伝を続けているが、
民主的な決議も情報公開も、十分にされていると思えない。
いつも原子力発電所をつくるときは、小さな村や町が狙い打ちにされる。
たくさんのお金が投入され、莫大なブラックマネーがうごめく。
村や町は経営が厳しいので、原発による巨額の補助金は、一時的に経済が改善する。
小さな村や町には不相応なぜいたくな施設が建つ。
だが、結局、そのランニングコストに困り、もう一基原発をつくらないと村や町の経済がたちゆかなくなっていく。
いちど手を出すと、次々に欲しくなる「原発依存症」になってしまうのである。
ガビさんも同じことを言った。
フランスがポリネシアで核実験をすると、たくさんの兵士がやってきて、作業員としてタヒチアンが雇われ、巨額のお金が流れた。
しかし、島の経済は徐々にたちゆかなくっていく。
かつて、食物自給率は1960年では96%あったが、96年にはわずか4%になった。
放射能に汚染されて、安心な農作物がつくれなくっていくのである。
そして、お金で植民地化がすすむ。
情報公開もされていない。
フランスは当初、2018年に情報公開をするといっていたが、50年遅らせて、2068年まで情報公開をしないと決めた。
人権の国フランスとしては、あるまじきことだ。
「情報公開をし、核実験による健康障害をおこした人に対して医療保障をすべきである」
カビさんは、船の中で強く言い続けた。
結局、第二次世界大戦の戦勝国がしたことはこれなのである。
イギリスは、オーストラリアやクリスマス島などで核実験を行い、アメリカはビキニ環礁で核実験をし、フランスはムルロア環礁などポリネシアで核実験を繰り返した。
先住民たちの生活の場で、1000回以上の核実験を行うという暴挙を行ってきた。
その南太平洋を、ぼくたちは船で進んでいる。
そんな船の上で、突然、歓声が上がった。
ぼくとガビは、熱い握手を交わした。
フランスのモラン国防相が、1960年から96年にかけて、アルジェリアの砂漠やムルロア環礁で大気圏実験や地下実験を210回行ってきたが、
その情報公開と、13億円の保証をすると発表したのである。
ガビはうれしそうであった。
今後、フランスがどの程度の情報を公開するのか、注目をしていかないといけないと思う。
だが、先住民に核実験を知らせることなく開始し、たくさんの先住民が被害を受けたことは、「核のテロリズム」だと言い、
多くの先住民の反対をおしきって核実験を続けたことは「核の植民地化」であり、「核の人種差別」であると言っていたガビの声が通ったのである。
すばらしいニュースだ。
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