« 鎌田實の一日一冊(20) 言魂やどる往復書簡 | トップページ | メタボ健診に問題あり »

2009年3月10日 (火)

安倍文殊院に行く

陰陽師、安倍清明のいた安倍文殊院を訪ねる途中、タクシーの運転手がこんなことを言った。

12年前、大腸がんの手術をして、4年前に腹腔内のリンパ腺に転移した。090218_2
再発したリンパ腺のがんは手術できなかったが、抗がん剤を使ってなんとか5分の1くらいまで小さくなった。
再発以来ずっと、大安寺というがん封じのお寺と、この安倍文殊院にお参りをしている。
いまも、元気にタクシーの運転手を続けられているのは、大安寺と安倍文殊院のおかげだと言っていた。

090218_3 奈良は、「中央公論」3月号のがんの治癒力総合ランキングでは、各県のちょうど真ん中くらい。
長野県は1位だ。
埴岡というジャーナリストが奈良県のことを批判していた。
県のがん治療対策計画がつくられていない、どうしようもない県だという。
だが、ぼくはあまり計画なんか信じていない。
官僚がつくる計画でろくなものはない。
奈良県はけっこうよくやっている。

この埴岡さんがほめている島根県は、圧倒的に他県に比べてすばらしい対策を講じているはずなのに、がんの死亡率はけっしてよくないし、がんの治癒力もよくない。090218_4
対策のプログラムができていても、たいしたことはないのである。
しかも、がんの先端医療を担うがんセンターがあれば、がんの治癒率が高くなるというわけでもない。

もっと大切なのは、住民力だとか、病院と病院のネットワークである。
がんの拠点病院だけ整備すれば事足りるというのは誤解だと思う。
がんの治癒効果を上げるには、拠点病院だけではなく、2番目、3番目の病院の充実が大事なのである。

奈良県のがん封じのお寺が、がんの治癒力をあげるかどうかは別として、病院のセンター化や機能集中化というわかりやすく合理的なものではない、複雑な支え合いやネットワークが、いのちを支えているのかもしれない。

|

« 鎌田實の一日一冊(20) 言魂やどる往復書簡 | トップページ | メタボ健診に問題あり »

「旅行・地域」カテゴリの記事