メタボ健診に問題あり
メタボ健診の意味を問い直す研究が、厚生労働省の研究班から発表された。
鳴り物入りではじめた厚生労働省の、お膝元からの発表である。
ぼくはもともとメタボ健診にかんして、疑問視をしてきた。
メタボ、メタボと命がけで大騒ぎするのではなく、「ちょいメタ」とか、「ちょい太」とかのほうが、むしろ長生きする。
そんな主張を、「鎌田實のがんばらない健康法」で展開してきた。
(4月、朝日出版社から発売される)。
健診では、腹囲を測定し、男性は85センチ以上、女性は90センチ以上が異常とされている。
だが、今回の研究で、CTで内臓脂肪面積が100平方メートル以上の人と、それ未満の人で、心臓病、脳梗塞を引き起こす動脈硬化の進み具合にあまり差がないことがわかった。
正確にCTを用いて内臓脂肪面積をはかった測定ですら、因果関係に乏しいという結果になったのだ。
まして、腹囲を測っただけでは、本当に内臓脂肪面積がわかるのかどうかも疑わしい。
また、メタボ健診では、まず腹囲の基準をオーバーしており、それにくわえて高血圧や高脂血症、高血糖のどれかがあるときに指導の対象となる。
これを新しい健診スタイルとして大々的に行ってきたわけであるが、どうも因果関係が薄いということがはっきりしたようだ。
日本中で講演をしていると、当然、健康づくりの話もテーマになる。
地域の医師会の先生たちからは、苦情や不満をたくさん聞く。
群馬県のある市の医師会長は、こう不満をぶちまけた。
「メタボ健診のおかげで、がん検診の受診率もメロメロになってしまった。なおかつ、腹囲が正常であると、血圧や脂質、糖が異常であっても、指導が入らない。地域での健康づくりの低下を、メタボ健診がおこしてしまった。しかも、メタボ健診のために医師も保健師も、燃え尽きそうな忙しさで、冗談じゃない」
この医師会長の話は正しいと思う。
各地でこういう話を聞くのである。
メタボ健診なんかやるよりも、『ちょい太でだいじょうぶ』(集英社)や、これから4月にでる『鎌田實のがんばらない健康法』(朝日出版社)のほうがよっぽど効果が出ると思う。
写真は、汐留から望む朝の東京湾。
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