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2009年3月 1日 (日)

がん治癒力総合ランキング1位のわけ

東京医科歯科大学大学院、医療経済学分野の井上先生が、いくつかのファクターをいれて計算した結果、長野県ががん治癒力総合ランキングで1位になった。

長野県のがんの予防力は2位である。
検診率は、長野はけっして高いほうではない。
胃がん検診の受診率も9番目である。
喫煙率、喫煙率は長野は低いけれど、ベストテンには入っていない。

がんの専門医や緩和ケアの専門認定ナースなど、がんの医療資源機能力でも、むしろ低位である。
がんの放射線治療認定医数も、悪いほうから数えて11番目である。
呼吸器外科の専門医数も少ない。
もちろん長野県には県立がんセンターもない。
信州大学の医学部が中心的な役割をしている。
しかし、日本中のすべての県に医科系の大学がつくられているので、特別な状況でもない。

では、なぜ1位なのか。090228
長野県はがん連携拠点病院がけっして充実しているわけでもなく、早い時期に導入されたわけではない。
むしろ、遅い時期、最近になって拠点化が明確になった。
なかなか拠点病院がつくれなかった県である。
ゆえに、がんの拠点病院化が、長野県のがん治癒力総合ランキング1位にしているわけでもない。
むしろ、中小の病院と中核病院との連携のよさが、長野県の特徴ではないだろうか。

これは、長野県が日本一長寿であり、老人が多いわりには日本一老人医療費が安いことと似ている。
保健補導員の制度があって、住民の健康に対する意識は高い。
長野県は、もともと国保の病院や自治体の病院、農協の病院が地域医療を一生懸命行ってきた。
開業医も地域医療に関して理解が高い。
これが、たいへん大きな要素だと思う。

厚生労働省により、日本中が拠点化すすめられているが、
むしろ拠点化、集合化する前の、長野県の医療のあり方が、ランキング1位にしているのではないか。
それは、病院同士のネットワーク化である。
これまで長野県は、信州大学を中心にして、ネットワークを張り巡らし、小さな病院は小さな病院なりにがん治療を行ってきた。
このネットワーク化が、地域を支えてきたのだ。

がん対策基本法ができてから、病院の拠点化や集合化がすすめられている。
だが、そうすることによって、拠点病院の医療の質がアップする一方、患者が集中し、医療が乱雑になっている面も否定できない。
拠点病院さえあればいいというでは、すぐに破綻する。
拠点病院を中心にしながら、ネットワーク化を明確にしていくことが、がんの治癒力をアップさせるのではないかと思う。

写真:あたたかい今年の冬、久しぶりに雪が降った。
伊那の高遠へ抜けていく、杖突峠の山が真っ白く雪で覆われた。
朝日があたり、じつに美しい。

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