鎌田劇場へようこそ!(17)『子供の情景』
監督は、ハナ・マフマルパフ。
この映画をつくったときは、19歳だった。
ハナの父、モフセンは有名な『カンダハール』を監督している。
イランの代表的な映画一家である。
19歳の少女監督の作品とは思えない。
なかなか訴えるものが多い作品である。
首都カブールの北西部、ヒンドゥークシュ山脈のふもとにバーミヤンがある。
岩山を削り込んでつくられた巨大な石仏は、タリバンによって破壊された。
あの遺跡のすぐそばに住む、6歳の女の子の物語である。
少女は、勉強がしたいと思った。
家のたまごを持ち出し、それを売って、ノートを買おうとする。
勉強がしたくてしたくてたまらない。
なんとか学校にもぐりこむ。
少女の冒険がはじまる。
戦争遊びをする男の子たちに巻き込まれ、怖い目にあっていく。
大人の世界をほうふつさせるのである。
映画のエンディングでは6歳の女の子が、悪ガキの男の子たちに囲まれて、木の銃で撃たれる。
少女を救おうとする少年が叫ぶ。
「自由になりたいなら死ね、自由になりたいなら死ぬんだ」
その声が、バーミヤンの谷間にこだまする。
アフガニスタンは、戦争がずっと続いている国である。
1979年、ソ連のアフガニスタン侵攻から内戦。
そして、タリバンが政権をとり、さらに9.11後、アメリカの攻撃を受けて、タリバン政権が崩壊した。
戦争のさなか、女性は、勉強を禁止され、仕事につくこともできない。
タリバンはヒジャーブという布で頭を覆うことを強要している。
少女の「勉強をしたい」という切なる願いが、この国で唯一、未来へとつながる願いであることがわかる。
随所に美しい光景が出てくる。
ポストモダンのような、不思議な切り口を感じさせる映画である。
絶対に、がっかりさせない。
この時代にこそ、みてもらいたい映画である。
4月18日から東京・岩波ホールでロードショーされる。
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