鎌田實の一日一冊(21)人生をあきらめない患者と医師の物語
『主体性をひきだすリハビリテーション 教科書をぬりかえた障害の人々』(長谷川幹著、日本医事新報社)はすばらしい本だ。
脳卒中によって右片マヒになった人が、美容師として復帰していく。
脳出血をのりこえて、国際ボランティア活動をしたり、看護師に復職したりしていく。
乳がんの脊椎転移により、両下肢マヒを起こした人が、長期間の筋力トレーニングで外出ができるようになっていく。
そんな、すごい患者さんたちが登場する。
そして、著者の医師は、その課程の治療やリハビリを、丁寧に、隠すことなく書いている。
とにかく、すごい本である。
リハビリの専門家にも読んでもらいたい。
介護の仕事をしている人にも、保健師にも、内科のドクターにも、読んでもらいたい。
実は著者は、鎌田の大学時代の同級生である。
80余人のクラスで、鎌田は80番目、長谷川幹は81番目。
長谷川くんがいたおかげで、鎌田は番外に落ちることはなかった。
仲がよかった。
いま、著者は桜新町リハビリテーションクリニックという、リハビリ専門のクリニックを開業している。
世田谷の人に会うと、長谷川くんの話がよくでる。
自転車にのって、訪問リハビリに出かけていく長谷川くんの姿は、地域の人によく知られているらしい。
いつも原則的な人。
人間として信頼できるドクターである。
患者さんの主体性を引き出すリハビリテーションというものが、どういうものかよくわかる。
どんな状況になっても、本物の社会復帰ができる可能性があることが、よくわかる。
そんな、どこにもない本である。
ぜひ、読んでほしい。
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