空気に負けない
スマップの草なぎ剛さんが、公然わいせつで現行犯逮捕されたとき、
ちょうど、キムタクのお母さんと一緒だった。
「草なぎ君はやさしくて、礼儀正しい。悪いことはしないと思います」と言っていた。
キムタクのお母さんには、かつて「いのちの対話」のゲストで出演していただいたことがある。
『いいかげんがいい』のなかにも書かせてもらった。
キムタクのお母さんは、3月にブラダン・コチのコンサートに聴きに来てくれて、ロビーでJCFの募金箱をもってくれた。
そのとき、ぼくが大分に講演に行くという話をしたら、大分に、小さな老人病院ではあるが、職員が一生懸命あたたかな医療をしている病院があるので、会ってあげてほしいと言われた。
そして、大分で講演し、老人病院のスタッフたちと、おすし屋さんで落ちあい、いろいろな医療の話に花を咲かせた。
おもしろいすし屋だった。
こんなに笑いながら食べたすし屋は初めてだ。
暖簾をくぐるなりオヤジさんが、「日本でいちばん大きな駐車場をもったすし屋です」と自分の店のことを言った。
市場のなかにあり、3000台の車が止められるという。
夜は、市場にほとんど車はない。
夜、店を開いているのはこのすし屋だけ。
たしかに、3000台の駐車場をもっているすし屋は、日本広しといってもほかにはないだろう。
お店は小さい。
20人もはいれば一杯になりそうである。
3000台の駐車場がなくてもいいような気がして、ついつい笑ってしまった。
注文をするたびに、必ず、ギャグか駄洒落が入る。
大うけである。
オコゼのすしははじめて食べた。
オコゼは刺身も揚げ物も何度も食べたことがあったが、すしは初めてであった。
見事にうまい。
あとはただただ腹がよじれるほど笑わされた。
その楽しい大分から帰るとき、空港で草なぎ君の逮捕のニュースを見たのである。
バッシングをしてしまう空気がこの国にはある。
スターをたくさん抱えた大きな事務所には、はむかえないマスコミが、ちょっとしたことがあると、
その裂け目にじょうじてバッシングの嵐をふきあらす。
警察も調子にのって、家宅捜索までしている。
尿検査で薬物反応がでなかったのに、家宅捜索は必要なかったはずなのである。
しかし、家宅捜索で薬がでなかったことを実証できたことは大きい。
それ以上たたく必要はないのである。
結局、酒。
酒はもともと好きで、強かったみたいだ。
「酒はのむもので、のまれるものではない」と父の岩次郎がよくのみながらいっていた。
ぼくはアルコール依存症の人たちをたくさんみてきたので、酒の怖さをよく知っている。
自分自身でもストレスを酒で解放しようとは思わなくなった。
草なぎ君は酒にのまれただけである。
酒にのまれる人間は、これからものまれるだろう。
だから、酒を止めればいいだけの話。
1回や2回の失敗はだれにでもある。たいしたことはないのである。
心配なのは、9月公開予定の主演映画。
一人で生きているわけではない。
約20億円ものお金が投入されていると聞く。
上映できなかったり、こけてしまうと、たくさんの人たちが被害に遭う。
草なぎ君は酒を止めるということを約束をして、社会復帰をすればいいのだ。
回りも、バッシングの空気に染まらないことである。
ほんとうはCMも一社くらい土俵際でこらえてあげればよかったのである。
ぼくたちの日本は、この空気に弱い。
かってに空気を読み込んで、空気に染まる。
染まりながら、一人ひとりが空気をつくりだしてしまっているように思えてならない。
空気で縛りあわないこと。
今回は、大きな犯罪ではない。
とりたててほめられたことではないが、とりたててやめなくちゃいけないこともない、という大人の発言がどこかから出るとよかったと思う。
空気に染まらない国にしたいものである。
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