新型インフルエンザに負けない②
~~パンデミック~~
新型インフルエンザが上陸した。
『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ―人類とウイルスの第一次世界大戦』(速水融、藤原書店)と、『人と細菌―17-20世紀』(P・ダルモン、藤原書店)という2冊の分厚い本を読みながら、人類と細菌、ウイルスとの戦いについて考えた。
1918年のスペイン・インフルエンザは、3回の波があり、日本人は45万人亡くなり、世界では4000万人が亡くなったと推定されている。
まず1918年の秋から3月が第一波の猛威が振るわれる。当時の内務省の発表によると2116万人が感染し、25万7000人が死亡している。
第二波は、1919年の12月から3月、第三の波は1920年12月から3月。やはりスペイン・インフルエンザは冬に猛威を振るった。
このときの日本を襲った状況を調べていくと、注目すべきことは1918年4月に大相撲の力士3人が、台湾巡業中に死亡している。
5月には軍艦でパンデミックが起きている。
6月に全国に広がるが、おだやかな形で終わる。
7月になるとインフルエンザの波は止まっているのである。
このときの4~6月にかけての波をスペイン・インフルエンザと同定していいかどうかは難しいが、おそらくスペイン・インフルエンザであり、H1N1の弱毒のタイプであっただろう。
現在の新型インフルエンザと同じタイプである。
季節性のインフルエンザに近い毒性だと思われる。
1957年にアジアインフルエンザ、1968年には香港インフルエンザが世界で猛威をふるったが、どれも弱毒型であった。
弱毒型でも、たしかに怖いことは怖い。
こうした過去の例からみると、6月末くらいまで軽い感冒様症状のインフルエンザが広がり、1度治まるのだが、問題は秋から冬にかけてなのだ。
スペイン・インフルエンザの死亡率が高くなったのは、1919年の第二波からといわれている。
恐れすぎる必要はないが、今後の準備はしておかなければならない。
今は、不安という空気に染まらないことである。
むしろ今感染した人は、来年、再来年感染しても、重症化することが少ないといわれている。
今のところ、若い人たちに発生が多い。
しかも、メキシコでもアメリカでも若者のなかから死亡者が出ている。
若者が重症化しているのは、過剰免疫反応、サイトカイン・ストームが起きているのだと思う。
新型インフルエンザのときに、よくあることである。
2003年から数は多くないが報告されている、強毒型の鳥インフルエンザH5N1に人が感染した例でも、やはり死亡率は10歳代の人たちが高い。
これは過剰免疫反応と考えていいだろう。
もちろん、お年寄りが安全という意味ではない。
今後、新型インフルエンザが蔓延し、お年寄りが感染したときは、過剰免疫反応はおきないが、体力がないために重症化する例も出てくる。
結局、今、自分たちでやれることは手洗いの励行と繰り返しのうがいである。
インフルエンザにかかったら、早期に病院に行き、早期にタミフルを使用することである。
同時に、家族や職場に広げないように、できるだけ人との接触を避け、数日を安静に過ごすことが大事である。
今後も人類はウイルスとの戦いをせざるを得ないだろう。
新型インフルエンザのワクチンの製造は、半年はかかるといわれている。
政府は、ワクチンの製造に全力投球し、本格的な季節に備えるである。
日本の鶏卵を使ってワクチンをつくるシステムは、非常に遅れている。
組織培養細胞でウイルスを増殖させるシステムがすでに確立しているので、できるだけ早く安定的なワクチン製造システムを整えるべきである。
舛添さんは、一時そんなことを言いかけたが、すぐに前言をひるがえしている。
こういう腰砕けではいけないのである。
世界がこれからウイルスを使おうとしてるときに、日本がその治療の先頭を走れるようにしておくことは、チャンスである。
麻生さんは、職能協会に7000億円もの無駄金をぶち込もうとしているが、またコンパニオンにお金が消えるだけ。
このお金をワクチン製造システムに使うことで、今後、どんな新型のウイルスが出てきても、3カ月くらいでワクチンを供給できるシステムをつくってしまえば、
これから何年か後におきてくる強毒性の鶏インフルエンザが変異して、人に感染したときに、ワクチンで対応できるはずである。
国民の税金をコンパニオンと一緒に飲むお金につかってほしくない。
インフルインザの猛威に対して迅速で適切な対策をとることは、国民に安心を与えるだけでなく、世界から尊敬される国づくりをするチャンスにもなる。
麻生さん、はやく前言をひるがえして、くだらないお金を使わず、新型インフルエンザのワクチンづくりにお金を投入してほしい。
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