新型インフルエンザに負けない③
~~ウイルスとの長期的な戦い~~
国内に侵入した新型インフルエンザは、1カ月後にピークを迎えるといわれている。
6月10日前後にあたる。
しかし、何度もいうが、新型インフルエンザは弱毒性のウイルスなので、きちんと対処すれば被害は少なくすますことができる。
1918年のスペインインフルエンザの第一波の発症経過をみると、6月末から7月に鎮火している。
おそらく今回のも、7月上旬に鎮火するだろう。
問題は今年の冬である。猛威を振るう可能性は大きい。
この新型インフルエンザに対応するワクチンを、パンデミック・ワクチンといい、すぐに大量につくるべきである。
このワクチンとは別に、政府は、H5型の強毒性の鳥インフルエンザに対応するためのワクチンを3000万人分備蓄しているという。
これを、プレパンデミック・ワクチンという。
これは優れた発想である。
鳥インフルエンザは強毒性なので、ワクチンで国民に基礎免疫をつけておくことによって、日本では45万人、世界では4000万人が亡くなったスペイン・インフルエンザのような悲劇を回避できる可能性がある。
インフルエンザは、何がはやるかわからないが、鶏インフルエンザの大まかな形であるH5型のワクチンを一度打っておくことで、たとえウイルスが突然変異をおこして形が変わったとしても、強毒性の鳥インフルエンザへの免疫力は高まるのだ。
まずは、今年の冬に間違いなく流行する新型インフルエンザのパンデミック・ワクチンをどれほど準備であるかである。
日本の力を示すチャンスである。
年率換算すると、GDPが15%下がるほど景気が悪化しているという。
これ以上の景気の悪化を防ぐためにも、政府はインフルエンザ対策にきちんとお金を投資し、世界をリードすべきである。
もう一つ大事なことは、恐れすぎないように、政府や厚生労働省は国民に強くアピールを繰り返すべきである。
当初の水際作戦のときのイメージは、かえって恐怖心をあおったような感じがした。
それが、外出禁止や社会活動の中止につながり、経済や人の活動を萎縮させていくことになった。
社会活動を中止するのではなく、社会活動ができるように対策をとるべきなのである。
ここをはきちがえないようにしたい。
インフルエンザは、飛沫感染する。
半径1メートルくらいの範囲には、くしゃみや咳などともにウイルスが飛び散る。
空気感染も起こす。
くしゃみや咳などで飛んだウイルスが空気中のほこりなどについて、しばらくの間、空中に漂う。
それを吸うことで空気感染する。
空気に染まるなということを、このところ繰り返し書いてきた。
6月11日から、集英社の携帯総合読み物サイト「theどくしょplus」(有料)で、「ながされない―鎌田實の《空気に負けない生き方》」という連載を始める。
人間の心と空気の関係を展開する予定だ。
新型インフルエンザに対しても、恐怖心が先行した空気に感染してはいけない。
政府のミスリードで、国民の心がどんどん萎縮する方向にきているように思う。
負けずに、元気を出して、楽しいことをしたり、体を動かしたり、おいしいもの食べにレストランに食べに行ったり、活発に社会生活を送ったほうがいい。
もちろん、無防備ではいけない。手洗いとうがいを繰り返し行うことは重要だ。
マスクに関しては、CDCは効果を認めていない。してもいいけれど、しなくてもかまわない。
個人の判断でいい。
何か、マスクをしていないといけないみたいな空気があるが、科学的根拠のないことに惑わされる必要はない。
はっきりと科学的根拠のあるものには、それを守ったほうがいいが、そうでないものはマスクをつけることを含めて、強制しないことが大事だと思う。
写真は、諏訪中央病院の庭。
イングリッシュガーデンから寄付していただいた、オランダから輸入したチューリップが終わるとムスカリが咲き、今、ポピーが咲き出している。
| 固定リンク
「心と体」カテゴリの記事
- ほろよい勉強会(2024.07.19)
- 野菜の王様ブロッコリー(2024.05.16)
- 睡眠を妨げない排泄ケア(2024.05.15)
- 記録更新65キロ(2024.02.13)
- 日刊ゲンダイ(2024.01.28)