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2009年6月 8日 (月)

鎌田實の一日一冊(24)イラクの子どもたちの声を聞いて

日本イラク医療支援ネットワークの事務局長をしている佐藤真紀さんと、児童文学作家の本木洋子さんが、
『おとなはなぜ戦争をするの2 イラク編』(新日本出版、1890円)という本を出した。

大人はなぜ戦争をしてしまうのか、イラクの子どもたちの視点から書いている。
ガレキの町で、白血病や骨肉種と闘う子どもたちが出てくる。
子どもたちは、病気と闘いながらも、病院や家庭、難民キャンプのなかで勉強を続けている。Photo_2
勉強をすることが、いつか自由に羽ばたける可能性をつくってくれる。子どもたちはそう信じて、勉強をする。
そして、子どもたちはたくさんの絵を思いのままに描く。
その子どもたちの絵が、この本の柱になっている。

子どもたちの絵をみると、かつてイラクはどんな国だったのか、よくわかる。
その国を、大人たちが戦争でずたずたにしてしまったことが、よくわかる。
でも、子どもたちの心は、まだ死んでいないことがわかる。
子どもたちは、イラクが好きなのである。
そして、いい国に戻ることを望んでいるのである。
元サッカー選手の中田英寿さんが、ぼくたちが支援している脳腫瘍の4歳の女の子イラフちゃんのアパートを訪ねたときの写真が出てくる。
イラクのお父さんやお母さんたちが、どんなに子どもを大切にしているかもわかってくる。

白血病や小児がんになった子どもたちは言う。

「それでもぼくたちは生きています。
私たちは戦争が好きではありません。
大人たちはなぜ戦争を起こしたの。
私たちは平和だけが好きなのに。
そう私たちは戦争はきらい。そして怒っています。
私たち子どもはなぜあなたたち大人が戦争を始めたのか聞きたいのです」

ぜひ、イラクの子どもたちの声を聞いてもらいたいと思う。

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