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2009年7月28日 (火)

鎌田實の一日一冊(32)「イラクで私は泣いて笑う」

『イラクで私は泣いて笑う NGOとして、ひとりの人間として』(酒井啓子編著、JVCブックレット)を読んだ。
著者は、東京外国語大学大学院教授の酒井啓子さん。
イラク医師会が2007年9月に発表した数字では、医師の4分の3が廃業に追い込まれ、半分が国外に脱出したという。
「それでもイラク内に残っている医師がいるかぎり、子どもたちに薬を届けて、救命していく」とJIM-NET事務局長の佐藤真紀は述べている。Photo_3

2007年秋以降、徐々に治安は改善している。なかでも政府がサドル派を押さえ込んだことが大きいという。
日本のイラク復興資金援助は、約15億ドルが無償資金協力、35億ドルが円借款とのこと。
どうも相変わらず、有効に役立ってはいないような感じがしないでもない。

国外に脱出したイラク人は250万人。イラク人口の約1割が脱出している。
テロに襲われ、国内避難民も多い。
国内避難民とは、自分の家に住めなくなり、劣悪な環境の砂漠でテント生活をしている人たちであり、220万人いるという。

イラクは7割はアラブ人、2割はクルド人、1割はトルコ人か、あるいはキリスト教を信じているいくつかの小さな民族。
イラク軍が何度かクルド人を攻撃しており、フセイン時代にはアルファール作戦によって10万人が化学兵器で殺された。
そのためにクルドは、メシュメルガという民兵組織をつくる。
現在は、これがクルド地方政府の軍隊となり、しっかりとテロリストの侵入を防ぎ、治安維持を図っている。
石油も出ているために、経済も復興している。
復興支援も軌道に乗ってきた。

ぼくは、8月16日からこのクルド地区で、カンファランスを行う。
2つの病院も視察してくる。
現地からリアルタイムで、イラクの状況をブログでお知らせしたいと思っている。
ぜひ、注目してください。

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