新シリーズ・介護の新しい発想①
介護の空気を変える
「介護崩壊」が始まった。
現在、特養入居者は40万人。待機者は約40万人。
療養型は、38万床から18万床に減らす見直しがされたが、緩和措置がとられて2万床プラスされ、20万床にするという。
重い障害のある高齢者を在宅でみていこうという政府の方針はたいへんいいことではあるが、実際のところ重い介護度4、5の人をみていくには、とても家庭では難しい。
介護者が2人いる、住居の構造が介護する部屋が一つ余計にあるなど、いくつもの条件をクリアしないと長期間の在宅ケアは実際のところ難しい。
政府は10年前、高齢者を大切にするといい、介護保険の導入に踏み切った。
家族による介護から、社会による護へと転換が図られた。
社会的な介護サービスを、だれもがいつでも権利として利用できるように、介護保険という制度がつくられたのである。
にもかかわらず、政府は介護費用の上昇にブレーキをかけ、介護報酬を抑制しつづけてきた。
そのために介護の現場で働く人はきちんと報酬がもらえず、介護の世界を辞めざるを得ない若者が増えだした。
介護のプロを養成する学校も募集定員をそろえるのが難しくなりだした。
高齢化はさらにすすみ、介護の仕事をする人は40万人足りないと言われている。
介護の仕事に就く人がいないために、長野県にできた特養でも、入所希望者は殺到したが、介護のスタッフを十分にそろえられないために、
高齢者を入所させられないというちぐはぐなことが起きている。
社会保障費2200億円の抑制の枠がやっと、6月23日の自民党の総務会で削られることになった。
ぼくが言い続けたことがやっと成立したのである。
医療崩壊、看護崩壊、介護崩壊がこの数年でべらぼうに進んでいる。
なんとかしないといけないときに、ようやく自民党は社会保障費2200億円を断ち切ることができた。
えらい、とほめてあげたい。
介護報酬を今年の春から3%アップしたこと、この10月より介護にかかわる人材の1カ月1.5万円分のベースアップすること、その交付金が約4000億見積もられている。
これによって、介護のムードが変わっていくだろうと思う。
優秀で誠実でやる気がある若者たちが、介護の世界に入ってくることを望んでいる。
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