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2009年8月

2009年8月31日 (月)

発見!特B級グルメ(73) シロコロ

今日は、神奈川県厚木市にある特別養護老人ホーム玉川グリーンホームの20周年記念で、講演に来ている。
用意してくれたお昼が、「シロコロ・ホルモンのお弁当」だった。

090831image328 シロコロとは、腸を味噌味で焼いた厚木のホルモン料理。
厚木市にはホルモン焼き屋さんが50軒ほど軒を連ね、それぞれの店で味をきそっているらしい。
はじめて食べた。
コリコリと歯ごたえがあり、味噌の味付けがとてもいい。
ときどきホルモンは、ゴムを食べているようなものがあるが、これは特有の臭いもなく、とてもおいしかった。

シロコロ・ホルモンは、B級グルメの祭典といわれる「B-1グランプリ」で、2008年のゴールドグランプリを受賞したという。
それだけのことはあるなと思った。

最近、講演に呼ばれると、ぼくの好みを調べてくれているのか、その土地でしか食べられないような、安くてうまいものを出してくれることが多くなった。
ありがたい心使いだと思う。
講演も、多くの人が集まってくれた。感謝。

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9/1 星空をみる夕べ

明日9月1日、午後6時30分~7時30分まで、諏訪中央病院3階屋上で、「見上げてみよう夜の星」という集いを行う。
国立天文台の天文情報センター長ら4人の専門家が、初秋の夜空を案内してくれる。
車椅子でも見ることができる天体望遠鏡を用意してくれるので、患者さんやご家族、ご近所の方も気軽に参加してみては。

今年は、世界天文年という。
国立天文台は、天文に親しむためのいろいろなイベントを各地で行っているというが、病院で行うのは、今回の諏訪中央病院での集いがはじめてという。

明日は、台風一過で、美しい夜空が期待できそう。
天文に興味のある人、初秋の星空を鑑賞したい人、ぜひ、ご参加ください。
参加は無料です。

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新型インフルエンザに負けない⑮

~~ワクチン接種は自己決定を~~

新型インフルエンザワクチンを輸入するかどうかは、意見が分かれる。
先進国の日本が、国民を守るために自国でワクチンを製造できずに輸入してしまうと、低開発国の人たちがワクチンを打つチャンスが少なくなってしまう。
組織培養細胞を用いて製造された輸入ワクチンは、アジュバントという免疫を抑制する物質が添加されているために、治験が必要であると主張する専門家もいる。
どちらかというと、輸入に対して消極的な専門家が多い。
だが、今、ワクチンを輸入する意味は、国内でのワクチン製造が足りないための緊急措置であるから、悠長に治験をしている時間はない。
輸入を認めるということは、特措法をつくって特例承認をするということである。

ぼくの意見は、国内でのワクチン製造体制を整えるべきというのが第一であるが、今期はこれが間に合わない以上、輸入すべきである。
だが、その際、政府が強制接種のムードを高めるのでなく、一人ひとりが自己判断で接種するかどうかを決めることが大事だと思う。
1976年、アメリカで、インフルエンザワクチンの接種を受けた4000万人のうち、500人にギランバレー症候群という脊髄炎が起きた。
それ以降、日本でもワクチンに対して消極的なムードが高まったということは、以前、書いた通りである。
1960年に国内でポリオが大流行したとき、翌61年にソ連から大量の生ワクチンを輸入し、超法規的に投与し、子どもたちを小児麻痺から守った。
これは明らかに効果があった。小児麻痺の子どもが激減したのである。
このようにワクチンにはいい面と悪い面があるので、きちんとした情報のもとに、国民ひとりひとりがワクチンを打つかどうか自己決定していくべきである。

少なくともワクチン不足ということに過敏に反応し、やみくもにワクチンに飛びつかないこと。
冷静さが大切である。

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2009年8月30日 (日)

発見!特B級グルメ 祭り

いつもご好評いただいている「発見!特B級グルメ」。
最近、各地を歩いて出合ったものを一気に紹介しよう。

★トマト味のリゾット(68)

東京駅で時間があると、駅ナカのリーゾカノビエッタというリゾットの専門店に入る。
いつもはチーズがたっぷり入ったものを注文するが、この日はほうれん草とエビ、九条ネギが入ったトマト味のリゾットにした。090730
上品で、たいへんおいしい。
700円。
ぼくはとにかくお米が好き。
ここの玄米のリゾットもおいしい。
体のことを考えている人は、玄米のリゾットをすすめします。


★シシカバブ(69)

090802 蓼科東急の中にあるカレーの名店ナマステ。
ここのシェフは、インドの首相など要人が来日すると、料理人として招かれるという有名なカリスマ料理人。
カレー好きのぼくだが、今回はシシカバブをいただいた。
羊の肉にターメリックやクミンなどの香辛料をたっぷり入れている。
おいしい。
南インドのシシカバブである。

ターメリックに含まれるクルクミンは、認知症予防にいいといわれている。
カレーはぼくにとって、夏を乗り切るスタミナ源でもある。
カレーうどんも欧風カレーもスープカレーも好き。
なかでも、ナマステのカレーは一番だと思っている。

★レモンタルト(70)

0908071アンテノール神戸本店のレモンタルトを食べた。0908072
甘さが薄く、レモンがきいていて、たいへんおいしかった。
ここは、パティシエの選手権「世界パティスリー2009」で優秀した日本代表チームのパティシエ野田朋宏のいるお店である。

神戸ハーバーランドから海を望む。

★番外編・しんこの握り

蓼科の三井の森のなかにあるお寿司屋さん「みつ山」でしんこのにぎりを食べた。
しんこは、こはだのの子ども。
きれいに処理した五枚のしんこを美しく並べている。0908011
とても手の込んだにぎり。
今の時期だけ食べられる。

これは、さすがにB級というには、気が引ける。
B級グルメを超えてしまった。
森の中のお寿司屋さんで、新鮮な海の幸をいただいた。

★鉄板みそかつ(71)

名古屋の矢場とんの鉄板みそかつ1350円に、山盛りのキャベツ105円を追加して食べた。
ぼくは名古屋に来るとよく矢場とんのみそかつ丼を食べるが、
この鉄板みそかつははじめて食べる。
隣の人が食べていておいしそうだったので。0908281image326

からしと唐辛子、ごまがついていた。
八丁みその甘みと、からし、特に唐辛子がよく合う。
ごまは、みそが甘いのでくどい感じがした。

ぼくは八丁みそが好き。
みそ煮込みうどんもみそかつも好き。

★カツめし(72)

090808 兵庫県加古川市の名物、いろは食堂パラディオのカツめし。
カツをライスの上にのせ、デミグラスソースをたっぷりかかけている。
ごはんに自慢のデミグラスソースがしみて、カツのあぶらとマッチしている。

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新型インフルエンザに負けない⑭

~~輸入ではなく、輸出を~~

自民党でいちばん人気があり、次期総裁候補といわれている厚生労働大臣。
たくさんの衆議院議員の応援演説にひっぱりだこという。
しかし、この大臣の厚生行政に対する手腕は低いのではないかと、ぼくは思っている。

新型インフルエンザ用のワクチンの輸入を決めたというが、輸入せざるを得ないことじたいに問題がある。
そのうえ、ワクチンの輸入が行われるのは、今の予定では11月末くらいといわれている。
国内のワクチン接種が開始されるのは11月下旬。
決定的に遅いのである。

本来は、9月ぐらいに国内製造ワクチンの接種がはじまると、医療従事者や学校関係者たちの動揺は少なくできたと思う。
医療従事者や学校関係者たちが感染して倒れてしまうと、前線を守ることができない。

新しい政府は早く、国内のワクチン製造体制を整備し、輸入するのではなく、輸出産業にしあげていくべきである。
先進国の日本が、いまだに鶏卵を使用した古いタイプの製造方法に頼っていることじたいがおかしい。
組織培養細胞を用いたワクチン製造体制を早く強化すべきだと思う。

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2009年8月29日 (土)

おもてなしのコーヒーに感激

昨日は、中国山脈のなか、北広島町という町で講演をした。
諏訪中央病院は国保の病院であるが、この町の芸北ホリスティックセンターも国保の診療所である。
同じ仲間ということで、講演に訪ねると、町の人たちが満員で集まってくれていた。
あたたかな雰囲気があった。0908281image324
北広島町に統合された旧・芸北町は、全国で住みたい町ベスト15に選ばれている。
山の中の風光明媚な町であるが、この小さな町が全国で15位にランキングされるのだから、何か魅力があるに違いない。

芸北ホリスティックセンターは、歯科診療所とデイケアセンター、訪問看護ステーション、保健センターと連携して、
あたたかな地域医療を展開していることで知られている。
ここには、吉見先生という医師がいて、もう引退して週3日しか働いていないが、今でも吉見先生に診てもらいたいという患者さんがたくさんいる。
ご本人は肺気腫をわずらい、体力的に苦しいので、早く仕事から身を引きたいと考えているよう。
しかし、町の人たちから“神様”みたいに慕われ、なかなか引退できないという。
もしかしたら、地域医療が充実していることも、住みたい町ベスト15に選ばれた秘密かもしれない。

ぼくは以前からこの芸北町の地域医療のことを耳にし、吉見先生にも会ってみたいと思っていた。
ちょうど、ぼくが講演で訪ねる日は夏休みをとっているということで、お会いできないなとあきらめていたが、
なんとわざわざ会いに来てくれた。義理がたい人なのである。

旧・芸北町は、広島市から車で約1時間40分かかる。
町の人に、車で送迎していただいた。
その乗用車のなかで、栄養士さんがおもむろにコーヒーミルで、コーヒー豆を挽き出した。
そして、ペーパーフィルターでコーヒーをいれて、出してくれた。0908282image325
ぼくがコーヒー好きなことをブログで知っていてくれ、コーヒーを用意してくれていたのだ。
しかも、こんな方法で!
車内で、ひきたて、いれたてのコーヒーが飲めるなんて思いもしなかった。
すごいおもてなしの心である。
おかげで、車内はいい香りに満ち、リラックスできた。

昼食も、ぼくが丼ものが好きということを知って、親子丼を用意してくれていた。
高いお刺身や天ぷらのついた品のいい定食よりも、ぼくは安くておいしい丼ものが好きなのだ。
ミョウガやカボチャとおくらの煮物は薄味でとてもおいしかった。

こうした町の人たちの心づかい、おもてなしの心に触れると、住んでみたい町ベスト15というのは、ここの人たちのあたたかさにあるのではないかと思った。
吉見先生は、20歳代でこの山の中の診療所に入った。
ぼくにも覚えがあるが、途中で、その土地を離れようか迷うときがあったはずだ。
なのに定年を過ぎてまで、今も診療を続けているのは、きっとここの人たちのあたたかさにひきつけられたのではないか。
ぼくはそう勝手に想像している。

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新型インフルエンザに負けない⑬

~~マスク大臣の尻拭い?~~

新型インフルエンザの感染者が急増している。
23日までの1週間で、患者数は15万人にのぼると報告されている。
国内で、5人目の死亡者も出た。
予想したとおり、大変なことが起こりかかっている。

新型インフルエンザの予防にはワクチンが有効であるが、国内では1700万人くらいしか、秋までに準備できないという。
ぼくはこのブログで、繰り返し警告してきたが、やはり政府に手抜かりがあった。

舛添厚生労働大臣は、次期時期総裁として呼び声が高いが、彼がやったことといったら、インフルエンザに対して緊急にマスクを増産するように、0908051
マスクメーカーを集めて頭を下げたり、頓珍漢なことが多い。
後期高齢者医療制度を導入したのもこの大臣である。
年金問題も1年の間に解決するといったのに、まったく問題は解決していない。
苦境に立たされたときの言い逃れがうまいだけで、きちんと仕事をしているとは思えない。
今回のワクチン製造の後手に対して、まったく評価できない。
国民の命を守る仕事がされていない。

新型インフルエンザはN1H1型というタイプがわかっているので、組織培養細胞をもちいたワクチン製造体制をつくれば、国民に必要な数は半年で確保できる。
これは新型インフルエンザの問題だけでなく、今後数年の間に出てくるであろう強毒型の鳥インフルエンザへの対応にもなる点で、とても大事なのである。
にもかかわらず、政府は動かなかった。

国内のワクチンメーカーは4社。
研究所という名前がついているが、日本のワクチン製造はたいへん弱小である。
民間であるから、政府のお金を投入しにくいかもしれないが、国が貸付をするなどして、組織培養細胞を用いたワクチン製造体制を強力につくりあげるべきである。
それは、今後、強毒型の鶏インフルエンザへの対策になるだけでなく、低開発国への命の支援にもなるし、先進国にはそれを売ることによって、日本の新しい形の経済を発展させることにもつながるのである。
小泉さんは、医療のお金をしぼってきたが、これからは医療にお金をかけて、経済を復興させるような新しい企業の助成をしないといけない。
なのに、日本の首相も厚生労働大臣もそれをしなったのである。

国は、ワクチンを輸入をして対応することになるが、治験で副作用について安全性を確認している時間がないので、ワクチンで副作用がでたときには国が保障するという。
これに関しては、あまり賛成できない。
ワクチンには、メリットもあれば、あるパーセンテージ、副作用がでる可能性もある。
それらをきちんと情報公開して、国民もよく理解したうえで、ワクチンを打つかどうか国民一人ひとりが判断をしたほうがいい。
子どもに対しては、親が責任をもって判断をしたほうがいい。

0908031 諏訪中央病院の責任者をしていたときも、病院の職員にワクチンを接種する際、1000円を負担してもらっていた。
当然、病院という感染しやすい職場なので、無料でしてあげたほうがいいのではないかと迷ったが、1000円を出すことによって、自己決定が生じる。
これが大事だと思っている。
国民は、ワクチンを打つかどうかの自己決定をし、そして、こういうことを通して、自己決定する姿勢を得ていくことが大事なのだと思う。
副作用に対する保障制度は、すでに医薬品医療機器総合機構による給付金制度がある。
この制度を使えば、きちんとした保障はできるはずである。

なんでも国が丸抱えすることはおかしい。
ワクチン製造体制を整えて、ワクチンの数をそろえるという国のすべきことを怠った、尻拭いをしているにすぎないと思った。

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2009年8月28日 (金)

伝える気持ち

8月17日のブログに、2000年の発売当初、『がんばらない』(集英社)という田舎医者の本にスポットライトを当ててくれた岩手県のさわや書店の話を書いた。
そのさわや書店がまたしても火付け役になって、『思考の整理学』(外山滋比古著、ちくま文庫)という古い本がベストセラーになっている。

ぼくは、てっきりさわや書店の伊藤さんのシワザと思っていた。
しかし、そうではないという。
この『思考の整理学』に火をつけたのは、32歳の松本大介くん。
「もっと若いときに読んでいれば」というポップを立てて、読者にアピールした。
これがヒットにつながったと伊藤さんは言う。
伊藤さんは、自分の後輩であるが、自分では決してつけないようないいキャッチコピーだったと、松本くんのことをほめている。

うーん。
「もっと若いときに読んでいれば」
このワンフレーズは、たしかに人に訴える力がある。

伊藤さんは、本屋だから本を売りたいのだが、「売りたい気持ち」よりも、「伝えたい気持ち」を大切にしているという。
9年前に『がんばらない』をいろんな手法で紹介してくれたときも、読んだときの感動を伝えたかったのだという。

本の虫、本のソムリエ、本のプロフェッショナル。
こういう人がいい本を発掘し、読者に手渡してくれるというのは、ありがたいことだと思った。

というわけで、『思考の整理学』の火付け役はさわや書店の松本くんだったことを、お詫びして訂正いたします。

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発見!特B級グルメ(67)

090827image321 広島といえば、広島風お好み焼き。
そばと豚ひき肉が、層をなしている。
広島風お好み焼きの元祖といわれる「みっちゃん」で、お好み焼きを食べた。
800円。

よく大阪のお好み焼きとどちらが好きかと聞かれるが、ぼくはどちらも好き。
東京のもんじゃ焼きも好き。
きっとソースが好きなのだと思う。
広島風お好み焼きのソースは、もちろんおたふくソース。
これぞB級グルメだ。

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夕暮れの錦帯橋

イラクから帰国して、昨日は岩国を講演で訪れた。0908272image322
木造の美しい橋、錦帯橋は夕暮れの水面に映えて美しかった。
川も、鮎が泳ぐ清流。
砂漠のイラクから帰ると、こうした緑の豊かさを本当にありがたく思う。

今日は、広島の山間部、旧・芸北町にいる。
国保の同じ仲間の診療所から頼まれて、講演をする。

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2009年8月27日 (木)

発見! 特B級グルメ(66)

0908263image319 鎌田家のファストフードである。
香川から取り寄せた冷凍うどんを釜揚げにして、みんなで鍋を囲みながら、
生醤油で食べる。

鎌田流の健康長寿的食べ方は、ショウガとシソ、ミョウガ、ネギの4種類の薬味を、中皿に山盛り。
シメジとキャベツ、ほうれん草をかるくゆがいて、これをガラスの鉢に盛り付けている。
これらをたっぷりうどんにのせて、ほんのわずかな生醤油をたらし、さらに山盛りのすりゴマを振りかける。

がんになりにくく、生活習慣病の動脈硬化の予防にいい。0908262image318

ショウガとネギは、アディポネクチンの分泌をよくして、動脈硬化の予防になる。
同時にショウガには、デトックス効果がある。
山盛りのゴマのセサミンは、抗酸化力が強い。
おかずは庭で採れたきゅうりとトマト。
きゅうりは、ステックにしてゴマみそマヨネーズ(我が家ではゴマみそマヨと呼ぶ。マヨネーズは少量)で食べるのが鎌田流。
大根やセロリのスティックでもいける。
タンパク質はわずかなマヨネーズのみ。
今日は、日本に帰ってきて、贅肉をとる日です。

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2009年8月26日 (水)

久しぶりのひげ剃り

日本に帰ってきた。0908261image316
久しぶりに風呂に入った。
旅行中、イラク、ヨルダン、シリアではもちろんシャワーのみ。
シャワーにも入れない日もあった。
風呂につかり、日本的幸せをかみ締めている。
砂漠のドライな気候ではなく、日本のウエットな気候のおかげで、豊かで安全でおいしい水があるというすごさを肌で実感している。

久しぶりにしっかりとひげを剃った。
うちのサトさんやお嫁さんや娘が使っている黒い石鹸が泡立ちがよく、ひげ剃りにぴったりなのである。
昔の床屋さんはシャボンを泡立ててひげを剃ってくれたが、この黒い石鹸も、それと同じような泡立ちがある。
とても気持ちがいい。

ついでに言うと、ぼくは床屋にはもう20年もいっていない。
忙しくて、床屋で待っているのが嫌いなのである。
L1070913ぜんぶサトさんが切る。
ひげの一部もサトさんが整えてくれる。
鼻の下とほっぺたのところは毎日、黒い石鹸で自分で剃る。

下の写真は、シリアのダマスカスの旧市街地の床屋さん。アラブのひげもさもさの男たちが3人、ぶっきらぼうな顔で順番待ちをしていたのはおもしろい光景だった

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鎌田實の「がんばらない健康法」(6)

鎌田實の「がんばらない健康法」(6)(全6回)

ちょい太で健康・長生き!

体のリズムは90分の倍数間隔。
疲労の代謝にはクエン酸。
おすすめは、夕方に「牛乳+りんご酢」を一杯のんで元気回復!

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鎌田實の一日一冊(33)

『渡邉美樹の超常思考 勝つまで戦う』(渡邉美樹著、講談社BIZ)

渡邉美樹さんから本が送られてきた。
49歳で、ワタミの社長を辞めた。
会長・CEOになっているので経営権はもっている。
なかなかおもしろいと思った。
彼が経営する郁文館夢高校で、過去の英検試験の不正が発覚した。
その真実はどこにあったのかと気になっていたので、この本が送られてきてすぐに読んだ。

「超常思考」といっているが、渡邉美樹の発想は儒教的な発想を思考の軸にしている。
実にシンプルで常識的である。 Photo_2
絶対にぶれない思考の軸だとか、経営を成功させる思考法とか、価値観を転換する思考法だとか、具体的でわかりやすいが、実に儒教的である。
最後にも論語を持ち出し、「過ちてあらためざる、これを過ちという」という言葉まで引用している。

ぼくは孔子や孟子の規範のような考え方は、必要だとは思うが、あまり好きでない。
その点、タオイズムには、ちょっとあやふやであいまいなところがあるが、人間界を超えて、地球上の生き物が共生していくための大事な考え方がつまっているような気がしている。

渡邉美樹の、「いつも千の笑顔やありがとうを集めることが目標」とか、「夢は日付を入れなければいけない」という考え方を、ぼくはずっと泥臭いと思ってきた。
彼の経営している北海道の無農薬野菜の農場を、ぼくは見に行ったこともある。
カンボジアでは、200の学校をつくってきた。
そういう彼の生き方を、ちょっとクサイと感じながらも、いつも興味をもってきた。

この本の内容と彼のこれまでの生き方は、タオイズムにひかれるぼくにとって「超常思考」とは思えないが、
最後のページの一文に目がとまった。
「日付の入る夢は超えなければいけない。日付の入らない見果てぬ夢こそ、私が目指す追いかける夢ではないたろうか」
もしかするとここに、大事なものをつかむための何かを暗示しているかもしれない。
これからの渡邉美樹に、超常思考的な生き方が出てくるのかどうか、楽しみにみていきたいと思う。

誤解のないように言っておくが、儒教的な発想が悪いというわけではない。
この本は、儒教的な発想の上で、より実践的な生き方を説いているので、実にわかりすい。
特に、生き方に迷っている若者たちには、いいヒントになると思う。
若いときにタオイズムの本を読んでも、なかなかイメージできないだろうから。

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2009年8月25日 (火)

岩次郎小屋に帰ってきました!

090825image313 無事、イラクの医療支援の旅から戻ってきた。

灼熱の気温50度の砂漠の世界から、緑豊かな信州へ。
久しぶりの岩次郎小屋は、なんとなく初秋の気配が漂っていた。 090825image314
八ケ岳は秋の雲。
庭のコスモスも風に揺れている。
やっぱり日本っていいなあ、と思う。

ぼくはだいたいどこへ行っても、なんでもおいしく食べてしまう。
アラブの料理も、体に合った。090825image315

けれど、やっぱりおいしいだしのきいたつゆで、信州のおそばが食べたいなあ。
今夜あたり、久しぶりにおそばを食べに行こうと思っている。

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2009年8月24日 (月)

イラク便り⑦~アルアリードの難民キャンプ

ウィーン空港に無事到着した。
国境をいくつも越えた医療支援の旅も、暑さと埃と強行軍にも負けることなく、無事に終わりそうである。
日本から何度か、ご心配をおかけしたようですが、
いろいろとありがとうございました!!

シリアで、写真の送信を試みたがやはりダメだったので、ウイーンからアルアリードの難民キャンプの写真をお送りします。

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★世界遺産のパルミラ遺跡

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2009年8月23日 (日)

イラク便り⑥~国境に思う

昨日はシリアとイラクの国境で予想以上の足止めをくらい、「鎌田は難民になるかも!?」と不安になったが、なんとか無事に国境を越え、イラクに再入国できた。
そして、アルアリードの難民キャンプで診察をし、夜の10時にまたシリアに戻ってこれた。
今朝は、東シリアにある、紀元前150年にできた世界遺産のパルミラ遺跡の近くにあるホテルで朝食をとり、ほっと一息ついている。
無事、難民にもならず(笑)、この旅の最後の大仕事が終わってほっとしているところである。

昨日から、こちらはラマダン(断食月)だった。
朝日が昇る前の午前3時半、このホテルは近くにシーア派の聖地があるため、宿泊客のほとんどはシーア派の人たちらしく、朝からお祈りがはじまった。
彼らは朝のお祈りの前に食事をすませ、それから夜まで、水もとらない、ツバものみこまない、という断食を行う。
一切を我慢して、貧しい人たちの思いを忘れないようにする儀式だ。

そんな独特の雰囲気のなかで、ぼくらは夜明け前に食事をすませ、ホテルを出発した。
ところが、昨日書いたようにシリアとイラクの国境で思わぬ立ち往生。
結局、シリアの国境を越えるのに5時間、イラクの国境を越えるのに2時間、合計7時間待たされた。
ようやく、目的地のアルアリードの難民キャンプへと向かうのであるが、やはりイラク国内は緊張が漂う。
パトロールとして、2人の若者がぼくらの車の上に連発銃を設置し、テロリストの襲撃から守ってくれながらの移動となった。

アルアリードの難民キャンプは、3度目である。
1800人が生活をしている。
昨年はかなり衛生状態が悪く、大腸炎などが多発していた。
ぼくらは医療機器などを寄付し、医療水準をあげる応援をしたり、UNHCRが衛生状態を改善しようと数百メートルほど場所を移して作りなおしたこともあり、衛生状態は昨年よりも改善していた。
しかし、精神衛生は、まったく改善されていない。
むしろ深刻化している。
「キャンプシンドローム」とぼくは呼んでいるが、悲惨な状態がいつまで続くかわからない現実に、不満と不安が充満していた。

今回、ぼくらは、超音波の医療機器を寄付し、診療所のドクターに扱い方を教えてきた。
また、4、5年前から医療支援しているイラクとヨルダンの国境の間にあるノーマンズランドのキャンプにいた子どもたちが、ここに移されたので、その後の経過をみたりした。
キャンプでの様子は、明日ウイーンから写真とともにお送りしたいと思うので、お楽しみに。

帰りの国境は、2時間ほどで通過することができた。
だが、国境を通過するだけで、行きと帰りをあわせて9時間もかかったことになる。
国境を越えるというのは、本当に大変なことである。

ぼくは常々、難民は国境がつくると思ってきた。
国と国とを分けるラインは1本だと思われがちだが、実は2本ある。
その2本の国境の中間地帯で、行き場を失った難民もみてきた。
イラクを出国したものの、どこからも入国を許されない、ノーマンズランドのような難民である。
国境がなくなれば、人間はもっと自由になれると思ってきたが、今回、国境を越えることの大変さを体験し、国境という見えない壁の厚さにぼく自身がため息をつくことになった。

今日は、こちらの午後4時のフライトで、ダマスカスからウイーンに向かう。
この旅もいよいよ終盤。
ウイーンに到着したら、インターネットの状況がいくらかよくなるので、写真をお送りしたいと思う。

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2009年8月22日 (土)

イラク便り⑤~難民キャンプの子どもたち

今朝、シリアのダマスカスを出発し、砂漠のなかを走って、シリアとイラクの国境までたどりついた。
しかし、国境の手前で2時間半近く立ち往生。
イラクの外務省の許可は得ているのだが、国境を越えるのは大変なことのようだ。

予定では、イラクに無事、再入国できれば、そこからパトロールがついて、アルアリードの難民キャンプまで連れていってくれる。
そして、難民たちの診察を終えたら、またシリアに脱出する手はずになっている。

だが、アルアリードのキャンプは国境のすぐ近くなのに、目前まで来て、国境がなかなか越えられない。
この行きと帰りの国境越えで足止めが続いたら、ぼくらが難民になってしまう(笑)。

カマタが難民になったら、助けに来てください。
なんていうのは冗談ですが、とにかく今はそんな状態。
また、様子をお知らせいたします。

★難民キャンプの子どもたち

0908211

今回は、19日に訪ねたスレイマニア近郊の難民キャンプのことを紹介したいと思う。

スレイマニア近郊にあるカラワ・キャンプには、538人が暮らしていた。
彼らは、バグダッド近郊でテロにあったり、脅迫されたりして脱出したきたイラク国内の避難民である。
同じイラク人でも、宗教の違いとか、アラブとクルドの反目とかで、安心して国内に住めなくなっているという問題もあるのだ。

090821003 ブルーシートや毛布などで囲った掘っ立て小屋のようなところに、寝泊りしていた。
悲惨な生活だった。
ぼくらが難民キャンプに到着したとき、ひと悶着があった。
ぼくらを案内してくれていた難民キャンプの責任者を見つけると、
「5日も新しい水が運ばれてこないのは、どういうことだ」
と、詰め寄ってきた。
そうこうしているうちに、タンクローリーが到着し、みんなが一斉に水をくみに集まってきた。
3歳ほどの子どもも、大きな容器を二つ抱えて、水をくみに出て来た。

食事も衛生的とはいえない。
5歳の男の子が、パンでなべの底をこすって食べていた。090821009
この子は、両親も兄弟もぜんぶテロリストに殺された。
たまたまよそに働きに出ていたお兄さんと再会することができて、一緒にこのキャンプで暮らしている。
お兄さんは、1歳くらいの女の赤ちゃんを抱いていたが、子どもは4人いるらしい。
幼い子どもと弟を食べさせていかなければいけないわけだが、なかなか仕事がなく、難民キャンプを出ることができないのが現状だ。
イラク国外に出た難民は仕事をしてはいけないが、国内避難民は仕事をしていい。
このお兄さんは、建築現場でときどき日雇いの仕事をもらえるときもあるというが、ここはクルド人の土地なので、仕事をもらえるのもクルド人たちが優先で、090821012 アラブの彼らにはあまり仕事はまわってこない。
家がない、仕事がもらえない、生活のメドがたたない。
戦争というのは、本当に人の人生を狂わせてしまう。
だが、よく考えてみれば、今の日本も同じような問題を抱えはじめている。
人間が生きていくうえで大切な家と仕事というのが、きちんと保障される社会にしなければならないとあらためて思った。

難民キャンプで、ぼくがドクターだとわかると、カルテみたいなものや薬を持ったり、小さな子どもを抱いてきたり、次から次へと人が集まってきた。
10日に1度、現地のドクターが来ているというが、あまり評判はよくないらしい。
日本人に対して、信頼してくれているようで、診てほしいという人たちに取り囲まれてしまった。
難民キャンプの責任者は、政府側の人なので、安全上の理由で、途中でシャットアウトしてしまうようなところがある。
ここの責任者はそんなこともなく、むしろ難民の人たちの相談にのってやってほしい、という感じだった。
おかげで、こちらは大変だったのだが、子どもたちの状況を知るいい機会となった。090821014
この後、もう一つ別のキャンプも訪れたのだが、昼から始まった視察と相談は、夜8時までかかってしまった。

カラワ・キャンプを後にし、バリカ・キャンプへと向かう頃には、もう夕闇が迫っていた。
ここは、カラワ・キャンプとはまた別の複雑な問題を抱えていた。

ぼくは4、5年前から、イラクとヨルダンの国境沿いにあるノーマンズランドでキャンプ生活をしている人たちをみてきた。
イラクを脱出したものの、ヨルダンに入国できず、国境の中間地帯にずっと立ち往生している人たちである。
ヨルダンへの入国が許されない。だが、故郷イラクも荒れ果てて帰るところがない。
いつかヨルダンに入国を許されることに希望を託して、ノーマンズランドに留まっているのである。

090821020 バリカ・キャンプには、そのノーマンズランドのキャンプにいた人たちが移されてきていた。
400家族がいた。
生活は、水道があり、簡易式住居が整えられており、ノーマンズランドのキャンプよりは格段にいい。
しかし、平和と希望を求めてイラクを脱出したのに、またイラク国内におし戻されてしまったということで、精神的に重たいものがのしかかっているようだった。
生活はよくなったけれど、希望が見えてこないのである。

かつては北欧などが難民を受け入れていたが、今はどの国も不況により、経済的にも精神的にも、難民を受け入れる余裕がない。
難民たちは、後にも先にも進めない。
生きていくには、ここしかない。

夕暮れのなかで、一人の少女がたたずんでいる光景が印象的だった。

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2009年8月21日 (金)

イラク便り④~無事、イラク出国

現在、現地時間の午前3時。
これからヨルダンのアンマンへ飛ぶために、アルビル空港に向かう。
2時間半しか睡眠をとれなかったが、鎌田は元気です。

次の目的地は、シリアとの国境に近いイラク国内のアルアリード難民キャンプ。
イラク国内を移動するのは危険なため、一度ヨルダンへ出て、アンマンからシリアの国境を越えて砂漠のなかを走り、再度イラクに入国して、アルアリードの難民キャンプにたどり着く。
たいへんな強行軍ではあるが、安全を期しての策である。

イラクでは、無事にすごせた。
食中毒も下痢もない。
とにかく暑いので、脱水にならないようにペットボトルの水をこまめにとっている。
水道水も大丈夫といわれているが、蛇口をひねると30度くらいの生ぬるい水が流れてくるので、いちおう用心している。
ぼくは、冷房が苦手で、ときどき冷房を切ってみるが、夜も30度以上あり、冷房を入れないと眠れない状態だった。
でも、とにかく無事で、元気でイラクを出国することができそうだ。

後ほど、スレイマニア近郊の難民キャンプの様子を紹介したいと思っているので、お楽しみに。

~JCFのアンマン事務局に到着~

090821image306 090821image307

朝5時のフライトで、アルビルからアンマンへ――。
JCFのアンマン事務局に着いたところである。
写真は、事務室と応接室の様子。
バルコニーからは、ヨルダン風の白い建物が見える。090821image308
なかなか居心地がいいです。

金曜には、野外の市場が出るということで、多くの人で賑わっていた。
女の人が、服やバッグを競い合うように買い求めている。
野菜も青々としている。
090821image309 平和な光景である。
ヨルダンはそんなに国力がある国ではないが、やっぱり平和は大切だなあとつくづく感じた。
平和があると、街は活気に満ちている。

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2009年8月20日 (木)

イラク便り③~ハラブジャより

今日は、ハラブジャという街に行ってきた。
旧フセイン政権時代、マスタードガス攻撃により5000人もの人が殺された悲劇の街である。

090821036_2 街には、虐殺の悲劇を伝える博物館がある。
博物館の手のような形をしたモニュメントが目を引いた(いちばん下の写真)。
当時の虐殺の様子を人形で再現したり、子どもを抱いたまま亡くなった母親やおびただしい死体の山など、目を覆いたくなる写真が惨劇を伝えている。090821038
マスタードガスにより、一度意識を失った男性にも会った(写真→)。
この人は、死体の山のなかに重ねられていたが、偶然、ジャーナリストに発見されて、一命を取り留めたという。

今、ハラブジャはイラクのなかでも、テロがまったくない、平和な地域になった。
ハラブジャの市長は、平和運動をしている。
8月9日の長崎の原爆記念日に来たこともあり、ヒロシマ・ナガサキやハラブジャのような悲劇が二度と繰り返されないよう平和を訴えている。
市長と会って、お互いにどうしたら平和になれるかという話をしてきた。
市長は、市民たちが自ら「テロを入りこませない」「平和にしよう」という気持ちをもつことがいちばん大事だと言う。
その通りだなと思った。

090821035 イラクを旅して思うのは、治安の大切さである。平和の大切さである。  090821040
これまで訪ねたアルビルやスレイマニアは、クルド人自治区である。
クルド人自治区は、もともとフセインの攻撃から守るために民兵をもっていた。
イラク政府軍ではなく、民兵で自分たちの自治区を守っていたのである。
フセインが倒されてからは、民兵がクルド地区の正規警察になった。
はじめはテロがあったが、警察力が強く、テロを押さえ込むことに成功し、テロリストが入り込めなくなっている。

ここから車で40分ほどのモスルは、いまも不穏な状況が続いている。
うわさではアルカイダがモスル近郊の山に潜伏していて、かなり統制のとれたテロを展開しているのではないかといわれている。
いっとき治安が回復されたように見えたが、ここへきてモスルは明らかにおかしい状況になった。
090821043 バグダッドは以前よりはましだが、相変わらず毎日、3~4件のテロがある。
先日も、同時多発テロで300人の死傷者が出ている。

バグダッドでは、警察組織のなかにサドル派も入り込み、通常は090821030警察の仕事をしながら、何かのときにテロ行為もしているのではないかといわれている。
こんな警察では、信頼は得られない。
正しい感覚をもった警察力が、市民が安心して生きていくためには大事と思う。

その点、アルビルもスレイマニアも同じイラクとは思えないほど明るく、平和で、元気である。
ぼくは今まで「ちょい左」的発想で、警察権力なんて好きではなかったが、治安を守る力が必要であるとつくづく感じた。

バグダッドのテロ事件を知って、日本から電話をいただいた。
心配をおかけしているようである。
ここに書いたように、ぼくのいるアルビル、スレイマニア、ハラブジャは治安がいい。
50度の暑さにも負けずに、イラク北部の医療状況をみてまわっているので、どうかご安心ください。

明日は早朝5時、アルビルの空港からアンマンへ飛行機で飛ぶ予定です。
インターネット状況によりますが、できるだけこちらの様子をアップしたいと思っています。
楽しみにしていてください。

★水と緑のある喜び

090821046 乾いた土地のイラクにあって、スレイマニアやハラブジャの辺りは、緑が豊かだ。
山があるので、冬の間、雨季になり、川は豊かな水をたたえている。
川魚の料理を食べた。
コイのような味だが、名前は聞かなかった。
これに、あんがかかっている。090821027

この辺りの川は、チグリス・ユーフラテス川よりも一本、東に位置する。
川は、文明の発祥と切っても切れない。
川沿いには、緑があり、農業が栄え、村ができ、文化が生まれる。
ほこりっぽい砂山のような土地を走り、ふっと川が見えてきたときには心がほっと安らぐ。
水と緑の大切さを実感している。

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『ちょい太でだいじょうぶ』文庫化

『ちょい太でだいじょうぶ』(集英社)が本日、文庫になり発売される。

京都府立医科大学内科の吉川教授が解説を書いてくださった。Photo
たいへんすばらしい解説をいただいた。

この本は、どうしたら健康で長生きできるか、実践できるものとして書いたつもりだ。
若々しい血管を保つことができれば、脳卒中や心筋梗塞、脳血管性認知症を予防することができる。
そして、体力だけでなく、若々しい判断力、若々しい肌を実現し、アンチエイジングを目指すことができる。

出版不況がいわれているが、初版6万部が出るということで、文庫版もたくさんの人に読んでもらえそうである。
全力で書いた以上は、たくんさんの人に手にとってもらいたい。
たくさんの人に健康で長生きをしてもらいたいと思う。

メタボシンドロームが注目され、メタボ健診も行われるようになったが、
それで本当に健康で長生きできるとは思えない。
メタボに注意しながら、もっと大切なことがある。
食べ物のとり方や、運動の仕方、睡眠のとり方など、健康で長生きするためにはコツがあるのである
ぜひ、その革新的なコツを、この本でつかんでもらえたらと思う。

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2009年8月19日 (水)

イラク便り②~スレイマニアより

022

イラクの北部スレイマニアは、クルド人のバフマン・ゴバディ監督の『亀も空を飛ぶ』」という映画の舞台になったまち。
スレイマニアのヘイワ病院を視察した。
ここは100床の規模の病院で、血液を専門にしたセンターの機能がある。
セルセパレーターをもっており、月間30例、多い日は3~4例、血小板輸血を行っているという。
いままで見たイラクの病院のなかでは、傑出している。
医師たちの人員もそろっている。
給食も充実している。
いちおうではあるが感染対策も行われて、家族たちは、ガウンテクニックを覚えさせられている。

009クルド自治区にあるこの病院は、薬の20%を中央政府から、80%をクルド自治区からもらっている。
子どもたちを治療するのに必要な薬は、ほぼ満たされているという。
ヘイワ病院は、入院ベッド数は少ないが、外来で抗がん剤治療をしたり、サラセミアのキレート治療を行うことも多い。
小児白血病の治療部長である医師は、映画スターのようなイケメンであり、ぼくたちを案内してくれたが、その治療部長の姿を見ると、お母さんたちがカルテのようなものを持って取りまき、遠巻きに見ていると、まるで映画スターに群がるファンのような感じがしないでもない。
お母さんたちは、子どもを助けたいという思いで一生懸命なのである。

この地域には、サラセミアという血液の難病がある。
地中海沿岸の地域に多いことから、地中海病ともいわれる。
赤血球の形が生まれつき鎌状であり、貧血を起こす。
治療は輸血と、崩壊した赤血球から出た鉄分を除去することが中心となる。
ヘイワ病院には、このサラセミアの患者がたくさんいた。
サラセミアの子どもたちは、やはり貧血症のような子どもが多い。
年老いたサラセミアの患者さんは、鉄分によって顔がどす黒くなっている悲惨な光景もみた。
一番上の写真は、サラセミアの少女と写したもの。
治療が終わって一息ついているところである。

白血病の病棟に入ると034、お母さんやおばあちゃんたちが子どもたちに付き添っているが、疲れきった表情だった。
子どもたちも、ぐたっとしている。
この病院は冷房が完備されている。
子どもたちは、ぼくのことが気になるようで、大きな好奇心の目を向けてきた。
カメラを向けると、お母さんとともににこやかな表情をしてくれた。
お母さんは、この子の命をなんとか救いたいと話してくれた。

この人たちはクルド人ではない。
バグダッドの近郊から、治安のいいクルド自治区の病院で治療を受けるために来ているのだ。
お母さんたちは、病室の片隅でうずくまって寝るという。
お父さんたちは、病室で寝るわけにはいかないので、病院の駐車場で寝るという。
母さんの姉妹など、手伝いに来ている家族もいて、みんな子どもを救おうと必死である。
病院は冷房があるが、直射日光を防ぐために、窓の外にスカーフで日よけをしているのは、イラク独特である。
030

お昼を食べていたら、イラク国内ニュースで、バグダッドで自爆テロにより300人が死傷したと報じていた。
バグダッドでは、こんな事件が毎日3~4件起こっている。
北部のモスルでも、テロが多い。

日本からずいぶん心配していただいているようですが、この辺りはイラクでも治安のいいところ。鎌田は元気でやっていますので、ご安心ください。元気です。
過酷な暑さにも何とか負けず、病院や難民キャンプをまわって、子どもたちを診察しています。

★B級グルメ in イラク

早朝6時にアルビルのホテルを出発。
スレイマニアに行く途中、店先にバケツがぶらさがっているのに気づいた。
大木を背にして掘っ立て小屋が建ち、色とりどりの小さなバケツがおかれている。
中身は、ヨーグルトという。
ここはヨーグルトの販売所なのだ。

011 朝食は、スレイマニアの入り口にある食堂で。
このヨーグルトを、パンにつけて食べた。
ヨーグルトとチーズのちようど中間のような味だ。
めちゃくちゃおいしい。

パンは、シュウルマというもの。
焼きたてのパンに、薄くそいだ牛肉や鶏肉、野菜をはさんで食べる。

このシュウルマとヨーグルトとチャイで、約300円。
なかなかの朝食であった。

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2009年8月18日 (火)

イラク便り①~アルビルより

018

ウイーンで一泊し、17日午後4時(現地時間)、無事、イラクのアルビルに入った。
飛行機を降りるなり、イラクは「切れるような暑さ」で歓迎してくれた。
気温は約50度。とにかく暑い。卒倒しそうです。
木陰に入るが、木陰も暑い。
脱水に十分注意しなければならない。

ここアルビルは、イラクのクルド人自治区のなかにある。
ここはモスルやバクダッドと違い、かなり治安がいい。
昼食をとるために街に出ても、まったく危ないことはない。
日本からテロを心配する電話があったが、ここではそんな空気は感じられない。
気温50度という暑さと埃のなかで、人々は輝くような笑顔を浮かべている。
平和を取り戻した自信に満ちているように思える。

022_2 ナナカリ病院という病院に行った。
おんぼろ病院であるが、クルド人自治区600万人の中核病院である。
医師たちは、この地域の命を支えるために意欲を燃やしていた。
小児病棟で白血病と闘う子どもたちに会った。

白血球の減少を抑えるG-CSFという薬や、抗がん剤ビンクリスチンが足りないという。
今回、キリンビールの寄付のおかげで、これらの薬をもっていくことができた。
これで治療ができると、病院から大変感謝された。
医師からは「院内学級をつくってほしい」という要望も出た。024
そう、この子たちが育っていくには、医療も、教育も、大切なものである。

この病院には、医療機器フローサイトメトリーがある。
この医療機器は、白血病の遺伝子解析ができ、遺伝子に合った治療を行ううえで重要な役割を果たす。
また、ぼくらは劣化ウラン弾による被爆を診断するために役立つと期待している。
しかし、現状は、これを活用するための費用も技術も足りなかった。
医療機器や薬だけでなく、それを活用するための技術支援も必要なのである。
どんな支援が必要なのか、実際に訪ねたからこそ見えてくることである。

来年2月に、イラクの5つの小児病院のドクターたちと、このアルビルでカンファランスを予定しており、このナナカリ病院にもその世話役になってもらう予定である。

★B級グルメ in イラク 

暑さと忙しさなか、小休止。026

ウイーンではウインナーコーヒーを飲んだが、イラクではやはりトルキッシュコーヒー。
泥のようなコーヒーの上澄みを飲む。
カルダモンの香りがほんのりしておいしい。

昼食は、ドルマという料理。027
玉ねぎやトマトの中をくりぬいたところに、ご飯が入っている。
イラクのB級グルメである。
スパイスがよくきいている。
ごはんものが好きなぼくは、こういうの大好き。

ちなみにアルビルは、ときどき電気が落ちて、食事中など真っ暗になる。
バスラで院内学級をしているイブラヒムによると、バスラでは1時間電気がついて、6時間停電するという。
ここアルビルは、20分に一度くらい停電するが、1、2分で復旧する。
アルビルはいいと言っていた。

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体が喜ぶヒント⑮

~~無理せず続けられるダイエット~~

「やきとりじいさん体操」というのがはやっているらしい。
マキノ出版の『壮快』特別編のムックに、その体操のDVDがついている。
そのムックに、鎌田の「がんばらないスクワット」を載せてしまった。

妻のさとさんからと叱られた。
「なかなかノーと言わないからいけない」と。
さとさんは、やきとりじいさん体操というへんてこりんなものと一緒にしないでほしい、と思っていると思う。

ぼくは、こういうくだらないのが好きなのである。
やきとりじいさん体操は、インターネットのユーチューブで50万アクセスあったというモンスターであるが、
10年後もこの体操が生き残っているかというと、疑問である。
ブームははかない。
はかないけれど、はかないものは、実はちょっとおもしろい。
いかがわしいけど、けっこうぼくは好き。

このムックはやきとりじいさん体操が目玉かもしれないが、実は、後ろのほうに紹介されている何人かのダイエット法がおもしろい。
キャベツダイエットを、大岡診療所の内場先生が紹介している。
内場先生とは、同じ長野県内なので、以前よくお会いした。
そう、彼が40キロやせたのは、うそではない。しかもリバウンドしていない。
このキャベツダイエットは学会報告していて、それも聞いたことがある。
そのしくみはこうだ。
食前にキャベツをよく咬んで食べることによって、脳の満腹中枢を刺激できる。
野菜を先に食べるので、食物繊維が腸の粘膜にバリアをつくってくれる。
そのため、脂肪や糖の吸収が緩やかになり、すい臓への負担も少なくなる。
彼は、糖尿病でインスリン注射をしていたが、この方法を取り入れてから、インスリン注射の必要はなくなったという。
これは、本当である。
一度に食べるキャベツの分量は、6分の1玉。
食前に、10分間かけて食べる。
ノンオイルドレッシングやポン酢、レモン汁などをかけている。

もう一つおもしろいのは、朝一番に水を1リットルくらい飲む方法。
これはかなり効きそうな感じがする。
あとはレモン水を使ったダイエットも紹介されている。
これは、基本的にはクエン酸なので、ぼくが実践しているシトラックスというクエン酸を使った健康法と似ている。
ぼくは、シトラックスというクエン酸をコップ5分の1ほど注ぎ、牛乳を加えて、飲むヨーグルトのようにして飲んいる。
もちろん、レモン水でやってもいい。

キャベツダイエット、朝一番の水、クエン酸、がんばらないスクワット・・・。
これらは、無理しないで続けられるダイエットとして、なかなかおもしろい。

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2009年8月17日 (月)

伝説の男

外山滋比古さんの『思考の整理学』(ちくま文庫)が売れているという。
発売から21年かけて17万部売れていた本が、この2年で88万部まで伸びたという。
2年前に火をつけたのは、盛岡市のさわや書店である、と朝日新聞に書いてあった。

このさわや書店には、伊藤さんという伝説的な“本の虫”がいた。
しっかりと本を読み込み、気に入った本はポップを立てたり、ラジオ番組で紹介したりしながら、本の面白みを伝える本屋のプロフェッショナルのような男である。
ぼくの『がんばらない』(集英社)も、この男に発掘してもらった。
『がんばらない』は、ある時期、東京や大阪よりも、盛岡のさわや書店で突出して売れていた。
ぼくは、この本屋のプロフェッショナルにお礼を込め、2回、ボランティアで書店で講演会やサイン会をした。Photo

外山さんの『思考の整理学』が売れている理由は、中身がおもしろいことがいちばんである。
コンピュータと人間の脳の違いを明確にしている。
この本がいま売れているのは、人間の脳の働きの大切さが際立つコンピュータ時代の現代だからこそという時代の流れがあり、そこに目をつけた本屋のプロフェッショナルはやはりさすがだと思う。

いい本はいっぱいある。
だが、残念なことに、みんなの手に渡らずに埋もれてしまっている本がけっこう多い。
それを掘り起こしてくれる人がいるというのは、とてもすてきなことである。

1年ほど前、この本屋のプロフェッショナルは、親の介護のため、本屋の仕事から離れた。
最近、偶然電話でゆっくり話す機会があった。
今も、本屋のプロフェッショナルとして、講演に呼ばれることがあるという。
「鎌田さんの本は、いつももって応援に出かけていますよ。盛岡から、鎌田さんの本をいつも注目していますからね」と言ってくれた。

『がんばらない』の後、『あきらめない』『それでもやっぱりがんばらない』など、本を次々と出しているとき、この男に意見を聞いた。
この男の評価を、ぼくは大事に思っている。

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2009年8月16日 (日)

ウイーンより

Sk_015 成田から、ウイーンへ。

オーストリアン航空のビジネスクラスの食事はおいしかった。
腰痛症があることと、原稿を書くために、たいがいビジネスを利用している。
機内の料理は、火を使うことはできないために、シェフがやれることは限られている。
それでも、シェフのいる飛行機の料理というのは、なかなかあたたかく、きれいでおいしかった。
食事の最後に、10種類のウインナーコーヒーが用意されていた。
オーストリアの飛行機ならではである。
ブラック・コーヒーに泡立てたミルクとホイップクリーム、カカオパウダーを加えているフランツィスカーナというコーヒーはおいしかった。K_010
ウインナー・アイスカフェは、ダブルのエスプレッソにバニラアイスとホイップクリームが乗っている。
これもなかなかだった。

飛行機を降りて、ウイーンの美しい町並みを眺め、カフェでもウインナーコーヒーを堪能した。

ウインナーコーヒーの由来は、1683年ウイーンを包囲したオスマントルコ軍が撃退されたが、カフヴェというトルココーヒーを残していったことにはじまる。
012当時は、緑のコーヒー豆を挽き、ストレートで飲むものだったという。
そのカフヴェに、ウイーンでは砂糖と泡立てたミルクを加えて飲んだ。
これが、ウイーンのカフェ風メランジェの誕生である。
そして、次々と新たなバリエーションが生まれ、今日のウインナーコーヒーとなっていった。
19世紀末、ウイーンのカフェハウスは、芸術家や文学者、貴族たちのたまり場となり、彼らによって「エレガンスの奇跡」と賞賛された。
そんなウインナーコーヒーの歴史を思いながら、オスマントルコの遺跡が残っている有名なカフェで、ウインナーコーヒーを飲んだ。

オスマントルコは、領土拡大とともに方々にコーヒーの文化を広めていった。
これから行くイラクやシリア、ヨルダンには、アラビアンコーヒーが伝えられている。
どろどろした泥のようなコーヒーの上澄みだけを飲む。
これが実においしいのである。明日からは、いよいよ、どろどろのアラビアンコーヒーを飲むことになる。

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体が喜ぶヒント⑭

~~人生に彩りを添える7つの秘訣~~

今日16日の読売新聞朝刊に、ぼくの連載コラム「見放さない」が載っている。
今回のテーマは、「旅が人生を変える」。
健康で長生きしながら、豊かな人生を送るための7つの秘訣を書いた。
「歩く」「感動する」「癒す」「楽しむ」「しゃべる・歌う」「泣いて笑う」「体にいいものを食べる」
旅は、この7つが盛りだくさん。

ぼくは常々、毎日の生活のなかに、副交感神経が優位になる時間を意識的につくりだすことが大事と述べてきた。 0908146
1日に数分。
1週間に数時間。
1カ月に1~2日。
1年に4~5日。
そんな頻度で、自分のタイムスケジュールのなかに、副交感神経優位の時間をつくりだすといい。
笑ったり、泣いたり、感動したり、楽しんだりすることが、健康にいい影響を及ぼす。
そして、その積み重ねが人生の彩りとなる。
人生に彩りを添えることは、体にもいいことなのである。

副交感神経が優位なときには、血管が拡張し、血圧が下がる。
体中の循環がよくなり、脳卒中や脳血管性認知症の予防にもつながる。
リンパ球が増え、免疫力も上がり、結果として、少しだけ、がんにもなりにくくなる。
体にいいものをおいしく食べると、幸せホルモンのセロトニンが出る。
体と心のいいサイクルがまわりはじめるのである。

詳しくは、ぜひ、読売新聞をご覧ください。

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若者たちと平和を語る

昨夜はNHKラジオ第一の「鎌田實いのちの対話」特別編「子どもたちと平和を語る」に出演した。
ゲストの大野靖之さんは、「歌う道徳教師」と呼ばれ、小中学校を年間120校も訪ねて講演し、歌をうたっているという。
なかなかいい歌で、将来性豊かなハンサムな青年だった。
昨日は、ぼくの「がんばらない」に似たようなフレーズの歌を披露してくれた。

作家のあさのあつこさんは年間4~5冊小説を書いている。0908152
岡山県の津山に住んでいるという。
津山といえば、ぼくが大好きなB級グルメのホルモンうどんがあるところ。
あの津山の人ということで、なんだか親近感がわいてしまった。
『バッテリー』に出てくる中国地方のまちというのは、津山の雰囲気だったんだと勝手に納得してしまった。
『バッテリー』は6巻で完結した。なかなか感動ものだった。
この本を読んで、子どもたちが本を好きになってくれるといいなと思った。
でも、ご本人に聞くと、半分くらいは18歳以上の読者なのだそうだ。

番組では、12歳から18歳までの若者たちがメールや手紙をくれ、電話をつないで話をした。
世界のことを真剣に考えている若者たちがいて、びっくりした。
ちょっとうれしくなった。

8月15日は、いろんな集会が開かれたり、マスコミで特集するなどして、反戦や平和について語りやすい。
でもこの日だけではなくて、8月をまるまる平和を考える月にしてみたらいいような気がした。

写真は、左から村上信夫アナウンサー、大野靖之さん、あさのあつこさんと番組終了後に写したもの

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2009年8月15日 (土)

鎌田實の「がんばらない健康法」(5)

鎌田實の「がんばらない健康法」(5)(全6回)

ちょい太で健康・長生き!

夜10時以降は食べない。
フランス料理のフルコースは、ご飯とパンとスイーツをちょっと残して、夜9時までに食べきろう!

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明日からイラクの医療支援へ

いよいよ明日16日からはイラクでの医療支援活動に出かける。0908145
午前中、成田を出発し、ウィーンを経由して、イラクのアルビルの空港に入る。
通信状態がよければ、アルビルから送信する予定なので、お楽しみに!
イラク北部のクルド地区であるアルビルは、かなり治安が回復されており、
ここからイラクの4つの小児病院への支援を強化したいと考え、その打ち合わせをする予定。

今回、シリア・イラク国境沿いにあるアルアリードのキャンプに行くために、大変な強行軍である。
アルビルから一度ヨルダンに出て、ヨルダンからシリアの砂漠を車で7、8時間走破し、イラクのへりにあるアルアリードの難民キャンプに入る。
イラク国内のテロがなければ、アルビルからアルアリードへと国内を車で移動できて簡単なのだが、平和がないということはとても大変なことだ。

バスラからは、JIM-NET現地スタッフのイブラヒム先生がやってきて落ち合う。
バスラの情報も聞けると思う。
バスラのJIM-NETがずっと支援してきているサブリーンが、網膜芽腫を再発したという悲しい知らせが入り、今後どう支援するかを検討しようと思う。

それでは、医療支援の旅に行ってまいります!!

写真は、夏の雲をまとう八ケ岳

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おくり火

白樺の皮でおくり火を焚き、父や母をおくった。
そして、子どもたちと一緒に、墓参りに行ってきた。

8月15日はいろんなことを考える。090815
悲しい戦争が終わった日である。
2005年にバスラから来た小児科医モハメッド・アバスさんのことを思い出した。
モハメッド医師は、長崎市の原爆資料館をみて、非人間的なことに驚いたという。
「今、私たちイラク人は同じ問題に直面しています。でも驚いたのは、日本人はそこから復讐ではなく、平和を学んだこと。そして国を再建する力と勇気があったことです」
ちょっとうれしい言葉だ。
湾岸戦争以降、戦争が繰り返されるイラク。
悲しみのなかで、やられたらやり返すという憎しみや恨みが蔓延しているのだろう。
でも、憎しみや恨みが、創造的な何かを生み出すことはない。

被爆という悲しみのなかから、ぼくたちは、復讐ではなく、平和をつくることを学んできた。
オバマ大統領が11月に来日したとき、広島や長崎を見てもらうといい。
モハメッド・アバスさんのように、何か大切なことに気づくのではないか。
それが核廃絶への大きなエネルギーになるように思う。
そして、日本の政府も、世界の先頭を走って、核廃絶を進めていく環境づくりができるように思う。

今年の初夏、グリーフワーク研究所で、悲嘆の癒しについて講演をした。
そこで、05年におきたJR宝塚線脱線事故の被害者と加害者たちがともに、悲しみをどう癒すかという勉強会に参加していることに驚いた。
2年間近く続いているという。
脱線事故では107人が死亡し、560人が負傷した。
その被害者たちには今もトラウマが残り、悲しみのなかにいる。
0908141 愛する人を失った悲しみは、計り知れない。
加害者もつらい状況のなかで、元社長をはじめ、たくさんの職員たちが参加していた。
加害者と被害者が同じ空気を吸いながら、命について勉強していた。

ぼくは講演をしながら、大事なことを学んだ。
愛する人を失ったときの悲しみは重いが、心の手当ては悩んで、泣いて、向き合うこと、だった。

8月15日は、亡くなった父や母のおくり火を焚きながら、平和が続くことを願った。
墓参りをした後は、あずさに乗って東京に出る。
今日の夜は、NHKのラジオ「鎌田實いのちの対話」特別編で、子どもたちと戦争と平和について語り合う。
番組は午後7時20分から、NHKラジオ第一。ぜひ、お聞きください。
そして、いよいよ明日から、戦禍に苦しむイラクへの旅に向かう。

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岩次郎小屋の四季

0908148 岩次郎小屋にも、本格的な夏がやっとやって来た。
梅雨が明けたのか、明けないのかはっきりせず、長雨が続いていたが、清んだ夏の空となった。

長雨のために、今年はトマトの出来が悪く、トマト農家は打撃を受けている。
岩次郎小屋の農園では、セロリが豊作。おいしくできた。
初夏にはレタス、そして今はキュウリ、ナスも上手にできている。
ミョウガやシソの葉などの作物も、天気の回復で元気づいている。

夏の入道雲が出て、八ケ岳の姿も夏本番を迎えた。0908143

八ケ岳の麓、三井の森の中にある串かつの店「串の坊」に、昼ご飯を食べに行った。
地元のアスパラの串カツがおいしかった。
夏の味。

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2009年8月14日 (金)

「婦人之友」9月号で介護特集

Photo 巻頭で、鎌田實と羽田澄子さん、樋口恵子さんが座談会をしている。
「受ける、支える、つなぐ力」という視点で、介護難民をどう防ぐかなど、語り合った。
そのなかで、鎌田は「介護破産」の時代がやってくると警告。
日本を変える新しい視点や、介護する男たちの地域デビューの必要性など、いろんなことに触れている。
「男たちの地域デビュー」や「介護破産」という言葉に、ぜひ注目してみてください。

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盛り上がったホスピタルコンサート

Dsc_0053 9日に行われた第19回ホスピタルコンサートはたいへん盛り上がり、夏の楽しいひと時となった。
約400人の観客が病院のホールに集まった。
多くの患者さんたちが、2階からのぞくようにして美しい音楽に聴き入った。
ある人はベッドの上で、ある人は車椅子やストレッチャーの上で。
心が弾んだり、感動したり。
いい音楽に触れ、免疫力もアップしたと思う。

ピアニスト奈良真潮さんのリストの2曲は圧巻だった。
現在、ヨーロッパに留学中であるが、夏休みで帰国したところを、出演していただいた。

Dsc_0018畑中良輔先生は名司会で、プッチーニのオペラ蝶々夫人の話の展開をわかりやすく、解説していただいた。
日本のメロディーを変えながら、プッチーニがオペラをつくっていくプロセスは、なるほどなと思わせ、たいへん勉強にもなったし、おもしかった。
若いころ声楽家として出演したときの失敗談を巧みに話しながら、会場を大笑いさせる場面もあった。

メゾソプラノの永井和子さんは外国でも評価が高い。
永井さんが、岡谷出身と聞いてびっくり。親戚の何人かは諏訪中央病院で診させていただいていると聞き、地域でつながっているものだなとあらためて感じた。

ソプラノの岩崎由紀子さんは、蝶々夫人を情感豊かに歌いあげた。

下野のぼる先生は、ピンカートンを熱演。後で72歳と聞いて驚いた。
テノール独唱もしていただき、下野先生のリサイタルのように聴き入らせてくれた。たいへんな拍手だった。
お疲れさまでした。

1バリトンの吉澤哲夫先生は、バリトンの独唱と蝶々夫人のシャープレス。お人柄の通りあたたかで、ジェントルな声を会場に響かせた。

飛び入りは青木十良先生。94歳。
青木先生のときは、会場が静まり返った。
1音も聞き逃すまいとするような、不思議な集中力が会場に満たされた。
青木十良先生の「鳥の歌」が聴けたというのは、たいへんな幸せである。
チェルノブイリ連帯基金へのご寄付もいただいた。

ホスピタルコンサートは手づくり。
職員が病院のロビーに椅子を並べ、終わった後の懇親会では、焼きソバや焼き肉をつくった。
病院のハーブガーデンにテントを張ってのガーデンパーティー。Dsc_0034
焼きソバ、焼き肉のほか、寒天料理やセロリなど、地元の野菜が並んだ。
これがまた楽しい時間となった。

出演料はいつもの通り、庭のハープの花束とハーバルノート、ハーブティー。
それに今回はシトラックスというクエン酸もお土産にもっていっていただいた。
ぼくがクエン酸が疲労回復にいいという話をしたら、どうも興味を示されたので、試しに飲んでいただこうと思った。
一流の音楽家たちが、ボランティアで集まってくださる。
いつものことながら、ありがたいことだと思っている。

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2009年8月13日 (木)

平和を考えるJIM-NETニュース

イラク問題に関連する話題を提供する日本イラク通信社が、JIM-NETニュースを配信している。Photo
8月は、平和について考える大切な月。
JIM-NETニュースの最新ニュースでは「広島原爆投下から64年、核廃絶?」と題して、広島の平和式典の模様や、劣化ウラン弾禁止の取り組みを紹介している。
ぜひ、こちら↓をご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/jimnetnews/

ぼくはイラクでの医療支援活動のために、16日から現地に飛ぶ。
イラクの現状や子どもたちの様子など、最新のニュースをお送りする予定なので、ぜひ、お楽しみに。

写真は、昨日の岩次郎小屋から見た夕焼け。夕日のオレンジ色が撮れなくて残念

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2009年8月12日 (水)

発見!特B級グルメ ひつまぶし(65)

知的障害者をサポートする施設の職員や支援者、家族たちの研究会で講演するため、徳島に行ってきた。
隣の香川県は讃岐うどんが有名だが、徳島はうどんも食べるが、どちらかというと徳島ラーメンが有名だそうだ。
とんこつ味という。090731

迷っていると、徳島の地場産の鰻はどうか、と地元の人に勧められた。
いつもはB級グルメのラーメンを選ぶところだが、今回はつい、B級を超え、鰻を食べに行ってしまった。
吉野川のすぐ近くにある徳島市内の鰻屋さんで、ひつまぶしを食べた。
おいしい鰻を食べながら、ちょっといい話を聞いた。

~障害者が自立できるまち~

この近くの松繁町という人口15000人くらいの小さな町では、障害者の就業・生活支援センターがたいへん活発で、知的障害者たちが働いている。
しかも、知的障害者どうしが22組も結婚し、生活しているという。
こうなるまでには、長い時間がかかった。
知的障害者に対して、行政や地域住民、企業が少しずつ理解してくれるようになり、
今では、なんと10万円の給与をもらえる人が増えてきたという。
これは驚きである。

ぼくは、宮城県の「虹の園」という知的障害者の就労支援をしている社会福祉法人を応援している。
ここでは、障害者たちがおいしいピザを焼く技術を習得し、ピザハウスのチェーン店を経営するという、新しい形の障害者の就労支援を実現している。
「虹の園」の大きな目標は、障害者に1カ月5万円の給料を出すということ。
まだ3万円ちょっとである。
年金は、人によって額は異なるが、だいたい6万円もらえる。
これに給料の5万円をあわせると、月額の収入が11万円になる。
このくらいの経済的な保障があると、将来、両親が高齢になったり、亡くなった後でも、障害者はグループホームなどの何らかの施設に入って生活することができる。
だから、給料5万円は大きな目標なのだ。
しかし、これがなかなか達成できないと、虹の園の支援委員たちはものすごくがんばっているにもかかわらず、残念がっていた。

この松繁町の障害者就業・生活支援センターでは、障害者の理解してもらい、仕事場を得るために、企業をくどいてまわったという。
ここでは、三洋電機などがかなり協力的に障害者の雇用を推進しているという。

給料10万円をもらえると、生活ができるようになる。
生活ができるようになると、結婚も可能になる。
これは、障害者でもそうでない人でも同じことだ。
そして、障害者たちはパートナーを見つけて、助け合いながら生活に根を張りはじめた。
それを、地域の人やボランティアや支援委員たちが、周囲から応援しているという。
いい話だなと思った。

090812 はじめは、知的障害者のグループホームをつくると、住民からクレームが相次いだ。
しかし、だんだんにクレームは少なくなり、むしろ声をかけてくれたり、手を差し延べてくれるようになった。
今では、松繁町では、一般のアパートの一部屋に、知的障害者のカップルが住めるようになったという。

フロイトは、働くこと、愛することの2つが実現できると、人間としての尊厳が守られる、といっている。
どんな人にとっても、働くことと愛すること、この2つは大事なのである。

ぼくたちの政府は、若者たちがまともな仕事につけないようにしてしまっている。
その結果、若者たちは結婚できない。子どもが生まれない。国が弱っていく。
若者たちが、まず働けるようにすること。
障害があろうがなかろうが、まず働けるようにすることが大事なんだと思う。
北海道の伊達市でも、障害者の就業活動が盛んで成功しているという。
ツムラは、北海道の夕張に今後、工場を出し、障害者の雇用にも協力したいと計画をしているが、
あたたかな企業をみんなが応援してあげられるといいと思う。

三洋電機の電化製品を買ってあげたくなった。

下の写真は、原村から見た台風一過の八ケ岳

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2009年8月11日 (火)

バナナ屋

山形から手紙が届いた。
山形で朗読会をやっている人からで、『雪とパイナップル』を朗読させていただくと、わざわざ知らせてくれた。

本のなかに出てくる「バナナ屋」のことが本当にあるのか、気になっていて、山形から茅野市までわさわざ見に来たという。
笑ってしまった。
土曜日の夕方訪ねたが、お店は閉まっていたという。
しかし、「訪ねてきてよかったと思いました。たしかにあったのです」と書かれている。
もちろんぼくの本は、エッセイなので、本当の話である。
バナナ屋も当然、実在している。Yukitopineapple

だが、ちょっと気になった。
土曜日の夕方、店が閉まっているというのは、もしかしたらつぶれたのかなと不安がよぎる。
何十年も前の、引き戸のガタピシきているような、古いお店である。
ぼくが一年ほど前にのぞいたときには、看板は出ていたが、なかにはバナナは置いてなかった。
そのときも、お店はいつまで続くのかとちょっと心配になっていた。
古いものが大切に残されている町であってほしいが、後を継ぐ人がいないと、それも難しい。

『雪とパイナップル』の話をもう一つ聞いた。
岐阜経済大学でオープンキャンバスがあり、そこでぼくは毎年、大学生や進学を目指している高校生たちとディスカッションをしている。
オープンキャンバスにやってきた高校生たちが、ぼくの『雪とパイナップル』を芝居にして、秋に上演するという。

ありがたい作品である。
バレエにもなった。歌にもなった。
たくさんの人が朗読をしてくれている。
目の見えない人たちのために、テープ録音もしてくれている。
映画化しようとしている人たちもいる。
『雪とパイナップル』は、勝手に一人歩きをはじめたように思う。
うれしい。

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2009年8月10日 (月)

新型インフルエンザに負けない⑫

~~ワクチン製造、後手にまわる~~

政府は、新型インフルエンザのワクチンを年内2500万人分用意できない見通しを発表した。
結局、何も手をうたず、準備できる数を1400~1700万人ほどと下方修正した。
いま、政府がいちばんやらなくちゃいけないことと、ぼくはさんざんメッセージを出してきたが、やっぱりである。

舛添さんは、マスク業者に24時間操業でマスク増産をお願いしたり、水際作戦でかっこよくテレビに登場したり、
どれもごれもちぐはぐである。
マスクなんてほとんど効果のないことに対して、業界に頭を下げまわったりする前に、いちばん効力のあるワクチンの製造を強化すべきだった。
ワクチンの研究者や業者とよく話し合い、場合によっては支援をすべきだったのである。
これは、今回の新型インフルエンザのワクチンだけでなく、鶏インフルエンザのワクチンという、今後いちばんの脅威となるウイルスに対するワクチンを準備しておく、いい予行演習になったはずだ。
舛添さんはそのチャンスを逃してしまった。

インフルエンザは、地球全体の問題である。
低開発国を支援する意味でも、日本がワクチン製造のリーダーシップをとることの意味は大きい。
お金をつぎ込んでも尊敬されない今までの日本の支援の形ではない、本当の命の支援になる。
さらに外国の一般の国には輸出すればいい。産業振興になるのである。

なんで舛添さんが人気があるのか、よくわからない。
年金問題もすぐに解決すると言っておきながら、まったく解決していない。
リーダーシップを取れていない。
後期高齢者医療制度を提出した厚生労働大臣である。
彼の胆力があれば、後期高齢者医療制度にしても、インフルエンザに対する対応にしても、
2200億円の社会保障費の抑制に関しても、もっとはやく、阻止できていたはずなのに、
何もやれていない。
そんな舛添さんが、いかにも次の首相候補として声があがり、本人もその気だというから笑ってしまう。
人気や雰囲気だけでポストを決めるのは、そろそろやめたほうがいい。
そうやって安倍さんも福田さんも麻生さんも失敗している。
もっときちんとした実績のあるリーダーを選ぶ必要があるように思う。

インフルエンザワクチンに関しては、はやく手を打つべき。
来年、再来年も問題になるはずだから、今年が間に合わないならば、次はどうするのか、明確にするのが厚生労働大臣の役割のように思う。

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2009年8月 9日 (日)

英国式庭園でのシェイクスピア劇

0908053 蓼科にあるバラクライングリッシュガーデンで、夕暮れ時にシェイクスピア劇が行われた。
演目は、英国のウイッチフォード・アクターズ・カンパニーによる「真夏の夜の夢」。

バラクライングリッシュガーデンは、じつに美しかった。
英国園芸研究家のケイ山田がデザインしている。0908055
庭の花々は美しく咲き誇っていた。

穏やかに暮れていく蓼科高原。
夏の空と、美しい庭、鳥や蝉の蝉の声を背景にしたシェイクスピア劇。
シェイクスピア本人も、野外劇として創作しているので、
この美しい庭での英国夜会劇は、きっとあの世で満足しているのではないか。

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宗次郎さんのCD

オカリナ奏者の宗次郎さんから手紙とCDが届いた。Photo

昨年の夏、創作活動の拠点を変えた。
茨城県常陸大宮市に、オカリーナの森をつくった。
ニューアルバムは、まさに「オカリーナの森から」というタイトルだった。

宗次郎のつくる音楽は、いつも土のにおいがする。
オカリナという楽器が土からつくられているからだけではない。
彼の音楽には、小鳥のさえずりや、風の音が聞こえる。
森や山や大地の空気が、彼の音楽をつくりあげているからだと思う。

鳥や虫や植物など、命の森に帰ってきたような心地のする音楽である。

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2009年8月 8日 (土)

幽玄の能舞台

0908036 八ケ岳薪能を堪能した。
山梨県の小淵沢にある身曾岐神社の霊大祭前夜の宵宮の神事として、能の「西王母」「鞍馬天狗」、野村万蔵の狂言の「清水」が奉納された。

人面獣身のおそろしい鬼と、長寿の神様とが一つの体の中に見事に演じられている。
人間という生き物の不思議さが表現された。
幽玄の空気がかもし出された。

池の中に建つ能楽殿は、夕暮れを映した水面に浮き立ってみえる。
見上げると一筋の雲が見え、その先頭に米粒のような飛行機が見える。
背後の森からはヒグラシの声が聞こえ、ときどき小鳥がさえずり、不思議な水の音が響く。

不気味な空気と、優雅で毅然とした気品ある舞いが、池をはさんで見つめる1000人ほどの観客の心をつかんだ。0908035

寂聴さんの小説「世阿弥」を読んだ後なので、能を命がけでつくりあげていった芸術家の魂を感じる一夜であった。

写真は身曾岐神社の能楽堂。修復の際、ゆずの北川くんが援助しているという。ゆずのコンサートも行われている

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2009年8月 7日 (金)

ブロガーの書評で紹介

「宝島」9月号の「アルファブロガー厳選2冊」という書評コーナーで、鎌田の本が取り上げられた。

0908033 読者の心を鷲づかみにする名人が書いた2冊の最新刊として、浅田次郎の『大人の実力』(海竜社)とともに、鎌田實の『へこたれない』(PHP研究所)を高く評価してくれている。
この回の執筆者は、「ココロにしみる読書ノート」というメルマガを発行している浅沼ヒロシというブロガーである。

「苦学の末に国立の医科大学に入学。卒業後、同級生でただ一人地方病院へ都落ちするという一見不器用な人生を選び、勝ち組、負け組などという表層的な分類しかできない人間には想像もできない人生を歩んできた。
百年に一度の不況だの、リーダー不在など、マスコミは暗い論調がお好きなようだが、今回も鎌田氏は<なんとかなる><だいじょうぶ>と読者を励ましている。
ある時、伊那谷の老子といわれる加島氏は次のように言ったという。
<ぼくから見れば、鎌田さんはがんばらないなんて言いながら、とんでもなくがんばっているよ>」

心に浸みる一冊としておすすめしてくれている。
ありがたいことである。

写真は諏訪中央病院の庭

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2009年8月 6日 (木)

発見!特B級グルメ(64) ほうれん草のカレー

蓼科湖のまん前にあるメラ・ナタラジは、銀座にあるお店が夏だけ蓼科に出している出張店である。0907222

パラク・バニールというカレーを食べた。
パラクは、ほうれん草の意味という。
ほうれん草とチーズが入っているカレーである。

ぼくはとにかくカレーが好きなのである。
ターメリックは認知症予防にもよく効くといわれている。
代謝効率をよくするので、よく汗をかき、体の循環をよくし、食べても肥満につながらないようにエネルギーに消費をしてくれる。

夏は、カレーの季節である。

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2009年8月 5日 (水)

いよいよ夏のホスピタルコンサート

諏訪中央病院のホスピタルコンサートが、いよいよ8月9日開かれる。
目前になって、いいニュースが舞い込んだ。
チェリストの青木十良先生が出演してくれることになったのだ。Photo

何人もの方から、「今年のホスピタルコンサートには青木十良さんは出演しないんですか」という質問されていた。
「今年は、都合がつかないようです」と返事をしていたが、なんと幸せなことに、青木十良先生ご自身から「よかったら、出ましょうか」とお申し出いただいた。
ありがたいことである。

青木十良先生は、皇太子時代の天皇陛下にチェロを指導している音楽家。
ホスピタルコンサートでは、先生自身が最も愛してきた「鳥の歌」を演奏してくださるという。
90歳を超えて、青木先生の演奏を聴くチャンスはそう多くはないと思う。

また、今回のプログラムは、オペラ「蝶々夫人」のいいとこどりの楽曲。
畑中良輔先生が、楽しく、わかりやすい名司会で盛り上げてくださる。

楽しい夏のホスピタルコンサートになることは間違いなし!
開場は午後1時半。
ぜひ、ぜひ、おいでください。
お待ちしております。

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鎌田劇場へようこそ! 番外編

6月24日のこのブログで「ポー川のひかり」を紹介した。

公開以来、満員御礼が続いているという。2
岩波ホールでは、うれしい誤算に、上映回数を増やす計画をしている。

この映画は、名匠エルマンノ・オルミ監督の最後の作品という。
カトリックの世界を描いているようにみえるが、実は、人間にとって大切なものは何かという、シンプルな問題を描いているようにぼくは思う。
そんな見方をすると、この映画の面白みが倍化するのではないか。

とにかく美しい映画である。
映像のなかの川や風、光を見ていると、タオイズムのような宇宙観に触れられるような気がする。
オルミ監督が意図したものではないかもしれないが、日本人にとっては、「無私」という自分をなくした視点でこの映画を見てみると、生きるということはどういうことなのかが見えてくるような気がする。

3 映画が好きな人には、たまらない映画である。
CGを使ったハリウッド映画に辟易して、映画から遠ざかっていた人々がもう一度、この映画をきっかけに、映画館にもどってくるといいなと思っている。
お盆の間は、「ポー川のひかり」をみながら、人生とは何かを少し考えてみてはどうだろうか。

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2009年8月 4日 (火)

鎌田實の「がんばらない健康法」(4)

鎌田實の「がんばらない健康法」(4)(全6回)

ちょい太で健康・長生き!

繊維の多いものを食べよう。
寒天、野菜、キノコ。
お寿司屋さんに行ったら、生姜はおかわり!

健康動画シリーズ第4回です。

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新しい眼鏡

ベストファーザー賞で、ネクタイやワイシャツやブレザーなどを副賞でいただいた。
そのなかにオリバーピープルズの眼鏡があった。P7230221

ジョン・レノンの眼鏡など、30年代のようなクラシッ クな眼鏡である。
ぼくに似合いそうな眼鏡をつくってくれた。
味わいのある丸いフレームで、たいへん掛けやすく、心地がよい。

淡いピンク色のブレザーも、ベストファザー賞の副賞で仕立ててもらったもの。
このごろ、ちょっとピンクが多いカマタでした。

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2009年8月 3日 (月)

体が喜ぶヒント⑬

~~脳血管性認知症にならないために~~

厚生労働省は2008年の日本人の平均寿命を、女性86.05歳、男性79.29歳と発表した。
男女とも3年続けて過去最高を更新した。
女性は世界1位の長寿、男性は4位である。
女性は0.06歳寿命をのば0907224 し、男性は0.10歳のばした。
日本人はさらに長生きをするようになったのである。

この長寿時代、いまや90歳くらいの人はめずらしくない。
70代、80代の人が90代の親の介護をする老老介護も、問題になって久しい。

認知症にならないために、注意したいことを、おさらいしておきたい。
まず、下半身の深部筋を強化すること。
鎌田流のスクワットやはやおそ歩きをおすすめする。
食事では、色素をたっぷり含んだものを食べて、血管をさびつかせないこと。
塩分を薄味にすることで血圧を高めないことである。
塩分の多いしょうゆやみそをたくさん使わないためには、だしをよく活用するとよい。
我が家では、丁寧にだしをとり、それを冷凍させて、いつも使えるようにしている。
スッポンなどを食べてコラーゲンをとるよりも、もともとあるコラーゲンを酸化させないことも大事。
そのためには、赤い色素リコピンがいい。トマトに含まれている。
あとは、果物と野菜でビタミンをとる。
それに繊維と魚を食べることで、血管を若々しく保つことができる。

これは、長寿時代を元気に生きるコツである。

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2009年8月 2日 (日)

発見!特B級グルメ(63) ヨーロッパ軒のソースカツ丼

090711 福井市の片町にあるヨーロッパ軒は、90年以上続く老舗の洋食屋である。
3代前の初代の店主が、ベルリンで修業し、そこで学んだウスターソースを日本人の好みに改良して、ソースカツ丼をつくったという。

ソースカツ丼といえば、駒ヶ根のソースカツ丼。
違いは大きく2つある。
一つは、刻んだキャベツ。駒ヶ根ではご飯の上に、カツとともにのっているが、ヨーロッパ軒ではほかの皿に付け合せとしてつく。

もう一つは、カツの厚さである。
駒ヶ根のほうは、分厚い。厚さで勝負しているようなところがある。
これに対して、ヨーロッパ軒のは薄い。8ミリである。090711_2
この8ミリという薄さが、ちょうどいい歯ごたえになるということで、こだわっているようだ。
そういえば、ヨーロッパのカツレツは、肉をたたいてたたいて草鞋のように薄くのばしている。
ヨーロッパ軒のソースカツ丼には、そんなヨーロッパのカツレツ文化のDNAも感じられた。

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2009年8月 1日 (土)

「ポー川のひかり」本日公開

月刊誌「コレカラ」は、50代からの暮らし応援マガジンという。

ここに、映画「ポー川のひかり」の映画評を書いた。1
「木靴の樹」で知られるイタリアの名匠エルマンノ・オルミ監督の自ら最後の作品といって撮り終えた映画である。
上り詰める生き方をやめたときに見えてくる、つながることの大切さが、この映画をみるとわかると書いた。

「ポー川のひかり」は、岩波ホールで本日8月1日から公開される。

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鎌田實の本、好評です

『がんばらない健康法 7悪3善1コウモリの法則』(朝日出版社)の5刷が決まった。
発売から2ヶ月、売れ続けている。
感謝です。

『へこたれない』(PHP研究所)のほうも好評だ。
3刷で、3万9000部が出た。
読者から、「感動した」というたくさん手紙がくる。
美しい写真とのコラボレーションは、初めての試みだが、これがどうも成功しているみたいだ。
見るだけでも、写真が美しいので、ちょっと立ち読みしてみてください。

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