イラク便り②~スレイマニアより
イラクの北部スレイマニアは、クルド人のバフマン・ゴバディ監督の『亀も空を飛ぶ』」という映画の舞台になったまち。
スレイマニアのヘイワ病院を視察した。
ここは100床の規模の病院で、血液を専門にしたセンターの機能がある。
セルセパレーターをもっており、月間30例、多い日は3~4例、血小板輸血を行っているという。
いままで見たイラクの病院のなかでは、傑出している。
医師たちの人員もそろっている。
給食も充実している。
いちおうではあるが感染対策も行われて、家族たちは、ガウンテクニックを覚えさせられている。
クルド自治区にあるこの病院は、薬の20%を中央政府から、80%をクルド自治区からもらっている。
子どもたちを治療するのに必要な薬は、ほぼ満たされているという。
ヘイワ病院は、入院ベッド数は少ないが、外来で抗がん剤治療をしたり、サラセミアのキレート治療を行うことも多い。
小児白血病の治療部長である医師は、映画スターのようなイケメンであり、ぼくたちを案内してくれたが、その治療部長の姿を見ると、お母さんたちがカルテのようなものを持って取りまき、遠巻きに見ていると、まるで映画スターに群がるファンのような感じがしないでもない。
お母さんたちは、子どもを助けたいという思いで一生懸命なのである。
この地域には、サラセミアという血液の難病がある。
地中海沿岸の地域に多いことから、地中海病ともいわれる。
赤血球の形が生まれつき鎌状であり、貧血を起こす。
治療は輸血と、崩壊した赤血球から出た鉄分を除去することが中心となる。
ヘイワ病院には、このサラセミアの患者がたくさんいた。
サラセミアの子どもたちは、やはり貧血症のような子どもが多い。
年老いたサラセミアの患者さんは、鉄分によって顔がどす黒くなっている悲惨な光景もみた。
一番上の写真は、サラセミアの少女と写したもの。
治療が終わって一息ついているところである。
白血病の病棟に入ると、お母さんやおばあちゃんたちが子どもたちに付き添っているが、疲れきった表情だった。
子どもたちも、ぐたっとしている。
この病院は冷房が完備されている。
子どもたちは、ぼくのことが気になるようで、大きな好奇心の目を向けてきた。
カメラを向けると、お母さんとともににこやかな表情をしてくれた。
お母さんは、この子の命をなんとか救いたいと話してくれた。
この人たちはクルド人ではない。
バグダッドの近郊から、治安のいいクルド自治区の病院で治療を受けるために来ているのだ。
お母さんたちは、病室の片隅でうずくまって寝るという。
お父さんたちは、病室で寝るわけにはいかないので、病院の駐車場で寝るという。
母さんの姉妹など、手伝いに来ている家族もいて、みんな子どもを救おうと必死である。
病院は冷房があるが、直射日光を防ぐために、窓の外にスカーフで日よけをしているのは、イラク独特である。
お昼を食べていたら、イラク国内ニュースで、バグダッドで自爆テロにより300人が死傷したと報じていた。
バグダッドでは、こんな事件が毎日3~4件起こっている。
北部のモスルでも、テロが多い。
日本からずいぶん心配していただいているようですが、この辺りはイラクでも治安のいいところ。鎌田は元気でやっていますので、ご安心ください。元気です。
過酷な暑さにも何とか負けず、病院や難民キャンプをまわって、子どもたちを診察しています。
★B級グルメ in イラク
早朝6時にアルビルのホテルを出発。
スレイマニアに行く途中、店先にバケツがぶらさがっているのに気づいた。
大木を背にして掘っ立て小屋が建ち、色とりどりの小さなバケツがおかれている。
中身は、ヨーグルトという。
ここはヨーグルトの販売所なのだ。
朝食は、スレイマニアの入り口にある食堂で。
このヨーグルトを、パンにつけて食べた。
ヨーグルトとチーズのちようど中間のような味だ。
めちゃくちゃおいしい。
パンは、シュウルマというもの。
焼きたてのパンに、薄くそいだ牛肉や鶏肉、野菜をはさんで食べる。
このシュウルマとヨーグルトとチャイで、約300円。
なかなかの朝食であった。
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