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2009年8月29日 (土)

おもてなしのコーヒーに感激

昨日は、中国山脈のなか、北広島町という町で講演をした。
諏訪中央病院は国保の病院であるが、この町の芸北ホリスティックセンターも国保の診療所である。
同じ仲間ということで、講演に訪ねると、町の人たちが満員で集まってくれていた。
あたたかな雰囲気があった。0908281image324
北広島町に統合された旧・芸北町は、全国で住みたい町ベスト15に選ばれている。
山の中の風光明媚な町であるが、この小さな町が全国で15位にランキングされるのだから、何か魅力があるに違いない。

芸北ホリスティックセンターは、歯科診療所とデイケアセンター、訪問看護ステーション、保健センターと連携して、
あたたかな地域医療を展開していることで知られている。
ここには、吉見先生という医師がいて、もう引退して週3日しか働いていないが、今でも吉見先生に診てもらいたいという患者さんがたくさんいる。
ご本人は肺気腫をわずらい、体力的に苦しいので、早く仕事から身を引きたいと考えているよう。
しかし、町の人たちから“神様”みたいに慕われ、なかなか引退できないという。
もしかしたら、地域医療が充実していることも、住みたい町ベスト15に選ばれた秘密かもしれない。

ぼくは以前からこの芸北町の地域医療のことを耳にし、吉見先生にも会ってみたいと思っていた。
ちょうど、ぼくが講演で訪ねる日は夏休みをとっているということで、お会いできないなとあきらめていたが、
なんとわざわざ会いに来てくれた。義理がたい人なのである。

旧・芸北町は、広島市から車で約1時間40分かかる。
町の人に、車で送迎していただいた。
その乗用車のなかで、栄養士さんがおもむろにコーヒーミルで、コーヒー豆を挽き出した。
そして、ペーパーフィルターでコーヒーをいれて、出してくれた。0908282image325
ぼくがコーヒー好きなことをブログで知っていてくれ、コーヒーを用意してくれていたのだ。
しかも、こんな方法で!
車内で、ひきたて、いれたてのコーヒーが飲めるなんて思いもしなかった。
すごいおもてなしの心である。
おかげで、車内はいい香りに満ち、リラックスできた。

昼食も、ぼくが丼ものが好きということを知って、親子丼を用意してくれていた。
高いお刺身や天ぷらのついた品のいい定食よりも、ぼくは安くておいしい丼ものが好きなのだ。
ミョウガやカボチャとおくらの煮物は薄味でとてもおいしかった。

こうした町の人たちの心づかい、おもてなしの心に触れると、住んでみたい町ベスト15というのは、ここの人たちのあたたかさにあるのではないかと思った。
吉見先生は、20歳代でこの山の中の診療所に入った。
ぼくにも覚えがあるが、途中で、その土地を離れようか迷うときがあったはずだ。
なのに定年を過ぎてまで、今も診療を続けているのは、きっとここの人たちのあたたかさにひきつけられたのではないか。
ぼくはそう勝手に想像している。

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