幽玄の能舞台
八ケ岳薪能を堪能した。
山梨県の小淵沢にある身曾岐神社の霊大祭前夜の宵宮の神事として、能の「西王母」「鞍馬天狗」、野村万蔵の狂言の「清水」が奉納された。
人面獣身のおそろしい鬼と、長寿の神様とが一つの体の中に見事に演じられている。
人間という生き物の不思議さが表現された。
幽玄の空気がかもし出された。
池の中に建つ能楽殿は、夕暮れを映した水面に浮き立ってみえる。
見上げると一筋の雲が見え、その先頭に米粒のような飛行機が見える。
背後の森からはヒグラシの声が聞こえ、ときどき小鳥がさえずり、不思議な水の音が響く。
不気味な空気と、優雅で毅然とした気品ある舞いが、池をはさんで見つめる1000人ほどの観客の心をつかんだ。
寂聴さんの小説「世阿弥」を読んだ後なので、能を命がけでつくりあげていった芸術家の魂を感じる一夜であった。
写真は身曾岐神社の能楽堂。修復の際、ゆずの北川くんが援助しているという。ゆずのコンサートも行われている
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