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2009年9月 1日 (火)

新型インフルエンザに負けない⑯

~~ホンモノの「新型」とは~~

「新型インフルエンザ」というのは、固有名詞ではない。
人類とウイルスの闘いのなかで、いつでも新しく出てくるウイルスが「新型」である。
今回の新型インフルエンザウイルスは、豚インフルエンザウイルスで、弱毒型のH1N1型である。
海外では、このウイルスを、いわゆる季節性インフルエンザの亜型と考え、「新型」とはみなしていないという。
海外で「新型」といえば、H5N1型の鳥インフルエンザのことを指す。
そういう意味では、このシリーズのタイトルも反省しないといけない。

毎年の季節性インフルエンザを怖いとは思っている人は、それほど多くないだろう。
しかし、季節性インフルエンザは、流行の年によって差があるが、日本でも毎年1万人前後の人の命を奪っているといわれている。
日本人の三大死因は、がん、心臓病、脳卒中であるが、第4位の肺炎のなかには、インフルエンザから肺炎を起こした人も含まれる。
高齢者や糖尿病患者、透析患者にとっては、インフルエンザは脅威となりやすいのも事実である。

0909012image331 では、今回さわぎになっている豚インフルエンザはどうだろうか。
今期の南半球の流行の状況からみると、やはり恐れすぎる必要はない、という結論に達する。
オーストラリアでは、豚インフルエンザにはっきりと感染したとされる患者数は、3万3844人。そのうち死者は132人。
ブラジルでは死者が488人。アルゼンチンでは439人出た。
豚インフルエンザで亡くなった人の数をみると、たいへんなことではあるが、通年の季節性インフルエンザと比べると圧倒的に少ない。
怖さでいったら、通年の季節性インフルエンザのほうが怖いということになる。
繰り返し言うが、豚インフルエンザは弱毒性なのだ。

そうはいっても、感染力は高い。
それは、抗体をもつ人がいないという「新型」ならでは怖さである。
抗体をもつ人が少ないと、感染はあっという間に広がる。
日本でも感染が広がっている。
別の言い方をすれば、抗体をもつ人が増えているということである。
実際に感染したり、ワクチンを打つことによって、抗体をもつ人が増えてくれば、弱毒性で、しかも今のところ、通年の季節性インフルエンザより死亡率が低い豚インフルエンザに対して、あまり大騒ぎする必要はない。
通年の季節性インフルエンザと同じように、脅威となる高齢者や糖尿病患者、透析患者らは十分注意をしないといけないが、それ以上騒ぎすぎることはないのである。
もちろん、高齢者や糖尿病患者、透析患者など、季節性インフルエンザや豚インフルエンザに弱い人たちに対して、さらに丁寧な対応の指針を示していくことは大切である。
それが、今後、数年のうちに脅威となるホンモノの「新型」である鳥インフルエンザ対策の予行演習になると思う。

政府もマスコミも、今後、増加していくだろう感染者の数や死亡者数を伝える際には、冷静さが求められる。
たとえば、通年の季節性インフルエンザのときの感染者数や死亡者数と比較する形で、新型インフルエンザも今までのインフルエンザとそれほど変わらないのだということを示し、国民にきちんと理解してもらうようにするのも方法だと思う。
増加するデータを、センセーショナルに伝えるのだけは避けたい。

もうすぐ、新政権が誕生するが、前厚労大臣のように、スタンドプレーのはしゃいだ対応をしないことを強く望む。

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