お伊勢参り①
~~欲のお祓い~~
お伊勢参りをするために、夜遅く鳥羽のホテルに泊まった。
山の中の生活をしているので、できるだけ海が見える宿を選んでいる。
海を見ると、何か感じられる。
この日も、いつものように朝4時半に起きて、海を眺めた。
ぼくたちの血や文化は、黒潮の流れに乗って南側からもやってきているはず。
柳田国男は紀伊半島の突端に立ち、流れてきた椰子の実に、南からの海の道を思いついた。
発生学を通して、われわれはどころから来たのか、科学的に教えてくれた東京医科歯科大学・元助教授の三木成夫先生は、この黒潮に流れる海に向かって立ち、自分たちの体を構成する細胞のひとつひとつに、海から陸へと進化した生命の記憶が刻み込まれていると語った。
写真は、そんなことを思いながら、早朝撮ったものである。
海を感じながら、鳥羽市にある大阪屋というすし屋に入った。
とにかく伊勢に来たのだから、伊勢えびを食べたいと思った。
遅い時間だったので、店じまいに近く、ほとんどお客さんもいなかったが、予約をしておいたので、伊勢えびだけはとっておいてくれた。
鳥羽でとれたウニと伊勢えびが旨かった。
松阪牛のあぶりを握ってくれた。
はじめて食べた。
本当にやわらかで、脂っこすぎず、さっぱりしすぎず、なんともいい加減であった。
伊勢えびの頭を入れた赤だしの味噌汁が抜群においしかった。
伊勢神宮では、今も天照大神に、豊受神宮で1日2度の食事の用意をしているという。
天照大神はアワビが好きだったという。
なので、ぼくはアワビは食べないことにした。
お伊勢参りは江戸時代には人生最大のイベントであった。
旅を通して、見聞を広げたり、新しい食べ物を食べたり。
お伊勢参りをした後に聞いた話であるが、お伊勢さんの裏へ抜けていくと遊郭がぎっしりと広がっていたという。
食欲だけだなく、いろいろな人間の欲望のお祓いをしていたのだろうか。
大阪屋でおいしいものを食べ、まず、食欲のお祓いができた。
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