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2009年10月 1日 (木)

この人に会いたい(3)綾戸智恵さん

NHKラジオ「鎌田實いのちの対話」にゲスト出演していただいた。
テーマは「がんばらない介護」。
だが、綾戸智恵はがんばっている。
4年前脳卒中で倒れたお母さんを介護している。
とことんいい介護である。
お母さんを少しでもよくしようと、一生懸命リハビリを行い、お母さんが好きなすし屋やピザ屋に連れて行こうと必死になっている。

リハビリの先生は稲川先生。偶然にも、ぼくもよく知っている先生だった。L1080105
もともと理学療法士をしていて、勉強をしなおして医学部に入り、医者になった。
リハビリの優れた専門家である。
人間的にも魅力的な人で、諏訪中央病院の院長をしていたころ、彼を何度もリハビリの部長として招聘しようと口説いたことがある。
うちに泊まりに来てもらって、家族全員が信州を気に入ってもらえるように作戦を立てたこともあったが、説得しきれなかった。
その稲川君が、綾戸智恵さんのお母さんのリハビリをしている。
これは、なかなか大したもんだと思った。

今回は、松阪市で3時間の公開生放送となったが、名古屋までお母さんを連れてきて、友人に半日預け、お昼に放送が終わると名古屋に飛んで帰った。
とにかく親孝行だ。
40歳でデビューをして、どんな大きなホールでもすぐにチケットが売り切れるほど人気を博している。
その真っ只中にいて、休業宣言をする。
「家族がいるから、私のジャズがある」
好きなジャズをちゃんとやるために、まず、自分とお母さんとの生活を優先したかったという。
なんともかっこいい。

温かく、包んでくれそうな、そしてちょっとしゃがれた声が好きで、綾戸智恵のCDは4枚ほど持っている。
自分の部屋や書斎、リビングなどでもよくかけ、特に夜明けの4時半に聴くことが多い。
休業1年たって、これからバンバンとコンサートをするという。
お母さんは、ときには人を頼って、人に預けたりしながらも、できるだけ置いていかずに、お母さんを温泉やおいしい食べ物で誘い出し、コンサートツアーをしたいという。
あこがれの綾戸智恵さんに、アメージング・グレイスを弾いてもらいながら、書き下ろしエッセーの朗読をした。
一生忘れられない幸せな時間だった。

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