« 発見!特B級グルメ 名古屋コーチンの親子丼(80) | トップページ | ホスピタルコンサート2009(3) »

2009年10月16日 (金)

地域医療のニューウエーブ

仙台で、国保の地域医療学会があった。
福井県名田庄村の中村伸一先生が、あきっぽい自分がなぜ地域医療にのめりこんだかという、たいへんおもしろいセミナーがあった。
ぼくは、その座長をした。
地域医療の魅力を、若い医師や看護師たちに知ってもらおうという、学会の新しい企画である。

中村先生はいま日本中から注目を集めている。
今年の冬、NHKテレビ「プロフェッショナル 仕事の流儀」に地域医療のニューウエーブとして紹介された。
17年前、医師になって3年目、たった一人の医師として名田庄村に赴任。
がん検診や往診、在宅でのがんの患者さんたちの看取りをし、8年間に11人にレジデントの地域医療研修を引き受けてきた。0910042image378

若い医学生たちがこの村の診療所に集まり、地域医療の実践を学んでいく。
面倒見がよく、教育熱心である。
いい話ばかりでなく、つらい話も聞かせてほしいといったら、こんな話をしてくれた。

「申し訳ない話なのだが・・・」と中村先生は、話し始めた。
診察した患者さんが、数時間後に具合に悪くなり、もう一度診療所にやって来た。
そのとき、はじめて、くも膜下出血を見逃してしまったことに気づいた。
本人やご家族は、許してくれた。
許してくれたことによって、長く地域医療をする一つのきっかけができたという。
いい話だなと思った。ほろっとしてしまった。
地域の人たちの「ありがとう」の一言や、「先生、もういいよ、精一杯やってくれたんだから」という言葉に支えられて、ぼくもやってきたなと、中村先生の話を聞きながら思った。

地域医療学会では、諏訪中央病院から4題の演題の発表があった。
緩和ケア病棟の看護師2人(=写真=)が、患者さんやその家族をどう支えるかという発表をしている。
在宅医療の責任者や緩和ケア医療の責任者のドクターたちも、別の会場で発表をした。

現在、諏訪中央病院では、在宅医療で診ている人の53%が在宅死を実現するようになった。
すごい数字である。
諏訪中央病院の訪問看護ステーションいろはと、在宅医療を自らすすんでやろうとしてる14人の内科医たちによって、ますます地域医療が活発になっている。
ぼくも数名の患者さんだが、今も往診させてもらっている。
医師たちが数人でもいいので、在宅医療をやり続けていると、病院の中からだけではなく、地域から病院をみるという視点ができ、「病院のなかの医療」を「住民中心の医療」に変えていくことができると思う。

|

« 発見!特B級グルメ 名古屋コーチンの親子丼(80) | トップページ | ホスピタルコンサート2009(3) »