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2009年10月 9日 (金)

われわれはどこから来たのか⑯

~~虫の音をどこで聞くか~~

信州は、秋が深まってきた。
鳥は、激しくさえずっている。
たんさん虫の音も聞こえてくる。
この虫の音を、われわれ日本人は左脳で聞くという。左脳は言語脳である。
対して、欧米人は一種の雑音として、右の音楽脳で聞くという。

たしかに、日本人が虫の音を聞きながら、詩や俳句や和歌の世界を広げていったのは、言語脳で受け止めているからかもしれない。
ぼく自身も、いろんな音を左脳で聞いている感覚が強いように思う。

坂田明さんと旅をしたとき、音楽脳の右脳が発達しているなと思った。090929image375
外国ではじめて聞く言葉も、すっと使ってしまうのである。
外国語に強い人たちは、わからない言葉を聞いたときにも、右脳で言葉を受け止めて、きちんと頭のなかにアップすることができる。

ぼくは外国語が苦手。意味から入ろうとするために、時間がかかってしまう。
はじめて聞いた言葉をひとつの音の塊としてとらえることなく、日本語に置き換えてみないとなかなか自分の脳のなかにアップできない。
それは左脳的な働きが強いからだと思う。

本題に戻そう。
実は、虫の音を右脳で聞くのは、欧米人だけでない。
予想に反して、韓国や中国の人たちもそうだという。
これは三木成夫の本に書かれていた。

日本人と同じように左脳で聞くのは、なんとハワイ、サモア、トンガ、ニュージーランド。
まさに南半球の南の国々の人たちだったわけである。

われわれはどこから来たのか。
その答えの一つは、南ということができそうだ。
だが、その「南」は、中国の雲南地方やインドネシアだけではなく、もっともっとはるか南の海から来ている可能性があるのではないか。
虫の音を聞きながら、そう思った。

写真は、雨上がりの夕方、里山に低くたなびく雲。岩次郎小屋から望む

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