この人に会いたい(13)古謝美佐子さん
彼女の島歌は、全部沖縄の言葉である。
ほとんど意味がわからない。
なのに何かが伝わるのである。
彼女も、大和言葉で「花」という歌を歌っているが、そんなに好きではないという。
自分の故郷の言葉で歌っているときが、いちばん気持ちがいいという。
ジャズやブルースも歌うことがあるが、「(どんな歌も)沖縄の言葉で歌わせてもらえると、自分らしいと思う」と笑った。
「たとえば、どんな?」
食事の最中であったが、突然、ドボルザークの「家路」を歌いだした。
もちろん、アカペラである。
なんともすごい。
いちばん最後の、かあちゃんの待つ我が家です、というフレーズは、
「アンマー待ちゅる、わやでむぬ」
わからないが、といてもいいのである。
彼女の作詞した「童神」は、たくさんの歌手が歌っている。
物心つくまでの幼子は純白で、何者にも汚されていない神の魂をもっている、と彼女はいとおしがる。
障害者の施設や老人ホームにもボランティアで出かけるという。
彼女の歌が聴けるチャンスがあるときは、ぜひ聴いてみてほしい。
写真は、「鎌田實 いのちの対話」の公開放送の模様。古謝さんの演奏で、朗読する鎌田(右の写真)
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