この人に会いたい(14)葉祥明さん
1996年に出した絵本『地雷ではなく花をください』が話題となった。
翌年、日本絵本賞読者賞を受賞した。
水平線や地平線が美しく描かれ、そこに小さな灯台や家、教会がぽつりとある。
人が出てくることもあるが、ほんのわずか。
3年前、葉さんたちが中心に行っていた「えほんのくに」のイベントに出るため、熊本にお邪魔したことがある。
3日ほど葉さんと一緒に過ごした。楽しい時間だった。
葉祥明阿蘇高原絵本美術館は美しいし、葉さんの絵も美しい。
美術館の裏庭に出て、べンチに座っていると、なんとも至福の時間がもらえる。
雲が流れていくのを見ていると、空からのささやきも聞こえてきそうである。
丘のような山が何重にも重なって、遠くまで見渡せる。
その山につくられた小道はどこまで続くのだろう。
たどっていくと、どこに行くのだろう。あの山を越えたら、何があるんだろう。
葉さんはたぶん、あの山の向こうに希望をみているんじゃないかと、思って見ていた。
『メッセージ・オブ・ライフ』『今日という日』など、メッセージブックもたくさん描いている。
毎日の暮らしで忘れてしまう何か、人生という日々に大切な美しい言葉が、美しい絵に添えられている。
たとえば、こんな文章がある。
「人は決して
一人だけでは生きてはいない
自分のためだけに
生きているのではない
人はみな
だれかのために
生きている
だれかのおかげで生きている」
1986年4月26日のチェルノブイリ原発事故を知り、作風が変わったと言う。
葉祥明はこんな言葉も書いている。
「意味ある人生
意義ある人生とは
自分を大切にし
ほかの人を大切に
いきとしいけるものを大切にし
地球のすべてを大切にする
そんな人生こそ!
人生と呼ぶに値する」
一度、葉祥明の絵本をご覧ください。
心が洗われると思う。
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