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2009年11月22日 (日)

鎌田實の一日一冊(47)

『よみがえれ!夢の国アイスランド―世界を救うアイデアがここから生まれる』(アンドリ・S・マグナソン著、日本放送出版協会、1785円)

アイスランドはジェットコースターだった。
貧しかった国が、あっという間に世界有数の豊かな国になった。
人口30万人。
地熱発電と豊かな川があり、それをダム化して、80%がクリーンエネルギーを使っているという。
クリーンエネルギーでないのは、車くらい。
その車が電気自動車になれば、100%クリーンエネルギーという信じれないような国を実現している。

各地に温泉がわいている。Photo
その地熱を利用した電力発電が島全体にいきわたっている。
だから、電力が安い。
この安い電力で、アルミ企業が世界メジャーに進出する。
そのアルミ企業の大きな工場を誘致するために、大きなダムができる。
この小さな国に莫大な資本が入り込んでくる。
一気にインフレとなる。金利があがる。
ここで投資をした人たちは一気に巨額の資本家になっていった。

サブプライムローン問題がおこる数ヶ月前、ぼくはこの夢のような国を訪ねている。
著者のマグナソンと一緒に旅をした。
自然を壊し、ダムをつくり、島全体をアルミ工場にしていくという危険な構想に対して、これはまずいと二人で話した。
その数ヵ月後、本当にアイスランドは国が崩壊するほどの危機に瀕する。
マグナソンは、アメリカの軍隊が来ることにも反対する平和主義者で、ダム開発で自然が壊されることにも反対をしてきた。
もっと穏やかで、持続可能な自然や経済を作り出すことが必要だといい続けていた。
彼の心配していた通りになったのである。

しかし、この本のなかで、マグナソンは、「いい経験をした」という。
多くの若者は大学で学び、家族の時間を豊かに過ごそうとしている。
いらいらが減って、交通事故が減ってきている。
次々に多国籍企業が入り込むこともなくなった。
これから豊かな自然を守りながら、新しい国のあり方を模索するときがきたと考えている。

環境を守るためにどうしたらいいかヒントがあり、崩壊した経済がどのようによみがえっていくのかがうかがえるおもしろい本である。

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