EBMと自然治癒力
学芸総合誌「環」(藤原書店)の特集「『医』とは何か」で鼎談をした。
管理された医療システムから、事故をどう解き放つか。
医療依存を超えて、医療をどうしたらいいか。
なかなか激しいディスカッションになった。
かみ合わない部分ももちろんあったが、刺激的な討論となった。
特に、自然治癒の問題やEBMとは何かというのは、目からウロコのおもしい話だった。
根拠に基づく医療=EBMは、イギリスのコクランが言い出した。
手術や化学療法などの侵襲的医療をするときに、本当に効果があるかどうか、疫学的にきちんと調査されていないといけない。
コクランがいちばん言いたかったのは、人間のなかにある自然治癒の力がいかされるべきであるというのが大前提で、手術や化学療法をしたりするときに、そこに根拠があるかどうかが大事ということである。
今は、自然治癒力などというものを議論すると、笑われてしまいがちだ。
それこそEBMとは真逆のものととらえられている。
現在のEBMという考え方は、コクランの思いから変節していったのだという。
高い雑誌であるが、中身は濃い。
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