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2009年12月

2009年12月31日 (木)

来年は、道具の道具にならない年に

「人間は自らつくり出した道具の道具になってしまった」

180年ほど前のH・D・ソローの言葉はまったく古びていない。Photo_5

ソローは、アメリカのウォールデン湖のほとりに丸太小屋を作り、自然と一体となる生活をした。
彼は、ものに支配されない生活を目指し、森の中に入った。
自給自足の生活を試みた哲学者である。

彼が著した『森の生活 ウォールデン』を読んでいる。
2009年はまさに、人間が自らつくり出した道具に使われる存在になったことを強くつきつけられる年だった。
人間が豊かに生活するための経済システムのはずが、人間は、その経済システムの道具になり、さらには餌食にされている。

朝4時半に起きると、この時期、外は真っ暗。
夜明けは6時15分くらいである。
夜が明けると、音楽をかけ、コーヒーをわかし、読書をする。
今年3月にイースター島からタヒチへと船の旅をしたときのインスピレーションなどをもとに、詩集をつくっている。
悪戦苦闘中である。

深く、深く、考えながら、新しい年を迎えたいと思っている。

~~~☆~~~☆~~~

年末年始は、こちらの月刊誌を!

12月発売の月刊「日経マネー」2月号の鎌田の連載はなかなかおもしろい。
外国人投資家の心をどう動かすかという展開をした。
相変わらずウエットな資本主義にこだわりながら、この国の経済がどうしたらよくなるか考えている。
12月発売の月刊「がんサポート」では、脳機能科学者の苫米地英人さんと対談している。
がんばるのをやめるとIQが上がると言うトマベチと、どのように脳を味方につければ、がんと闘えるか語り合っている。
ぜひ、ご覧ください。

では、みなさん、よいお年を!

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2009年12月30日 (水)

『言葉で治療する』3刷に

週刊ポストや週刊文春などで『言葉で治療する』(朝日新聞社)が取り上げられてか、反響をいただき、3刷まできた。
新年1月6日放送の「山本晋也の人間一滴」にも出演が決まり、『言葉で治療する』を取り上げてくれる。
この番組は、テレビ朝日のワイドスクランブルのなかのコーナーで、昼12時15分くらいからの放送(時間は多少ずれる可能性があります)。
ぜひ、ご覧ください。Photo_6

いよいよ年の瀬も迫ってきた。
来春3月予定で詩集を出すので、その準備に大わらわ。
すてきな本を作ろうと悪戦苦闘をしている。

もともと暮れにはパプアニューギニアに行き、有名な戦士の取材をする予定だったが、相手の都合がつかなくなり、1週間に1本しか飛行機がないため、中止となった。
おかげで、暮れは詩集づくりに全力投球ができそう。
1月には10日間ほどガザに行く予定だったが、これまた、入国が認められず、ガザへの旅も見合わせになってしまった。
正月もゆっくり本を読んだり、映画をみたりできそう。
1週間ほど前に紹介した「カティンの森」は大ヒット中。
岩波ホールは満員が続いているという。
アンジェイ・ワイダ監督の力のこもった作品が、受けているのはうれしい。
戦争のことや平和のこと、人間のことを考えたい人はぜひ、ご覧ください。

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強力な応援団

チョコレートの注文が3万2000個を超えた。Photo_4    
順調である。
1月13日、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」に出演が決まった。
10ヶ月ぶりくらいの出演。
そこで、チョコレートの話もさせていただく。

昨年もゆうゆうワイドに出演し、リスナーの方からすごい反響をいただいた。
今年も大沢さんが応援してくれ、気合を入れて、何度もラジオで告知してくれている。
心強い応援団を得て、今年もイラクの病気の子どものために、10万個のチョコレートを売りたいと思う。

写真は、仲のよい大沢悠里さん(左)と原田泰治さんと。イラクから帰国したばかりのぼくを楽しく迎えてくれた。

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2009年12月29日 (火)

鎌田實 日本経済への提言(34)

~~2010年予算案に思う~~

やっと2010度の予算案の骨格が固まった。

診療報酬は0.19%のプラス改定になった。
10年ぶりのプラス改定である。
当初は3%くらいの改定を考えていたようであるが、徐々に尻すぼみになった。
厚生労働省側は0.36%のプラスを要求したが、財務省がうんと言わず、間をとったようだ。
もっとメリハリをつけたほうがいい。0912241image467

子ども手当てに関しても、地方自治体などに負担をさせるのは仕方ないといえば仕方ないのだが、どうも勇気のない制度である。

地方交付税1兆700億円を増やしたことはなかなかよかったと思う。
地方分権を目指していくんだということ、そして、小さな政府にしていくんだということを語り、医療や介護、子どもたちを大事にしていくことを明確にすることは大事である。

92兆円という途方もない額のわりには、これで経済が活性化するという空気が伝わらない。
元気にだしてやっていこうというムードにならない。
やらなくちゃいけないことに汲々として、92兆円をかき集めたという感じである。

非常にたいへんな予算組みのなかで、92兆円も出して、これから何をしようとしているのか、国民にきちんと語るべきである。
鳩山さんは、国民の心をあたたかくするような物語を語らないといけない。

この国にお金がないことはよくわかっている。
財政の弱体化は、自民党に責任があるわけで、民主党の責任ではない。
民主党はいつまでもマニフェストにこだわっていず、どうすることが国民にとってよいのか、どうすることが安定的な幸せにつながるのか、経済的な成長戦略を描くことである。

鳩山さんは、決断ができない。
結論を先送りにする。
もうちょっとスピード感がほしい。
決断できない鳩山さんだが、物語は語ってほしい。それが鳩山さんの役割である。
この予算案が、どういうシナリオで書かれているのか語るべきである。
その物語の延長線上に参院選があり、地方再生がある。

事業仕分けはわりあい評価が高いが、密約調査の問題も意味があった。
でも、脱官僚に対してはちょっとテイタラク。
もっと官僚をうまく利用すればいいと思う。
利用しながら天下りをさせない。
そして、徹底的に人事を動かし、政権に協力する布陣を敷くことである。
結局は、組織は人事である。

はやく政治と金の問題を明確にすること。
そして、二度と繰り返さないようなルールをつくる。今の与党なら作れると思う。
そうすることによって、国民も今、問題になっているようなことに頓着しないと思う。

写真は、晩白柚(ばんぺいゆ)というかんきつ類。
熊本の八代の特産品で、世界一のジャンボミカンという。
ロシアのマトリョーシカの横に置いてみた。
玄関に入ると、ふわっとかんきつ類のいい香りが立ち込める。
しばらく香を楽しんで、1月末くらいに食べようと思う。

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2009年12月28日 (月)

1/2「にっぽん巡礼」に出演

お正月特番の「にっぽん巡礼~2010年 こころの旅がはじまる」に出演が決まった。
「にっぽん巡礼」は今年のお正月に続き、2度目の出演となる。
前回は1時間番組だったが、今回は好評につき2時間。2img_0198
1月2日(土)BShi夜8~10時(再放送は、7日BShi昼1~3時)の放送をぜひ、ご覧ください。

今回の目玉は、俳優の仲代達矢さんの心の風景である。
奥さんが演出し、仲代さんが主演する「マクベス」が酷評。
奥さんが身ごもるが、死産。
その失意の夫婦を救ったのが能登の風景だった。
その後、最愛の妻を亡くす。
死を意識したという仲代さんを再び救ったのも、能登の風景だった。

仲代さんは能登にこだわっている。
能登演劇堂で、無名塾が芝居をするようになる。
東京や大阪からたくさんの客が訪れるようになる。
今年の「マクベス」は特に好評で、チケットは売り切れ続出となった。

能登演劇堂は、舞台の背景が開くようになっていて、外とつながる。
4img_0216外の風景も芝居のなかに取り込まれる。
馬が登場したりする。
まるで唐十郎の紅テントみたいだ。
圧倒的な迫力で、見るものをひきつける。
来年秋の公演には、なんとか都合をつけて能登に芝居を見に行きたいと思っている。

明治神宮の森の「風景」もすごい。
150年先をデザインしながら、10万本の木を全国から集めて植えたという。
まず針葉樹が先に生え、そして広葉樹がとってかわる。雑木林になっていく。
葉っぱもすべて元に戻す。倒木もすべて循環させる。
この森には新しいものを入れず、何も取り出さない。すべての森の中で循環させている。

日本には、すばらしい風景がいっぱいあることがわかる。
自分の心の聖地をもっていると、生きやすくなると思う。3img_0214
生きる力を与えてくれる。
ぼくの心の聖地は、縄文の森。
三井の森へ入る手前に、尖石縄文考古館というのがある。
ここには日本最古の国宝、縄文のビーナスがある。
その裏手にすばらしい雑木林がある。
そこに立つと縄文人の声が聞こえてくるような気がする。
12月上旬から中旬にかけて動画を紹介しているが、それを撮影した森である。
ぜひ、この2週間ほどの動画を振り返ってみてほしい。

では、1月2日の「にっぽん巡礼」をお楽しみに!

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

写真は、今シーズンの初滑り

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昨日、富士見高原のパノラマスキー場で、スキーの初滑りをしてきた。
八ケ岳が遠くそびえているなかでの滑り。
この3日ほど雪が続いたため、ゲレンデの状況はとてもよかった。
しかし、愕然とした。
足腰が弱っている。
夏、イラクに行ったころから、本を出す準備に追われ、足腰の鍛錬がちょっと少なかった。
深部筋の強化が必要なのを実感した。
パプアニューギニアとガザへ行く予定が急きょ取りやめになったので、正月はじっくりと体を鍛えることにする。

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2009年12月27日 (日)

新型インフルエンザに負けない23

~~新薬に期待~~

このブログや月刊誌「日経マネー」の連載でも、新型インフルエンザの新薬の開発について触れてきた。
以前から注目すべきと書いてきた富山化学のT-705が、タミフルやリレンザと比べて、H5N1型の強毒性の鳥インフルエンザウイルスにも大きな効果があることが動物実験でわかった。
もちろん、H1N1型の現在はやっている豚インフルエンザに対しても効果があるという。

タミフルは外国の製品なので、それに代わって世界をリードするような薬が日本でできることは、日本の経済にとっても、いい風が吹き出すと思う。

新型インフルエンザは、少しだけ下火になりはじめている。0911171image448
予防接種の効果が徐々にではじめているのだと思う。
子どもたちが冬休みに入ると、流行の波は一気に下火になるだろう。
もう一度、1月、2月に小さな波がくるだろうが、そのときに3000万人程度の予防接種がすんでいると、大きな波にはならない可能性が強い。

ヨーロッパではインフルエンザワクチンの副作用を気にして、多くの人がワクチンを無料でも受けないという。
そのためにワクチンがダブついているという。
ここへ来て、先進国から開発途上国へワクチンが寄付されている。

ワクチンを打つかどうかは、情報の透明性をはかり、それに対して国民それぞれが判断すればいい。
それでも、ぼくは患者さんから相談されると「ぼくは打ちました」と言っている。
もちろん、家族も全員、受けている。
詳しく言えば、妻はまだ季節性インフルエンザのワクチンのみで、新型のほうは順番を待っている段階。
ぼくは両方受けた。
それぞれの考えでいいことだと思う。

写真は、ぼくの患者さんである、伊那の小原さんからいただいた、ミツが半分以上あるりんご。“奇跡のりんご”は青森だけでなく、伊那にもあった!

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2009年12月26日 (土)

鎌田實 日本経済への提言(33)

~~100日ルール解禁~~

新政権が発足すると、国民とジャーナリストと新政権はハネムーン状態で、あまり足をひっぱらない。100日ルールという。

100日は過ぎた。
急ごしらえで事業仕分けを行い、一部ではあるが予算作りの透明性がはかられたことは意味がある。
しかし、6000億か7000億円程度の削減しかできなかった。0912061image461

とはいうものの、丁寧に事業仕分けをしていくことで、今後、予算案や補正予算案をつくっていくときに、55年体制でたまってしまった垢を落とすことができる。
これは4年かがりでやればいいのである。
これだけに注目を集めてしまうと、体制が縮んでしまう。
削減させるのが政治家の腕の見せころというのは、大局を見失ってしまう。
削りながらどこにお金を使うかが、政権の手腕である。
使うお金をシフトしながら、経済を揺さぶり、そして国民の心をあたためて、将来どういう国づくりをするのかというビジョンを、国民に示していく必要がある。

今のところをみていると、江戸末期の状態に似ている。
12代将軍徳川家慶に仕えた老中水野忠邦が行った天保の改革を連想させる。
天保年間は、1833年に天保の飢饉が起こり、大塩平八郎の乱などで国内は不安な空気に満ちた。
殺伐とした時代である。
水野は、まず倹約令をだして、贅沢をやめさせようとした。
ぜいたく品や華美な衣装を禁止し、風紀を取り締まろうとした。 
春本や人情本の出版も禁止する。
株仲間解散令を出すが、物価は逆に上昇し、10年後には株仲間は再開される。
財政運営がうつ的なのである。
この時代、水野がやらなければならなかったのは、うつ的な財政運営から、そう的な財政運営へと切り替えるべきだったのである。

新政権も、この1、2年に関しては事業仕分けなどで無駄を省き、削った分にプラスアルファして雇用を生み出すためのお金の使い方をしないといけない。
お金を使える人には、ぜいたく品を買えるようなルール作りをする。

そして、今の危機を脱した後は、大きくもなく小さくもない中規模の政府を目指しながら、財政規律を確保する。
そのなかで富裕層からの税金を多くするのはかまわないが、この2年ほどは、富裕層の人たちにどうやったらお金を使ってもらえるかを考えたほうがいい。
2年間の期限つきで、相続したものは全部使うことを前提に、相続税は控除する。0912062image462
お金をためこんだ親の世代から、若い世代へとお金が流れ、それが家や車の購入資金になれば、経済が動き出す。
NPO法人に寄付をすると、税金が控除されるといい。
JCFは、贈与に税金がかからない「国税庁認定NPO法人」にようやくなったが、認可を受けるのに何年もかかった。
もう少しハードルを下げ、多くの団体がそうなればいい。
そういう対策を講じて、経済がよくなったところで、消費税を上げることである。

水野忠邦がやったように、倹約、倹約の一本やりでは社会を暗くしてしまう。
夜の盛り場のネオンが消えてしまえば、経済はにっちもさっちもいかなくなる。
江戸っ子の宵越しの金を持たない、あの躁状態の空気をつくり出すことが大事なのではないだろうか。

多くの国民は、マニフェストどうりになんて、あまり望んでいないと思う。
新政権に望むは、脱官僚と税金の無駄遣いを省くこと。
極論すれば、この2点をしっかりやりさえすれば、ほかは大きな方向転換をしなくてもいいのである。
そうすれば新政権は十二分に評価され、それが安定政権になっていくのである。

そして、カマタが言い続けているウエットな資本主義のために、徐々に予算を子育て、教育、医療、福祉、雇用という国家の下半身に注ぎ、あたかな血を通わす政策をゆっくりとすすめていくことが大事なのである。

写真は、広島県の海軍兵学校があった江田島(上)と、江田島からの帰りに船から夕暮れを望む。

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2009年12月25日 (金)

ホワイトクリスマス

昨日、動画でお送りしたのは、坂田明さんの「ホワイト・クリスマス」。Img_0098_2
山口県と岡山県で、坂田明さんと一緒にトーク&ジャズコンサートをしたときの模様である。

坂田さんの「ホワイトクリスマス」は、とてもすばらしかった。
坂田さんのおかげで、ジャズCD「ひまわり」と「おむすび」はよく売れ続けている。
JCFの理事会で、今年のCDの売り上げは800万円を超えそうだという報告があった。
CDの売り上げは原価をのぞいて、すべてが子どもたちの薬代になる。

コンサートの会場で、チョコレートを販売したが、持っていったチョコレートは完売だった。

ご興味のある方は、CD「ひまわり」「おむすび」、そしてチョコレートをお求めください。

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2009年12月24日 (木)

坂田明よりクリスマスソングの贈り物

坂田明「ひまわり」「おむすび」、がんばらないレーベルより絶賛発売。 CDの収益金は、JCFやJIM-NETを通じて、 チェルノブイリとイラクの子供達の医療支援につかわれます。 みなさまのご支援お待ちしています。

お問い合わせは、日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)
Tel : 0263-46-4218
Fax : 0263-46-6229
Mail: jcf@jca.apc.org

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メリー・クリスマス!

Kamata_santa

カマ・サンタです。

今日はクリスマス・イブ。
世界中の子どもたちが幸せになりますように!

このイラストは、JIM-NET事務局のひかりさんが描いてくれた。
イラクの少女のことをかいた、ひかりさんと姉のゆかり先生(スマイルクリニック)の絵本が、来年1月には出版される予定。
その絵本には、カマタもちょっと登場する。
そちらもお楽しみに。

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2009年12月23日 (水)

ナイス素適音楽館 鎌田出演編(3)

八ヶ岳のアトリエで美しい音楽を作り続けているネイチャー・コンポーザー神山純一さんの番組に出演。八ヶ岳のロケ地で、命のトーク。

※最新刊などの情報は放送日当時のものです。
(4回にわけて公開)
撮影:2006年11月。
制作:YOUテレビ。

NHKラジオ「鎌田實 いのちの対話」では、神山純一さんの「蓼科紀行」をテーマミュージックとして使わせてもらっています。

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鎌田實の一日一冊(48)

『スローメディスン~まるまる治るホリスティック健康論』(上野圭一、辻信一共著、大月書店、1260円)

辻氏は、文化人類学者で、環境運動家、大学教授で、作家である。
「ローカル」「スロー」「スモール」などの言葉をキーワード活動していてる。
「100万人のキャンドルナイト」呼びかけ人代表をしたり、NGOナマケモノ倶楽部の世話人をしている。
『スロー・イズ・ビューティフル』という本も書いている。

『スローメディスン』では、上野圭一さんというホリスティックメディスンをしている人と対談をしている。
前段が、なかなかしゃれていいていい。Photo

北海道にある精神作業所ペテルの家の精神障害者が、辻さんとこんな会話をしている。

「治るという言葉は、どんなふうに使っていますか」と辻さんが聞くと、
「最近、輸入語でリカバリーという言葉をよく使いますね。
アメリカで使われるこの概念は、日本語でいう「回復」や「治る」と違うといいます。日本で「治る」「回復する」というと、「病気が」というのが主語ですが、向こうのリカバリーには、もっと広い意味があって、治らなくてもリカバリーは起こるという言い方をするのです」

治るということを必須条件にしなくていい。
治るにこしたことはないが、治るということと、幸せや安心は別問題だとこの人は言っている。
これは名言だと思う。

「ぺテルの家のみんなは病気が治るということ以上に、何かが回復したり、創造されたり、生み出されたりという願い方をしていて、病気が治るとか治らないとかということでウジヴシしている人は少なくなりました」
「単純に病気じゃなくなれば、幸せになるということではない」

そんなやりとりもあるる

「治る」ということがどういうことなのか、この本で展開されていく。
ぜひ、ご覧ください。

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2009年12月22日 (火)

広がる、チョコレートの甘い輪

今年のチョコレートの缶に絵をかいてくれたサブリーンのことを、女優の東ちづるさんが、
12月17日付けの東京新聞に書いてくれている。
東ちづるさんは、2年前のチョコレートに添えたサブリーンに絵にメッセージを寄せてくれた。
そのことを忘れないでいてくれた。Photo

今年15歳で亡くなったサブリーンのお別れ会には、湯川れい子さんが直々においでくださった。
坂本龍一さんがメッセージを寄せてくれた。
永六輔さんは毎週、ご自分のラジオでチョコ募金のことを話してくれている。
本当にありがたい。感謝である。

おかげさまで、チョコレートの注文は2万7000個を突破した。
来年2月13日までにあと7万個。
たくさんの人たちに、あたたかい波を広げていこうと思っている。

チョコレートについては、こちらをご覧ください。

http://www.jim-net.net/notice/09/10campaign_yokoku01.html

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2009年12月21日 (月)

鎌田劇場へようこそ!(29)「カティンの森」

「カティンの森」
待望の映画である。

監督は、ポーランド人のアンジェイ・ワイダ。Photo
1950年代に「地下水道」「灰とダイヤモンド」など、すばらしい映画をつくった。
ナチスに対するレジスタンス運動に参加していた監督は、美しいカメラアングルで、戦争の悲しみや、そこに生きる若者の切なさを見事に描いてきた。

ポーランドは、ナチス・ドイツに蹂躙されただけでなく、その後、ソ連の衛星国として自由を奪われていた。
その自由のないはずの国で、見事に政治の枠を超えた人間に迫る映画をつくってきた。
彼のなかには、レジスタンス運動に参加した若者だったころの熱い血がずっと流れつづけ、ソ連に対する巧妙なレジスタンスを行ってきたのではないか。
そのワイダが、79歳になって渾身の力で描いたのが、ポーランドの悲劇カティンの森事件である。

2 ポーランド軍将校ら1万5000人が、忽然といなくなる。
後に、ソ連の国内のカティンの森で多くの将校たちの遺体が見つかる。
ソ連は、ナチスがやった」と情宣活動を展開。
ソ連の衛星国になっていたポーランドは、ソ連の言いなりになるしかなかった。
これが「カティンの森事件」である。
ポーランドはその後、何度もカティンの森事件の真相を究明する映画をつくろうとしたが、できなかった。
ワイダも、自分の人生が終わりかかった今、ようやく撮ることができた。

ワイダの父は、ポーランド軍の将校で、カティンの森事件で亡くなっている。
自分の家族の映画でもある。
家族の絆を描いている。
戦争のなかでも、引き裂くことのできない家族の絆はますます深まっていく。
人と人とのつながりによって、人は生きていくことことができる。
同時に、人と人とのつながりによって、人は疲れていく。
支え合いがあったり、憎悪があったり。

カメラが美しい。
「灰とダイヤモンド」では絶妙なカメラワークで、夜明けのダンスホールで靄のなかにわびしいダンスが繰り広げられるという、不条理な世界を映し出した。
そのワイダが再び、美しいまちクラコフを詩情高く映している。
タデウシューという青年が突然の死を迎えるが、「灰とダイヤモンド」のなかで、テロリストが洗濯物が干されたところで殺されていくシーンを髣髴させるような場面であった。

話が少しそれるが、ワイダと同時代の監督に、アニエス・ヴァルダがいた。
ゴダールなどヌーベルバーグの旗手といわれた人たちや、イギリスの「アングリー・ヤングマン」(怒れる若者たち)の監督たちに比べると、ヴァルダの映画にはあまり心を揺さぶられなかった。
きれいな映画を撮るなあというくらいである。
「5時から7時までのクレオ」は斬新だったが、「幸福」などは、なんとなくきれいな映画だな、ということで終わってしまったような感じがする。あまり記憶に残っていない。
しかし、「アニエスの浜辺」はなかなかおもしろい。
フランスでは、最近、アニエス・ヴァルダのことを知らない若者たちも映画をみにやってきて、25万人を動員する大ヒットになったという。
ちょっとしゃれたドキュメンタリー映画である。

「カティンの森」に話を戻そう。
反戦の映画である。

事件の真実を暴こうとしたアグニエシュカの言葉が重い。3
「私は5年間、ドイツと戦ってきた」
ソ連の衛星国になってもドイツと戦ってきたときのように、ソ連に不正義があればそれをただす、とたぶんアグニエシュカは言おうとしたのだろう。

「私は犠牲者のそばにいたい。殺人者のそばにいるよりは、犠牲者のそばにいたい」

どんな時代にも、空気に負けずに、言うべきことを言う人間がいる。
そんなアグニエシュカは、ソ連の陰の力に殺されていく。なんとも不条理な世界だ。

戦争は、人間のなかにいる獣を暴れやすくさせる。
カティンの森で1万5000人が殺されたのも、人間のなかにある業あるいは獣が暴れたためなのだろう。
こうした悲劇は、これからもありうることである。
人間のなかには獣がいるから。
だから、戦争はしないこと。
獣を暴れさせない世界をつくっていくことである。

正月映画は、アニメの「ワンピース」が圧倒的に勝つのかもしれないが、どう生きるべきかを考えさせてくれる映画「カティンの森」はどうだろう。
ちょっと暗くなるけど、いい選択だと思う。

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2009年12月20日 (日)

手作りカレンダー

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ぼくが応援している宮城県角田市にある虹の園の、2010年のカレンダーができた。
虹の園は、障害者たちの自立を支援している社会福祉法人。
東北沿線上に講演に行ったときには、ここに立ち寄りミニ講演会をしている。

すてきな味わいのあるカレンダーである。
障害のある人たちがケナフを栽培し、その繊維から紙をつくり、手刷りをしている。

虹の園では、障害のある人たちの自立を目指している。
こうしたおいしいピザやパン、お弁当、そしてカレンダーを販売することで、月額3万5000円の給料を払いたいというのが目標である。
月額3万5000円の給料があれば、障害年金とあわせて10万円くらいの収入が確保される。
親が年をとったり、面倒をみれなくなったとき、施設に入るにしても、地域で自立していくにしても、生きていけるのが、この10万円というラインなのである。

虹の園では、お弁当をつくり、たいへん好評である。
直営のぱぴハウスではおいしいピザが食べられる。
ここのピザは、贅沢なチーズと地元の魚やつぶ貝などをふんだんに使ったものなど、オリジナリティーがある。
ぼくの親友である、まっちゃんという障害のある青年が焼いている。
12月23~25日の3日間は、クリスマススペシャルピザが販売される。
ローストチキンに生野菜たっぷりの限定ピザで、毎年行列ができるという。
冬の間は、ヤーコンのピザや、とろろのピザも評判である。

売り切れ続出は、国産小麦ゆきちからを100%使った食パンやフランスパン。
ゆきちからという小麦は、パンを焼くのが難しく、ちょっと手を抜くとおいしいパンにはならない。
武山先生の指導を受けながら、障害のある人たちが丁寧につくっている。
パンは焼けあがるそばから、あっという間に売れる。
写真は、そのゆきちからを使った食パンとフランスパン。Img_0087
ちょっと感動ものの本格的なパンである。

来年1月9日には、ぱぴハウス川崎店と、がぎゅうベーカリー川崎店が、宮城県の川崎町にオープンする。
おいしいピザとパンを食べたい人は、ぜひ。
福祉の店だから、というのではなく、ホンモノのおいしさで勝負している。

ケナフのすてきなカレンダーは1部2100円。
問い合わせは電話0224-63-1481。

気に入っていただければ、ぜひ買ってください。
自立を目指す障害のある人たちの応援になります。

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2009年12月19日 (土)

出版不況のなかで

16日の朝日新聞の広告欄に『いいんげんがいい』10万部突破、という大きな広告が載った。
ありがたいことである。
じわじわと売れ続けて約1年、10万部を突破した。1dsc_0019

本が売れないといわれている。
1989年から20年、2兆円産業といわれた出版業界は、今年度、1兆9300億円台に落ち込むという。
ピークは2兆6500億円まで伸びたが、じわじわと下がり続けている。

雑誌はさらに厳しい。
雑誌の部数は7.3%減と落ち込みがひどいという。
「諸君!」など約170種が休刊した。

来年1月4日発売号の「週刊ポスト」から新しい連載をはじめる。
『じたばたしない 「くう」「みる」「ひたる」』
厳しい時代ではあるが、時代に飲み込まれず、おいしいものを食べたり、いい映画やいい本をみたり、温泉にひたったり、感動にひたったり。
そんな連載をはじめたいと思う。

ぼくは講演旅行中など、必ず本を持っていく。
おもしろい本や雑誌が必要と思っている。

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2009年12月18日 (金)

イラクの識字率

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先日、松本で、バグダッドのマンスール小児病院の2人のドクターによるイラクの現状報告会が行われた。
イラクは石油があり、かつて豊かな国だった。
教育も行き届いていると思っていたが、識字率が77%と聞いて驚いた。
Img_0051 23%の人が字が読めない。
世界をみると、まだまだ子どもに勉強のチャンスが完全に与えられていない。
これをなんとかしないといけないと思う。

今年のバレンタインチョコレートの缶に絵を描いてくれたサブリーンは、病気になるまで学校に行ったことがなかった。
目のがんになり、病院の院内学級ではじめて字を教わったという。
しっかりとデータをみているわけではないが、もしかしたら、女の子だからという理由で学校に行かせていない家庭もあるかもしれない。Img_0058
もちろん、根本は貧困があってのこと。
男女差の問題が横たわっているのかもしれない。
来年2月、イラクに行ったときには、このことの調べてくるつもり。

写真は、バグダッドから信州大学に研修に来たイラク人ドクター。
マーゼン・ジャドリー医師(男性)と、ナジャハ・アミーン医師(女性)

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2009年12月17日 (木)

岩次郎小屋に雪

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3日ほど前、いつものように4時半に起き、来年3月に出版する写真とコラボレートした詩集をつくるために、音楽を聴きながら物思いにふけっていた。
6時を過ぎると少しずつ薄明かりが広がっていく。
あっと思って外をみると、一面の雪。
八ケ岳には何度も雪が降っているが、里に雪が降り、岩次郎小屋にも雪が積もったのはもう2度目。

暖冬が予想されているが、この地域はスキー場をたくさんもっているので、観光産業が心配である。

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2009年12月16日 (水)

意外なところからの寄付

JIM-NETに現金書留が届いた。
刑務所からである。
「刑務所で働いたお金です。小額ですが、役に立てていただければ幸いです」
と手紙が添えられていた。
決して、「小額」ではない。Pa140638
びっくりするような額である。
刑務所で働いたお金は、社会へ出て生きていくための、大切なお金のはず。

重たいお金である。
つくづくと思う。
たくさんの人に支えられているな、と。
感謝、感謝、感謝。

バレンタインチョコレートについては、こちらをご覧ください。

http://www.jim-net.net/notice/09/10campaign_yokoku01.html

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2009年12月15日 (火)

バグダッドの爆破テロ

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12月8日、バグダッドで起こった連続爆破テロに関して、連絡が入った。
バグダッドには、アブ・サイードという現地人スタッフがいる。
彼が、骨肉腫で片足を切断している12歳の女の子アヤ=写真=に付き添って、マンスール病院に行っているときに、爆破テロが起こった。
病院から帰ろうしたが、すべての道が通行止めになっていたという。2

今、信州大学で研修中のドクター・ナジャハの家から50メートルほどのところでも爆発があった。
家の窓やドアは爆風で壊れてしまったという。
ナジャハの子どもは学校に行っており、無事だった。
ご主人は、その場にいたが、なんとか怪我をしないですんだという。
この連続爆破テロで、130人が死亡し、500人の負傷者がでたという。

アヤは、昨年のバレンタインチョコレートに絵を描いてくれた。
今回の大きなテロで、また、怖い思いをしたと思う。
今年のバレンタインチョコレートの缶に絵を描いてくれたのは、サブリーン。
この10月に目のがんで亡くなった。
Photo 彼女の遺していった絵は好評で、たくさんの方が「かわいい」と言って、注文してくれている。
すでに2万個の注文を突破した。
永六輔さんが、TBSラジオの「土曜ワイドTOKYO 永六輔その新世界」で毎週話をしてくれているらしい。
永さんから話を聞いた、という注文のファクスがたくさん入っている。
ありがたいことです。

その永さんのラジオ土曜ワイドに、12月19日午前8時半ごろ、山口県から電話出演する。
ぜひ、聴いてください。

バレンタインチョコレートについては、こちらをご覧ください。

http://www.jim-net.net/notice/09/10campaign_yokoku01.html

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2009年12月14日 (月)

お寿司の日

0912091pc090917 毎年恒例のお寿司の日があった。

寿司ネタは、小学校時代の親友、宿谷賢一君が送ってきてくれた。
宿谷君は「鎌田が施設長をやっているなら応援してあげるよ」と言って、15年近く、鯛やカニ、マグロ、イクラなどを大量に送ってくれている。
シャリは、秋田に講演に行ったときにいただいたお米。
もみつきのままとっておき、お寿司の日の前日に精米した。

これをボランティアで握ってくれたのは、病院のすぐ近くにある玉川寿司のオヤジさん。
朝5時から、三升を五回炊いてもらい、約2000個のお寿司を握ってもらった。

ぼくは一人でうまく生きれない人間で、子どものころから親友に守られてきた。
宿谷君とは、一緒に野球部に入った。ぼくがショートで、宿谷は一塁。
彼は、とにかく足が速かった。
先見性のある男で、ウナギの養殖の会社をやったり、野菜を刻んでパック詰めをする会社をやったりした。
しかし、時代よりも3歩くらい先を走ってしまうために、事業としてはうまくいかず、何度も失敗した。
今のダイヤフレッシュフーズという会社をつくって、成功した。0912092pc090923_2 

「オヤジもお袋も亡くなって親孝行できないから、その代わりだ」と言って、施設のお年寄りの喜んでもらってほしいと、新鮮な魚を送ってくれる友人の言葉がうれしい。

お寿司の日、お手年寄りたちは大喜び。
「最高、最高」とはしゃいでいる。
足が不自由でふだん歩かない人も、握っているカウンターのところまでやってきて、「カニがいい」とか、「マグロがいい」とか、注文している。
この日は、特別にお酒の好きな人はビールも飲めるようした。
血圧が高い人が一人いて、ドクターストップがかかりそうになった。
「こんな日には、いっぱい飲みてえな」と、口数が少ないおじいちゃんが言うので、
「じゃあ、一口だけ」と飲んでもらった。
「生きててよかった」と、うれしそうな笑顔がこぼれた。

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2009年12月13日 (日)

この人に会いたい(16)米長邦雄さん

日本将棋連盟会長。
『癌ノート~米長流 前立腺癌への最善手』(ワニブックス)という本を読んで、おもしろいなと思った。
66歳で前立腺がんになった。しかも広範囲の前立腺がん。
手術をすすめられたが、いろんな情報を集め、セカンドオピニオンを受けたりしながら、
放射線治療も選択の一つと考えた。Photo_2

ブラキセラピー(小線源療法)の、埋め込み式の低線量率組織内照射は、がんが前立腺の両側にあるために弱すぎる。
がんの進行を止められないといわれた。
彼は、手術に傾きかけるが、高線量率組織内照射という放射線治療があることを知る。
最近の前立腺がんの手術は、神経温存療法も行われるようになり、尿モレや勃起不全などが起こりにくいといわれている。
それでも2、3割は、機能不全を起こす可能性がある。

そこで彼は、情報を集め、セカンドオピニオンを受け、自分にとっての最善手は何か、選択しようとする。
勝負師米長は、正しい情報と客観的な判断、そして、最後にそのドクターのもっている運気をみて決めたという。
運気というのは、おもしろい。

米長さんは、笑いながら言った。
「タイガーがいま、大騒ぎされているが、運気のない女性と付き合ってしまったことが問題なんだ」
「そうですか、じゃあ、あげまんの女性と付き合わないといけないですよね」
と、ぼくは切り替えした。

以前、ぼくは62歳の男性の奥さんから手紙をもらったことがある。
やさしかった夫が、このごろイライラしているという。
ぼくは、定年退職後、精神的な過渡期で、暗くなったりすることがある、長い目で支えてあげてください、と手紙で返事をした。

また、奥さんから手紙が来た。
孫にもやさしかった夫が、孫を怒鳴ったり、私を怒鳴ったりする。L1080191
実は、話しづらいのですが、と前置きし、夫はセックスができなくなった、と書かれていた。

その書きづらいことを書いてくれたことで、ようやくピンときた。
前立腺がんでホルモン療法をしているので、薬の影響もあると思った。
泌尿器科の先生と相談をして、すぐに改善することができた。
奥さんから、もとの夫に戻りました、やさしくて強い夫です、とニヤッとしてしまう手紙をもらった。

セクシュアルなテーマは、大事なことなのに、なかなか相談しづらい。
はじめの手紙のときに、勘のいい医師ならば、言いづらいことを言わせずにすんだかもしれない。
ぼくは、定年退職後の精神的なショックということで片付けようとしていたことを反省した。

がんの治療では、命を助けるために、尿モレや勃起障害などについてはあまり斟酌しない空気がちょっとある。
命が少しでも助かる方法を選ぶのか、セクシュアルなことも含めたQOLを選ぶのか、患者さんそれぞれの価値観によって選択するのが、その人にとっての最善の治療法となる。

稀代の勝負師が何通りもある指し手の中から、どうやって自己決定したかがよくわかった。
インタレスティングな時間であった。

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2009年12月12日 (土)

神奈川学園で命の授業

神奈川学園は横浜にある女子中・高一貫校。
先日、1200人ほどの生徒たちに命の授業をしにいった。

中・高の生徒全員が『がんばらない』を読んでくれたという。
社会科の先生がチェルノブイリ原発事故の話を1時間して、その後、国語の先生が2時間、ぼくの絵本『雪とパイナップル』を使って授業をしたクラスもあったという。
「世界一受けたい授業」のDVDを鑑賞し、告知賛成派と反対派でディベートをしたという。
NHKの「ようこそ先輩―聴く力は生きる力」も一つの教材になった。
聴くということがどんなに大切なことか、議論したという。
たいへんな準備である。

命の授業では、このごろぼくがこだわっている「われわれはどこから来たのか」というテーマで話しはじめた。
命は38億年、つながっている。その歴史のなかで、私たちは命のバトンタッチをしてきたという話をした。
事前学習がしっかりしているためか、前半は難しいテーマのはずなのに、身を乗り出して聴いてくれている。
笑ってくれるときの反応も速い。
「聴く力」をもった学校だと思った。

先生たちの努力も並大抵のことではないと思う。
それが子どもたちにきちんと伝わっている。
聴きながら、何か一つでも身につけようとする姿勢が感じられた。

じつに礼儀正しい。L1080187
この学校は、ルールが少ない学校だという。
創始者の佐藤善治郎校長は、心の規範をもって生活が丁寧に行われるならば極力ルールは少ないほうがいいという考え方によるらしい。
生徒たちもルールが少ないと自覚していることもまたいい。
このままルールが少ないままでいくには、自分たちがしっかりしていなければならないと、理解しているようだ。

佐藤善治郎先生は、三代以降は佐藤家が理事長や校長をしないようにと、きれいな身の引き方をして、
まったくの他人にすべてを譲り渡したという。
新しくホールをつくったとき、佐藤善治郎ホールと名前をつけたかったが、佐藤先生の家の方から、そういうことを望んでいないのでつけないでほしいと言われたという。
これもなかなかいい話である。
学校側は、佐藤を砂糖ともじって、「シュガーホール」と名づけた。
なかなかおしゃれな対応をしたと思う。
学校には、そういういい空気が流れている。
教育の現場を我が物にしていないところがいい。

横浜大空襲でこのあたりが焼け野原になったとき、この学校も焼けた。
その焼けていく学校を生徒たちと一緒にみながら、校長が「校舎は燃えても、教育は燃えない、大丈夫だ」と言ったという。
なかなかの人物だと思う。

そういう学校で命の授業をさせてもらったことは幸せだったと思う。
1200人の聴衆が全員が『がんばらない』の文庫本をもって、感想文を書いてくれている。
演者として、なんとも幸せな時間をいただいたと思う。

神奈川学園の中学校、高校の生徒さんたち、たいへんお世話になりました。

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2009年12月11日 (金)

この人に会いたい(15)吉野槙一さん

日本医科大学名誉教授。もともとは整形外科医でリウマチ科の教授をしていた。
彼は、自然治癒力を増強するには、「脳内リセット」というのが大事だという。
脳のストレスを解放してあげる、と言い直してもいいかもしれない。
そのために、泣くことや笑うことの前後に血液検査をし、免疫系のナチュラルキラー細胞や、内分泌系、自律神経によって分泌される科学的物質などを測定。
泣くことや笑うことが、ストレスを軽減し、病気を治していくうえで大きな助けになるということを科学的に追究した。

おもしろいのは、笑うことだけでなくて、泣くことも、彼の研究によって免疫系や自律神経系にもいい作用を及ぼすことがわかった。L1080189_2 
同時に、いい眠りをつくることも、精神状態と連動する病気の発病を抑える働きがあるという。
つまり、糖尿病やがん、高血圧、アレルギー疾患などの発病や病気の悪化をさせないようにするには、笑うこと、泣くこと、いい眠りをつくることが大事という。

糖尿病などは、糖尿病と診断されただけで気分が滅入る。
そのときに、どう明るく対応できるかが大事となる。
ぼくは『言葉で治療する』(朝日新聞社)のなかで、「行動変容」という言葉を使いながら、前向きに明るく、自分の病気をいかにセルフコントロールするかがガキだということを書いている。
食事制限すること自体が、気分をうつうつとさせ、その気分がさらに糖尿病を悪化させる。
この悪循環を断つためには、食事制限の動機付けなどが大事だし、ときどき崩れたときも自分を責めないことが大事である。

ストレスがあってもがんばっていると、交感神経が緊張状態になり、副腎髄質からアドレナリンが分泌される。
アドレナリンはナチュラルキラー細胞の膜にあるアドレナリンβ受容体と結合して、ナチュラルキラー細胞の活性を低下させるという。
一方、ストレスは副腎皮質にも働いて、コルチゾールを分泌する。
そのコルチゾールはマクロファージの機能を低下させる。
ストレスが免疫機能を低下させるのである。

笑うとβエンドルフィンが増える。痛みが少し軽減される。
副交感神経が刺激されると、痛みに関係するインターロイキン-6という物質が低下するために、ほっとしたり、リウマチやがんなどの痛みも軽くなるという。

楽しいことに夢中になることも大事だという。
精神的なものが影響するがんやリウマチ、糖尿病、胃の病気などの人たちは、できるだけ夢中になれるものをみつけるといい。

これらは、だれでも知っているようなことであるが、吉野先生はそれを科学的に証明したところがおもしろい。

吉野先生は大学教授を退官し、現在は臨床医としてクリニックを開業している。
彼は大学教授のころに、リウマチ患者の性生活の実態なども調べている。
リウマチの患者さんたちが、結婚生活を満足におくれていないことがわかった。
下肢の人工関節置換術を行うと、歩くことは100%改善しても、性行為の改善は50%程度にとどまる。
セクシュアルなテーマは日本の病院では語られにくいが、生きていくうえでは大事なテーマなので、医師と患者が信頼関係のなかで相談できるようになるといいと思った。

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2009年12月10日 (木)

12/13 イラクの医師の現状報告会

イラクのバグダッドの小児病院のマーゼン・ジャドリー先生とナジャハ・アミーン先生が松本にやってきた。
イラクの白血病や小児がんの子どもを救うために医療の質を上げる、研修を受けるためである。
日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)が、招聘した。
2人は、信州大学を中心にして、白血病の確定診断を正確に行えるように、フローサイトメトリーによる遺伝子解析のテクニックを学び、輸血体制や感染症対策、最新の白血病治療、骨髄移植などの研修を受ける。

12月8日、信州大学の最上階にあるレストランでJCFを応援してくれている市民や信州大学のドクターたちが集まって、2人の歓迎会が行われた。
ちょうどその日、イラクで、久々の大きなテロがあった。091208mage464 
バグダッドで112人が亡くなったという。
その後、緊急連絡が入り、テロがあった場所は来日中のナジャハ先生の家があるところ、ということがわかった。
スタッフが連絡をとると、ナジャハ先生の親戚につながった。
ナジャハ先生の家族は全員無事ということである。
まだまだ本当の平和はやってきていない。
マーゼン先生によると、「テロは非常に少なくなり、最近では夜一人で、街へ食事を食べに出て行けるようなになった」と言っていた矢先の、悲しい知らせである。

イラクでは宗派対立を乗り越えて、お互いが理解しあい、テロを許さないという空気が少しずつ生まれている。
街が平穏になると、テロリストは焦って、治安をかき乱そうとする。
もう一息。いい方向に来ていることは間違いない。
来年2月中旬、イラク北部でイラクのドクターたちとカンファランスを行う予定に変わりはない。
本当の平和が来るまで、イラクのドクターたちと丁寧に交流しながら、信頼関係を築いていくことが大事だと思っている。

マーゼン先生とナジャハ先生の講演会が、12月13日午前10時から正午まで、松本中央公民館エムウイングで開かれる。
テーマは「バグダッドの社会状況と病院の子どもたち」

鎌田のJCFイラク支援の講演もある。
参加は無料。

松本は美しいところ。おいしいそばでも食べがてら、ぜひお越しください。
日曜日、高速道路の通行料も安くなります。

東京では、17日午後7時~9時、早稲田奉仕園BFリバティホールで、マーゼン先生とナジャハ先生のイラクの現状の報告会がある。
こちらは、参加費1000円。
詳しくは、こちら↓をご覧ください。

http://www.jim-net.net/notice/09/091217A.html

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2009年12月 9日 (水)

サブリーンへのメッセージ

突然の呼びかけにもかかわらず、サブリーンのお別れ会に180人の方が集まってくれた。
サブリーンは11歳のときに、横紋筋肉腫と診断され、右目の摘出手術を受けた。
その後、左目にも転移、全身にも広がり、本年10月16日に亡くなった。

こんなメッセージが送られた。

「きっと、普通の女の子に憧れていたのでしょうね。Photo
そんな“普通”の夢さえ叶えることができませんでした。
本当にごめんなさい。
世界中の大人たちは、あなたに謝らなければなりません。
今度生まれるてくる時には、平和の地で、お洒落してお出かけができるように。
平和が“普通”のことになる時代が来ますように。
そして、世界中の子どもたちが笑顔で暮らせますように。
私たち大人の責務です」(東ちづる)

「イラクに何人のサブリーンのように、一方的な戦争の犠牲になった子どもがいるのだろう。
世界には何人のサブリーンのように、貪欲さと暴力の犠牲になった子どもがいるのだろう」(坂本龍一)

サブリーンは9月、がんが左目にも転移して、両目とも見えなくなったときに、もう絵がかけない、夢も希望もなくなったわ、と悲しんだ。
最後の視力で、たくさんの絵を書いた。

そのときのサブリーンの絵が、チョコレートの缶にプリントされている。
缶は4種類で、4缶1セットで販売している。
サブリーンの「イラクの病気の子どもたちを助けてください」という願いを、ぼくたちは引き継いでいこうと思っている。

チョコレートについては、こちらをご覧ください。

http://www.jim-net.net/notice/09/10campaign_yokoku01.html

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2009年12月 8日 (火)

観光立国をめざす

日本は、外国からの旅行者が2019年までに2500万人、最終的には年間3000万人にすると目標を立ている。
2008年の外国人旅行者は830万人くらいなので、途方もない数の計画をしているように思える。

日本は観光立国を目指すというわりには外国からの観光客は少ない。
世界では28位、アジアでは6位である。
だが、日本には潜在的な力があると思う。
観光地は、京都、奈良だけではない。
すでに北海道のニセコなどは、スキーヤーの半分くらいは外国人が占めている。
信州の自然を満喫するのもいい。7年に一度の御柱祭などを外国人が見たら感動するだろうなと思う。
そうした魅力的な伝統文化や観光資源が、日本各地にあるはずである。

なのに、なかなか外国人観光客は増えない。
一つは不況である。
不況になってから韓国の観光客などは激減している。
円高になると、外国の観光客の足を遠のかせてしまう。
それでも、一時期、サブプライムローン問題で経済が冷え、前年割れをしていたが、9~11月の3カ月に関しては前年度より伸びてきて、何とか持ちこたえている。

もう一つは、ホスピタリティーの問題だ。
旅行関係者は一生懸命だと思うが、一般国民はなんとなく冷ややか。
あいさつをしたり、サポートしてあげたりすることは少ない。
特に、韓国や中国、台湾などアジアの国のお客さんには、そんな感じがあるように思う。
7割近いホテルや旅館が、外国人が特別に来てくれなくてもいいと思い込んでいるというアンケート調査もあるらしい。

日本からは1600万人くらいの人が外国へ旅行している。
円高のときこそ、チャンス。
日本人が、もっと外国を訪れることも大事だと思う。

ぼくは最近、赤坂のANAインターコンチネンタルホテルを利用することが多い。
ここに宿泊すると会議室を無料で利用できる。
なかなか広くて快適な会議室である。
東京に来ると、対談やインタビューがいくつかあるので、この会議室を利用できるとたいへん重宝する。
テレビやラジオに出演するときにや、東京近辺の講演に出かけていく拠点としても、便利である。高田馬場にあるJIM-NET事務局に出かけていくのにもいい。

エグゼクティブフロアーで朝食をとっていると、9割が外国人である。
外国人がビジネスで日本に来るだけでなく、家族や友人と観光にやって来てくれることが、今後、日本の経済を支えていくうえでも大事だと思う。
現時点でも旅行消費額は23.5兆円(平成19年度)という。
企業の売上高でいうならトヨタが26.3兆円、三菱商事が23.1兆円が匹敵するから、旅行というのも大事な産業である。
当然、波及効果として雇用の増大も期待できる。

観光地やホテルマンのホスピタリティーだけでなく、国民全体が外国人観光客に対するおもてなしの心をもつことが、観光立国になるために大事なんだと思う。

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2009年12月 7日 (月)

高齢者医療制度改革会議

後期高齢者医療制度は評判が悪かった。
民主党は、後期高齢者医療制度の廃止をマニフェストにうたっている。
それに沿って、新しい改革会議が開かれた。
先日、第一回高齢者医療制度改革会議が開かれた。
ぼくは、その委員の一人になった。
後期高齢者医療制度は、ネーミングを含めて、当事者たちの意見がうまく反映されていなかったので、19人の委員のうち4人は後期高齢者である。
元千葉県知事の堂本さん、高齢社会をよくする女性の会理事長の樋口恵子さんらの話は当事者であることもあって、納得がいく迫力ある話で、主に透明性や平等性を高めていく必要性があることを訴えた。
全国老人クラブ連合会相談役の見坊和雄さんの言葉はなかなかひきつけられた。
「世間は古い高齢者意識に引きずられている。高齢者全体が社会のお荷物になっているわけではない。仕事をもち、社会活動をし、税金を払っている75歳以上の人は、40万人もいるという。8割は介護保険を使っていない。ただし、病気は一つや二つもっている。高齢者がかかりやすいような医療制度があったほうがいい」Photo

今後、後期高齢者医療制度は廃止する上で、年齢で区分するという年齢差別をしない、市町村国保などの負担増が生じないようにする、高齢者の保険料が急に増加したり、不公平にならないようにする、高齢者医療制度だけの問題だけでなく、日本の医療制度を抜本的に見直す第一段階として新たな制度を構築しようという方向性が確認された。

地域保険と企業保険が一体化し、医療保険が一元化すれば、すっきりするが、医療保険がかなりの部分を企業が支えてくれている部分があり、簡単に一元化するというのはすぐにはできない。
しかし、市町村国保を中心とした地域保険において、高齢者医療制度をまず一本化することが、わかりやすく継続可能な医療保険の第一歩なのだと思っている。

今の経済状況を考えれば、天井知らずに医療費が増加し続けることは避けなければならない。
医療が崩壊しないように、医療費費を若干増加させながらも、経済の足をひっぱらない程度に、医療をする側も受ける側も、納得のいく落としどころを見つける必要がある。
きちんと議論して、国民に説明し、みんなが納得のいく制度をつくりあげることが大事だと思う。

鎌田のウエットな資本主義にとって、安心のできる医療保険制度はとても大事である。
ウエットな資本主義構築のためにも、すぐれた、納得のできる、効率的で継続可能な医療保険制度をつくりたいと思う。

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2009年12月 6日 (日)

鎌田劇場へようこそ!(28)「戦場でワルツを」

この映画は、ゴールデングロープ外国語映画賞、全米映画賞批評家協会賞最優秀作品賞、国際ドキュメンタリー協会賞長編ドキュメンタリー賞などを受賞した。
アカデミー賞の外国語映画賞部門にもノミネートされたが、「おくりびと」に競り負けた。
うわさでは、イスラエルの映画でなかったならば、「戦場でワルツを」が受賞したのではないかといわれている。

イスラエルは、2009年1月にガザ攻撃をし、1315人を虐殺した。
特に批判が大きいのは417人の子どもを殺していることである。
そのイスラエルの映画には、たとえ反戦映画だとしても、賞をあげることはできなかったのだと思う。
「おくりびと」の評判はいいが、ぼくはあまり評価をしていない。
死者をおくることを、納棺師という専門の人に任せてしまうのが好きではない。
おくりびとは、家族であったり、友人であったり、恋人であったり、その人と生きているときに関係の深かった人たちがおくりびとになるのがいいのではないかとぼくは思っている。
そんな内容のことを、来年2月発売の新刊(集英社)で書いた。
この新刊については、後日、お知らせするので、ご期待ください。

その「おくりびと」に負けた「戦場でワルツを」がすばらしい。
アニメーションである。
アリ・フォルマン監督自身は、若い頃、サブラ・シャティーラの虐殺があったレバノン戦争に従軍した。
しかし、そのときの記憶が抜け落ちている。Photo

ベトナム戦争のとき、帰還兵の精神が冒されていく症例が注目され、PTSDという新しい疾患がみとめられた。
PTSDは戦争だけではなく、災害や事故など、大きなストレスを受けたあと、しばしばおこる。
阪神淡路大震災や中越沖大震災の後でも、PTSDに苦しむ人たちがいる。
無力感や思考力の低下、恐怖感、悪夢、うつ状態、パニック障害など多彩な精神症状や身体症状が出てくる。
そのなかに記憶の障害も含まれている。

監督は、イスラエル軍の歩兵だったときの戦友を訪ねてあるきながら、悪夢から逃げない。
徐々に自分の記憶を取り戻していく。
最後に、画面はアニメーションから、サブラ・シャティーラの虐殺を伝えるニュース映像に切り替わり、映画は終わる。

かつてイスラエルは、ナチスによるホロコーストを経験しているはずなのに、
自らの民族の悲しみを忘れ、痛めつけられたことの苦しさを忘れ去り、レバノンやパレスチナで残虐な行為を繰り返している。
この映画は、憎しみや恨みの連鎖から、暴力や戦争を起こしていることを自己批判している。
もちろん、批判も多い。
現実はもっとひどいことをしているはずなのに、きれいごとですませている。
だが、ぼくはイスラエルからこういう映画が出てきたことは、実は貴重なのだと思う。

人間とは何か、生とは何か、死とは何か、戦争とは何かを考えさせてくれる。
哲学的な考察が好きな人には、ぜひみてもらいたい映画だ。
ポエムが好きな人にもおすすめ。
人間の心に興味のある人にもおすすめ。
反戦や平和を考えている人にもおすすめである。
人間て、なんてバカな動物なんだろうと思っている人にもおすすめ。

11/28よりシネスイッチ銀座でロードショーしている。

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2009年12月 5日 (土)

発見!特B級グルメ(88)一口餃子

博多の一口餃子は有名である。
そこで昼間、おいしいと評判のテムジン大名店に、焼き餃子とスープ餃子、焼きうどんを食べに行った。

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餃子は具がねっとりとして緻密である。
なかなかのしろものである。
焼きうどんのめんは、ラーメンの太いような感じ。
太めの焼きそばといったところか。

夜は、博多餃子舎603スタジアムに。
ここには、黒豚を使った餃子や、明太子にチーズが入った餃子など、変わった餃子がたくさんあった。
そこで餃子と、最近はまっているモツ鍋を食べた。

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これまで、モツ鍋系は敬遠していた。
みんなからおいしいから食べようと誘われてきたが、ノーサンキューだった。
なんとなく、びびってしまっていた。
だが、一度、モツ鍋を食べてから、すっかりはまってしまっている。

博多餃子舎のモツ鍋は、ニンニクと唐辛子がきいている。
大きく切ったキャベツともやし、にら、もちろん、もつがたっぷり入っている。
それをぐづぐつ煮ながら、スープを楽しみながら食べ、中盤で餃子を入れて食べると辛目のスープ餃子のようになる。
これがまたうまい。

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2009年12月 4日 (金)

新型インフルエンザに負けない22

~~国民の7割が抗体をもつ意味~~

新型インフルエンザの累計患者数が、1000万人を超えた。
北陸のある県で、同室で入院中の患者さん2人が新型インフルエンザを発症した。
ともにタミフルが効きにくい耐性ウイルスと確認された。

インフルエンザは、主に飛沫感染で感染する。
まれではあるが、空気感染する例も報告されている。Pa140636
空気感染するものには結核などがあるが、それだけ菌やウイルスの感染力が強いということである。
タミフル耐性インフルエンザウイルスが出てきているのも気になる。
早く、日本で開発中の新しいタイプの抗インフルエンザ薬が認可され、市場に出るといいと思う。

新型インフルエンザに感染したり、ワクチンを接種すると、しばらくの間、抗体ができる。
新型インフルエンザに感染した人が1000万人を超えたということは、ワクチン製造のスピードを上げ、4000万人くらいがワクチン接種ができるようにするといい。
日本人の半分くらいが新型インフルエンザに抗体をもつ状態がつくられると、大流行を回避することができる。
1918年に猛威をふるったスペイン風邪は、2年間にわたって3回の流行の波が起きている。とういうことは当然、この新型インフルエンザも今年だけでなく、来年も流行の波がやってくる可能性がある。
そのときに備えて、2010年10月くらいまでには、さらに3000~4000万人のワクチン接種が行われ、国民の7割くらいが抗体をもつような状況をつくりだせば、スペイン風邪のような悲劇は回避できるのではないか。
国民全員が強制的にワクチンをする必要はないが、してほしいと思っている人にはできるだけ早く用意をすべきである。
強毒型の鳥インフルエンザが発生する前に、ワクチン製造体制をつくることが重要だ。

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2009年12月 3日 (木)

JCFにご寄付を

日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)が、国税庁認定NPO法人として認められた。
長野県では2つ目である。
全国でもまだ106法人しか認定されていないという。

国税庁認定NPO法人に寄付をすると、寄付控除等の対象となる。
これからJCFにご寄付をいただくと、その寄付金の税金が控除されることになる。
たとえば、遺産相続で払う税金の一部を、子どもたちの命を助けるために使ってもいいと思われる方は、ぜひ、前向きに考えていただけるとありがたい。
最近、JIM-NETに1400万円の寄付をしてくださった方がいた。091202image459
子どもたちの医療支援のために、大切に使わせていただきたい。

JCFでは、CD「ひまわり」「おむすび」「ふるさと」を販売し、その収益を子どもたちの医療支援にあてているので、よろしければ、こちらにもご協力を!

イラク戦争により、イラクの子どもたちは、たいへんな状況に陥っている。
ヨルダンの首都アンマンにあるJCF事務局の加藤君からの連絡では、イラク国内には、夫を亡くした妻が300~400万人、孤児になった子どもが400~500万人いるといわれている。
子どもが一家を支えるために児童労働をかせられている例もみられるという。
なんとか子どもたちが、人間らしく生きられるようにしてあげたい。
加藤君はイラクの北部アルビルで、JIM-NETから派遣されている内科医の井下先生と看護師さんをサポートしながら、小児白血病センターのナナカリ病院の感染症対策に指導的な役割を果たしてくれている。
イラク戦争によって、取り返しのつかないことがおきている、その現状を彼は目の当たりにしている。

イラク戦争以降、子どもたちの命を救うための活動にかかわってきたが、子どもたちの姿から「戦争とは何か」が見えてきたような気がする。
2日には、15歳で亡くなったサブリーンのお別れ会を行った。
坂本龍一さんからの追悼のメッセージも届いた。
サブリーンが遺していった絵を見ながら、平和について語り合う夜だった。

写真は、サブリーンの絵をもとにしたポスター

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2009年12月 2日 (水)

ナイス素適音楽館 鎌田出演編(2)

八ヶ岳のアトリエで美しい音楽を作り続けているネイチャー・コンポーザー神山純一さんの番組に出演。
(4回にわけて公開。今回は第2回目。)

鎌田が、著書「それでもやっぱりがんばらない」の朗読をします。
また、がんばらないレーベルCDより坂田明さんの「ひまわり」を紹介しています。

※最新刊などの情報は放送日当時のものです。

撮影:2006年11月。
制作:YOUテレビ。

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『言葉で治療する』書評欄に

11月29日付けの読売新聞の朝刊の読書欄に、精神科医の春日武彦先生が書評が書いてくれた。
『言葉で治療する』(朝日新聞社)が出版されて2、3週間なのに、ありがたいことである。
春日先生とは、面識はない。
「医療行為の根源に迫る本だ」と書かいてもらった。

この本については、毎日新聞の生活欄でも取材をしていただいた。
この本で取り上げた人たちは、本の中では個人が特定できないようにしたが、今回、毎日新聞の取材にあたり、新聞の取材を受けてもかまわないと何人かが取材を受けてくれた。
こういう方々の勇気が日本の医療をよくしていくのではないかと、期待している。

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2009年12月 1日 (火)

「言葉」の力を語る

NTTファシリティーズのメールマガジン「えふ・マガ」インタビューに鎌田實が取り上げられている。

http://www.ntt-f.co.jp/fmag/interview/kamata02.html

「相互理解を生むコミュニケーション」というテーマで、コミュニケーションについて語っている。
新刊『言葉で治療する』(朝日新聞社)では、医療や介護の現場での、医師や看護師と患者さん、介護関係者とサービス利用者の関係を中心に、どんな言葉が交わされ、何が起こっているのか、どうあるべきかを書いた。
ここでは、仕事をするとき、人間関係を変えていくとき、言葉をどう役立てていくか、聞くことの力などについて語った。

ぼくのサイン入りの『言葉で治療する』のプレゼントもあるので、ぜひアクセスしてみてください。

バレンタインチョコレート募金のことも取り上げられている。
これに関しては、ラジオや雑誌など方々で取り上げられ、先行予約を始めて1週間ですでに1万個くの予約が入っている。
今年度は10万個限定。
昨年もバレンタインの1ヶ月前くらいには完売となったので、ぜひ先行予約をおすすめします。

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