観光立国をめざす
日本は、外国からの旅行者が2019年までに2500万人、最終的には年間3000万人にすると目標を立ている。
2008年の外国人旅行者は830万人くらいなので、途方もない数の計画をしているように思える。
日本は観光立国を目指すというわりには外国からの観光客は少ない。
世界では28位、アジアでは6位である。
だが、日本には潜在的な力があると思う。
観光地は、京都、奈良だけではない。
すでに北海道のニセコなどは、スキーヤーの半分くらいは外国人が占めている。
信州の自然を満喫するのもいい。7年に一度の御柱祭などを外国人が見たら感動するだろうなと思う。
そうした魅力的な伝統文化や観光資源が、日本各地にあるはずである。
なのに、なかなか外国人観光客は増えない。
一つは不況である。
不況になってから韓国の観光客などは激減している。
円高になると、外国の観光客の足を遠のかせてしまう。
それでも、一時期、サブプライムローン問題で経済が冷え、前年割れをしていたが、9~11月の3カ月に関しては前年度より伸びてきて、何とか持ちこたえている。
もう一つは、ホスピタリティーの問題だ。
旅行関係者は一生懸命だと思うが、一般国民はなんとなく冷ややか。
あいさつをしたり、サポートしてあげたりすることは少ない。
特に、韓国や中国、台湾などアジアの国のお客さんには、そんな感じがあるように思う。
7割近いホテルや旅館が、外国人が特別に来てくれなくてもいいと思い込んでいるというアンケート調査もあるらしい。
日本からは1600万人くらいの人が外国へ旅行している。
円高のときこそ、チャンス。
日本人が、もっと外国を訪れることも大事だと思う。
ぼくは最近、赤坂のANAインターコンチネンタルホテルを利用することが多い。
ここに宿泊すると会議室を無料で利用できる。
なかなか広くて快適な会議室である。
東京に来ると、対談やインタビューがいくつかあるので、この会議室を利用できるとたいへん重宝する。
テレビやラジオに出演するときにや、東京近辺の講演に出かけていく拠点としても、便利である。高田馬場にあるJIM-NET事務局に出かけていくのにもいい。
エグゼクティブフロアーで朝食をとっていると、9割が外国人である。
外国人がビジネスで日本に来るだけでなく、家族や友人と観光にやって来てくれることが、今後、日本の経済を支えていくうえでも大事だと思う。
現時点でも旅行消費額は23.5兆円(平成19年度)という。
企業の売上高でいうならトヨタが26.3兆円、三菱商事が23.1兆円が匹敵するから、旅行というのも大事な産業である。
当然、波及効果として雇用の増大も期待できる。
観光地やホテルマンのホスピタリティーだけでなく、国民全体が外国人観光客に対するおもてなしの心をもつことが、観光立国になるために大事なんだと思う。
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