赤い橋
浅川マキさんが急死した。
67歳だった。
コンサートの旅の途中での急死。急性心不全だという。
青春時代、浅川マキの歌が好きだった。
「かもめ」や「夜が明けたら」をよく聴いた。
ライブにもよく行った。
長い髪で、黒いドレスを着て、いつも静かに、悲しみを吐き出すように歌っていた。
信州に赴任し、地域医療に奔走していたときは、浅川マキを聴くことはほとんどなかった。病院を退職して、パート医になって心の余裕ができてから、またライブハウスに行くようになった。
3年前、30年ぶりに浅川マキを聴いた。
30年前と同じだった。
うめくように悲しみを歌う。
悲しみの向こうに、もしかしたら、何かがある。そんな未来を感じさせる浅川マキだった。
これからが楽しみだと思っていたのに、もう彼女の歌を聴くことはできない。
彼女の代表作の一つに「赤い橋」というのがある。
不思議な橋がこのまちにある
渡った人はかえらない
そんな歌詞だ。
浅川マキは赤い橋を渡ってしまった。もう戻ってこられない。
大好きなミュージシャンがまた一人、赤い橋を渡ってこのまちを出て行ってしまった。
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