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2010年3月

2010年3月31日 (水)

映画「やさしい嘘と贈り物」が大好評

映画「やさしい嘘と贈り物」の公開が始まった。
絶好調という。

Photo_2 ぼくも、映画を見て感動し、この映画を応援している。
「忘れることは悲しい」というフレーズではじまるキャッチコピーもつくった。
このキャッチコピーが新聞の広告やパンフレットに使われている。
最後のどんでん返しがなんともいえない。
泣けてくる。

この映画は、4月19日発売号の週刊ポストで紹介する予定。
先週、新宿のおでん屋さんお多幸の話を載せたら、「久しぶりに行ってきた」という人が何人かいた。
お多幸の社長から手紙をもらった。
「おほめの言葉がうれしい」という便箋7枚にわたる手紙だった。

週刊ポストの連載「ジタバタしない」は、食べることや映画をみること、温泉や感動にひたることを書こうと思っている。
政治や経済、女性のグラビアなどのギラギラした週刊誌のなかで、あったかな空間をつくろうと心がけている。
短編小説の名手、「最後の一葉」を書いたO・ヘンリーのようなエッセイが書けたらいいなと思う。
ぜひ、ご覧ください。

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いよいよ御柱

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4月2日から3日間、諏訪大社上社の御柱の曳行が行われる。
ぼくは『空気は読まない』(集英社)に、カナディアンファームのハセヤンの話を書いた。
阪神淡路大震災のときには、トラックに風呂釜を積んで、被災した人たちに震災風呂をふるまったり、新潟の震災のときには、諏訪中央病院と一緒に新潟に救援にかけつけた熱い男である。
そのカナディアンファームの一帯に今、8本の御柱が並んでいる。
御柱のめどでこのめどを作るために、木に楔状の穴を開ける木づくりが行われた。

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鎌田もこれとまったく一緒のかっこ、ももひき、はらがけ姿で、4月2日から御柱を引いたり、乗せてもらったりする。
その間に患者さんの家に顔を出して、寝たきりのお年寄りを元気づけたい。

諏訪中央病院の医局の若い医師約50人は、36年前からの地域の健康づくりをしたぼくの同志原ますよさんのお宅におじゃまし、祭りの料理を食べさせてもらったり、木落としを見せてもらう予定。
若い医師たちに、地域を好きになってもらうきっかけになればと思っている。
イラク人医師のリカア先生も4日の最終日にご案内しようと思う。

いちばん上の写真は、7年前の御柱祭ではじけているぼく。

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ニュースのコメンテーターに

日本テレビ系のニュースevery.にコメンテーターとして出演することになった。
放送時間は、月曜~木曜は16時53分から19時。金曜は17時から19時。
約2時間のニュース番組のなかには、鎌田のがんばらないコーナーがある。
このコーナーでは、ニュースをわかりやすく、テーマを決めて説明していく。
殺伐としたニュースが多いときには、あったかくなるような生き方をしている人を紹介しようと思っている。
都合がつくときには週1回、木曜日を中心に出演する。
第一回は、明日1日。
その次は9日(金)と15日(木)の出演が決まっている。

ジャニーズ事務所のNEWSのメンバーの小山慶一郎くんとでこぼこコンビで新鮮なニュースをわかりやすく伝えたられたらいいと思っている。
ぜひ、ご覧ください。

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ため池百選

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茅野市にある御射鹿池(みしゃかいけ)が農水省のため池百選に選ばれた。
農業用のため池は、長い歴史をもち、全国に約21万あるとされる。
農業用水のためだけでなく、多様な役割をもっている。
農水省のため池百選には、全国608箇所が応募され、そのなかで御射鹿池が選ばれた。

本当に美しいため池である。
春もいい。
夏もいい。
冬、雪に覆われた池は本当にいい。
でも、ぼくがいちばん好きなのは、紅葉の御射鹿池。

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日本画の巨匠・東山魁夷の「緑響く」という名作は、ここで写生されたといわれている。
湖畔の林の中から白い馬が現れる絵があるが、それも、この池のイメージがあったといわれている。

その名は、諏訪大社の御頭祭(おんとうさい)にささげる鹿を射る神事からつけられたようだ。

写真は、昨年の秋、サトさんが撮影した紅葉の御射鹿池

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2010年3月30日 (火)

合格率100%

看護師国家試験の結果が発表された。
諏訪中央病院看護専門学校の今年の卒業生43人は、全員合格。

ぼくは昨年、看護専門学校の校長を退職した。

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この卒業生たちは1年のときから3年間、みっちりおつきあいしてきたので、感慨もひとしおだ。
全国模試でも、クラス平均で全国一位の成績をとった学生たち。
実習でも、諏訪中央病院で厳しく鍛えられ、実践にも強い。
鎌田の看護哲学の授業を受けているので、熱いハートももっている。

諏訪中央病院看護専門学校は、トップ水準の合格率を誇っている。
学校長が、小児科医の副院長になり、さらにアクティビティがあがっているように思う。

学校長は辞めたが、4月から1年生の保健医療論と、3年生の看護哲学の授業は続ける。
4、5月はとても忙しい。

写真は昨日の、岩次郎小屋の雪景色

追記、カマタの本が紹介されています

今日の産経新聞・オピニオンのコーナーで『空気を読まない』が紹介されている。
昨日の東京中日新聞の一面でも取り上げられた。
「新潮45」4月号では、作家の柳田邦男さんが、ぼくの『言葉で治療する』を紹介しながら、書と言葉の違いについて書いている。
柳田邦男さんには、チェルノブイリやイラクの子どもの医療活動にもご支援いただき、足を向けて眠れない。
感謝、感謝、感謝です。

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春の大雪にびっくり

3月ももうすぐ終わるというのに、雪が降った。
地元の人たちは上雪(かみゆき)と言う。
上雪が降ると、本当の春がやってくる。
いよいよ今週は御柱がはじまる。
残雪の八ヶ岳を背景に、八ヶ岳から諏訪大社へと御柱がひかれてくる姿はとてもすがすがしい。
これから、御柱祭のことを紹介していくので、お楽しみに。

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北部イラクの今 2010 第2回

2010年2月17日、イラク北部の町アルビルにて第9回JIM-NET会議が開かれた。 イラク全土から12名の小児がんに携わる医師、バスラの院内学級のイブラヒム先生、信州大学から2名の小児科医が参加した。 JIM-NET代表、鎌田の冒頭のあいさつ。

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2010年3月29日 (月)

おいしいそばと鎌田塾

今年も諏訪中央病院に、新卒の前期研修医や後期研修医たちが大勢やってくる。
現在、前期研修中の人が10人。
後期研修中の研修医が19人。それにさらに10人が加わるという。
総合診療という領域で、指導医たちが質の高い指導を行っている。
その評判を聞きつけて、全国からたくさんの研修医がやってくる。

指導医たちが構成している研修委員会から、今年も鎌田塾を開くように依頼がきた。
4月7日、仕事が終わった夜に開くことが決まった。

36年前、歩け歩け運動を行った90歳前後のおばあちゃんたちが何人か来てくれるという。
当時の保健師にも登場してもらう。

1003171image510どうやって地域で健康づくり運動をしたのか、保健師の立場と、住民であるおばあちゃんたちの立場から、話を聞くことができると思う。
歩け歩け運動は、今も続いているという。
本当の「行動変容」を起こしてしまうと、人間は長く続けることができる。
どうやったら「行動変容」を起こせるのか、おばあちゃんたちから聞くつもりである。

そのおばあちゃんの仲間に、ミチ子さんという人がいる。
『がんばらない』のなかの、」のなかの、「医学会総会へ田舎のかあちゃん殴りこみ」というエッセイに書かせてもらった人だ。
ミチ子さんは、息子さんを43歳で亡くした。
がんだった。
東京の大きな病院で受けた医療は、あたたかい医療とはいえなかった。
3年たってもミチ子さんの心は癒えていなかった。
4年に1回の医学会総会が東京の国際フォーラムで開かれ、全国から医師たちが集まった。
ぼくとミチ子さんは、その総会で発表した。
ミチ子さんの発表の最後は、こんな言葉だった。
「医学の手の届かぬ病でも、本人、家族は死の恐怖と痛みと苦しみとたたかっています。そのなか、たとえ積極的な治療を選択しなかったとしても、心のサポートを必要としています。患者の苦しみや家族の不安を理解してくれるお医者さんが一人でも増えることを切に切に願っています。息子の悲しい死を無駄にさせたくない思いで発表させていただきました」

15年近く前の話である。1003172image511
今も日本の医療に横たわっている問題でもある。
ミチ子さんが鎌田塾に来てくれるならば、歩け歩け運動の話とともに、市民がどんな医療を望むのか、切なる思いを伝えてくれると思う。

会場は、わざと病院の外にする。
地域と病院がつながっていることを、若い医師たちに見せてあげたい。

毎回、鎌田塾にはおいしいものがついてくる。
今回は、『がんばらない』のたぬきのおばあちゃんの息子さんのそば。
息子さんはそば打ち名人。
彼が丹精こめて育て、そば粉にした「小林一茶のそば」は、全国から注文が入り、すぐに売り切れてしまうという。
そのそばを食べながら、36年前、鎌田が地域とどんなかかわりをもち、どんな医療を展開してきたのか、大切に伝えようと思っている。

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2010年3月28日 (日)

つながる命

今年の冬も、諏訪湖に御神渡(おみわたり)がなかった。
ぼくの『がんばらない』のなかに、御神渡というエッセイがある。
92歳で大腸がんの手術をして、100歳まで野良仕事を手伝っていたミチさんの話だ。
100歳で脳卒中になり、ぼくが往診するようになった。
はじめて往診に行ったとき、「はじめまして」と言うと、ミチさんははじめてではないよと言った。
ミチさんの夫うしおさんを36年前、ぼくは看取っていた。
ミチさんは、村の人に昼花火をあげてもらい、100歳の長寿を祝ってもらった。

その娘さんがかれこれ80歳。
ぼくの外来にやってきた。
地域医療のおもしろいところ、すごいところは、ずっと続いている命にかかわらせてもらうことだ。
ダイナミックな仕事だと思う。

このエッセイのなかに、プエプロ・インディアンの老人の詩を引用した。
「今日はとても死ぬのにちょうどよい日だ。
あらゆる生あるものが
私と共に仲よくしている」

こうやって人間は、最後まで自分の命を生き、次の世代の人たちに命を渡していく。
生きるということはこういうことだと思った。

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2010年3月27日 (土)

鎌田實の一日一冊(55)

『FOR BEGINNERS 世界を変える非暴力』(阿木幸男著、現代書館、1470円)

JCFの理事の阿木幸男さんの本である。
「暴力連鎖は人類の破滅だ。今こそ非暴力を!!」という副題がついている。

阿木さんは、ガンジーやキング牧師の訴えた「非暴力」に共鳴し、アメリカで長く、非暴力トレーニングを積み、日本では非暴力トレーナーとして各地でワークショップを展開してきた。
現在も非暴力平和隊の国際理事をしている。

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9.11同時多発テロ被害者家族がブッシュ大統領に宛てた手紙が紹介されている。
「私たちの息子の身において、戦争することはやめてください」
この手紙を読むと、本の副題にもなっている「暴力連鎖は人類の破滅だ。今こそ非暴力を!!」という、阿木さんが常々言っている言葉の意味がよくわかる。

非暴力ということはどういうことか、具体的に書いてある。
非暴力とは――。
物質的な豊かさより、生活の質を求めるシンプルライフである。
自然と調和した生き方である。
物欲にとらわれず、他者と競争せず、自分自身の能力と力量に合わせ、他人を犠牲にしないことである。
権威主義的にならず、相手の人格を尊重することである。
英雄やリーダーを求めず、一人ひとりが自立し、自分の生き方に責任をもち、より豊かな生き方をしていこうという姿勢をもつことである。
明るさやユーモアがあることである。
相手の話をじっくり聞き、自分の主張を忍耐強く伝えていくことである。
悪や社会不正に対しては沈黙しないことである。しかし、あくまでも武器や力の行使を避けることである。
これが非暴力のライフスタイル。

ガンジーやキング牧師のドキュメンタリーのDVDがついているので、ガンジーやキング牧師のことを知らない若い人たちにとっても、世界を変える非暴力の真髄がビジュアル的にわかりやすい。

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2010年3月26日 (金)

今年もグアムへ

障害があっても、病気があっても負けないで、毎年、楽しい旅をしている。
今年も、5月16~20日、グアムへ行くことになった。
鎌田と行くバリアフリーツアー「ドリームフェスティバルinグアム」である。

昨年夏、100人近い人が集まって、グアムへ行った。

21障害のある人や介護を受けている人たちも、海に入って楽しんだ。
一度は、旅をあきらめていた人も、「行ってよかった」「生きる力がわいてきた」と大喜び。

昨年秋の「鎌田實と温泉に行こう」という旅では、150人が参加した。
日本テレビの「遠くへ行きたい」という番組でも取り上げられている。

障害があっても、病気があっても、旅を楽しみたいという気持ちになるのは当たり前。
非日常の土地へ行って、空気を吸うと、不思議に元気がわいてくる。

ツアーには、看護や介護のプロ、ボランティアの旅サポーターが同行する。
鎌田の講演会もある。

障害や病気があってもだいじょうぶ。
カマタと一緒に、グアムに行きませんか?

詳しくは、こちらをご覧ください。

写真は、昨年のグアム旅行のときのもの

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2010年3月25日 (木)

本日、講演会とサイン会

今日の夜は、新宿・紀伊国屋ホールで講演会とサイン会がある。
女優の小山明子さんも聞きに来てくれるということだ。

いま、NHKテレビの収録が行われている。
「こころの遺伝子」という西田敏行さんが司会を務める番組で、5月31日(24日に決定)放送予定という。
紀伊国屋ホールにも、取材に来るようだ。

今、春休み中の医学生が毎週のように研修に来て、病院は医学生たちであふれている。
医学生たちには、緩和ケア病棟の回診の様子などをみてもらったりしている。
看護師の病院の見学会もあり、遠くからやってくる看護師さんにレクチャーする予定だ。
27日に開かれる、老人保健施設やすらぎの丘の家族会では、介護に疲れている家族に、ちょっと役に立つ情報やほっとする話をするつもりだ。
同日の夕方は、JCFの来年度の事業計画の検討会も控えている。

ものすごい忙しい週になってきた。
いよいよ4月2~4日の御柱祭も近づいてきている。
てんてこ舞いの状況が続いている。

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春の蓼科

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お彼岸に墓参りをしてきた。

子どもや孫が来てくれたので、お墓参りの後、蓼科のナマステでほうれん草のカレーを久しぶりに食べた。

ここのタンドリーチキンは絶品。

インド人のマスターが、特別な豆があると言って、2種類の豆のカレーをつくってくれた。1003221image519

両方ともおいしかった。

蓼科は急に春めいてきた。
小川も輝いている。
鹿山の湯の温泉に入って、帰ってきた。

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2010年3月24日 (水)

日本の医療をどう改善するか

宇沢弘文さんから頼まれて、日本の医療について原稿を書いた。
鎌田としては珍しい、論文調である。
『社会的共通資本としての医療』(宇沢弘文、鴨下重彦編、東京大学出版会)に収録されている。

タイトルは「住民とともにつくる医療」。

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1、後期高齢者医療制度は問題が多い
2、当事者の高齢者だけでなくサラリーマンも大変
3、国民皆保険制度の崩壊がはじまった
4、「包括払い制度」が救世主になる可能性
5、「出来高払い制」が本当にいいのか
6、終末期相談支援はやり方が稚拙だっただけ
7、国民皆保険制度を守りたい
8、地域で健康づくりをはじめた
9、地域の住民を支える包括的な医療をめざしてきた
10、かかりつけ主治医制度を実際にやってみた
11、「よくばり村の村長」はそんなに多くはない
12、国民負担を上げすに医療費を増やすべきだ
13、日本の医療がよくなれば、日本の経済もよくなる

日本の医療の問題点を指摘しながら、鎌田流の改善策を考えてみた。
経済に興味のある方、医療関係者、ぜひ、買って読んでください。

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2010年3月23日 (火)

ノーマン・カズンズのガウン

笹森恵子さんが久しぶりにアメリカから帰郷した。

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笹森さんは、広島で被爆し、親日家のアメリカ人で、世界的に有名なジャーナリスト、ノーマン・カズンズの養女になった。

ノーマン・カズンズは、自然保護や反戦運動などをしているジャーナリスト。
アメリカが原爆を落としたことを、アメリカ人でありながら「してはいけないことをした」と批判。笹森さんら25人の原爆乙女をアメリカに呼んで、治療した人道主義者である。

ぼくと笹森恵子さんとは、気が合う。
チェルノブイリを10日間ほど旅をしたことがある。
彼女は、ぼくのことを「日本のノーマン・カズンズ」と言ってくれた。
ぼくは、照れ笑い。

ノーマン・カズンズは、26の大学で名誉博士号などをもらっている。
哲学の分野の名誉博士号をもらったときのアカデミックドレスをいただいた。
ノーマン・カズンズの著書『Present Tense』という本もいただいた。
ありがたいことだと思う。

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2010年3月22日 (月)

夕張を訪ねたときのこと

『いいかげんがいい』(集英社)のなかで、夕張の村上智彦先生のことを書いた。

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夕張で必死に地域医療を展開している村上先生が、厳しい状況のなかで今も上質な地域医療を展開している。
苦しい状況は相変わらず続いていると、先日、北海道を訪ねたとき、ある医師が言っていた。

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村上先生には、夕張の病院や遊園地、炭鉱博物館を案内してもらった。

写真は、村上先生が北海道の瀬棚で地域医療を展開していたときの同僚、吉岡先生と3人で。

Dsc_0087ぼくにヘルメットをかぶせて、「先生、いやにヘルメットが似合いますね」と言われたのを今も覚えている。

北海道の地域医療はとても厳しい。
かつてぼくが院長をしていたころ、道東の厚岸の病院に、諏訪中央病院の医師を派遣して応援していたことがあった。
ぼくも1週間ほど応援にかけつけたこともある。
北海道では医師の絶対数が少なすぎる。
情熱をもっているドクターたちが疲れてしまう。
あったかなドクターたちが全国にたくさんいて、苦境の病院や診療所に応援にいくが長くは続かない。
根本的な解決が必要に思う。

高倉健さん主演の「幸せの黄色いハンカチ」の舞台となった炭鉱の町の住宅も訪ねた。
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北海道に幸せの黄色いハンカチがはためくのはいつになるのだろうか。

夕張の町が復興し、村上先生の地域医療が支えるといういい関係が早くできるといいと思う。

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2010年3月21日 (日)

北部イラクの今 2010 第1回

2010年2月、鎌田(JIM-NET代表)は信大の小児科医らとともに再びイラクを訪れた。 アルビルの小児白血病センターやイラク最北端の街並みなど、北部イラクの"今"を、カマタが見たままにお伝えします。

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春スキーとそば

三連休の初日は、半日時間があいたので、蓼科へスキーに行った。
雪はべたべたで、心が躍りだすほどのことはなかったが、春の蓼科山がきれいで、すっかり景色に魅了された。

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このスキーウエアは、思い出がある。
スイスのツェルマットからイタリアへ滑り降りたとき、イタリアの町で買ったもの。
そのときの10年ほど着たウエアを廃棄して、新しいウエアを着て、スイスに戻った。
帽子もそのとき、イタリアでそろえたもの。
日本ではだれも着ていないので、ちょっと気に入っている。

1時間ほど滑って、白樺湖畔にあるすずらんの湯という温泉に入った。

午前11時ちょっと前、2年ぶりに蓼科のみつ蔵というおそばやさんに行った。
いつも行列ができている。
ぼくは並ぶのがいやなので、ずっと足が遠のいていた。

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そばつゆを使ったふわふわの卵焼きが評判である。
写真は、かわりそばで、今のシーズンは桜の花が入っている。
そば自体もそばがらをすべてとった香りの高いもので、桜の香りとのマッチングがいい。
しこしことした舌触りも抜群。
さすがである。

◎まだ間に合います!

25日、新宿・紀伊国屋ホールで講演会&サイン会を行います。
まだ若干、空席があります。
『空気は読まない』(集英社)の発売を記念して、日本に漂う空気や不況をつくる空気、そして、空気に負けない生き方について語ります。
ぜひ、ご来場ください。

詳しくはこちらをご覧ください。http://www.kinokuniya.co.jp/01f/event/shinjukuseminar.htm

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2010年3月20日 (土)

1968

夜明けに、亡き父親とコーヒーを分け合って飲んだ。
今日は加藤登紀子さんの「1968」というCDアルバムを聴いている。

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2月に出した『空気は読まない』(集英社)は、1968年と関係が深い。
1968年、「プラハの春」による民主化運動は失敗し、たくさんの若者が傷ついた。
自由のない国の若者たちは、胸のレントゲンを使って、ソノシートのようにした「骸骨レコード」で、ビートルズを聴いていたという。
当時、禁書とされたソルジェニーツィンの『収容所群島』をフイルムに収めて、チョコレートの缶の中に隠し、読み続けた。
そんな時代。
そして、20年後の1988年、チェコの音楽家ヴラダン・コチは徴兵を拒否して、政府につかまり牢獄に入った。1年後チェコの民主化が成功し、コチは自由を得ることができた。
そんな1968にかかわる物語が、『空気は読まない』に登場する。

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加藤登紀子は、1968は「私の人生のスタート」と書いている。
「1968 世界の若者が同じ呼吸をした奇跡の年
1968 テレビ冷蔵庫、電気洗濯機が日本中に行き渡りはじめた
1968 たくさんの人々が農村を出た
1968 若者が自分の言葉を持ち始めた
1968 2009年の現実を予感していた
1968 どんなときもかっこよく自分を生きろと今も言い続けている」

このアルバムのなかに「美しい昔」という歌がある。
ベトナム戦争のときに歌われたチン・コン・ソンの名曲を、加藤登紀子さんが切々と歌っている。
できたら、たくさんの人に聴いてもらいたい。

写真は、「鎌田實 いのちの対話」で、ぼくの朗読の伴奏をしてくれた加藤登紀子さん

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2010年3月19日 (金)

春スキー

蓼科高原21スキー場で春スキーを楽しんできた。

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数日前に大雪があったため、春とは思えないコンディションで気持ちよく滑ることができた。
今年は、大雪が降ったかと思えば、雨が降ったり、ゲレンデのコンディションを整えるのが大変だったと思う。
ぼくも忙しく、なかなかスキーをする時間が見出せず、お正月休みのときに滑ったが、その後は思ったほどスキーを楽しめなかった。
スキーシーズンもそろそろ終わり。

信州もいよいよ春。
御柱の木が伐採された。
4月2日から上社の里引きが始まる。
待ち遠しい。

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諏訪中央病院 施設の特徴と業務の概要6/7

諏訪中央病院の現在を映像にまとめたもの。

シリーズ第6回(全7回)
「救急医療・高度医療を担う」
・医療研修
・入院カンファレンス
・消化器病棟
・連続血管撮影装置
・MRI
・中央検査科
・歯科、口腔外科
・がん通院治療センター

シリーズ最終回(全7回)
「安全な医療と医療の質」
・医療安全管理部
・チーム医療
・諏訪中央病院看護専門学校
・看護学生病棟研修
・新医師臨床研修
・教育回診
「"Length of life"から"Quality of life"へ
 Keywordは"患者さんの自己決定"」
・災害医療協力
・国際医療協力

制作:トーヨーベンディング株式会社

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2010年3月18日 (木)

鳩山幸さんと介護について語る

プロトムック「介護のことがよくわかる本 2010春夏号」で、鳩山首相夫人・鳩山幸さんとぼくが表紙を飾っている。Img_0684
介護の情報が2000近く、掲載されている。

鳩山幸さんは、ぼくとの対談のなかで、お母さんの介護について語っている。

写真は、女優の山村美智さん(=右)と3人で撮影。
鳩山幸さんが手にしているのは、イラクの病気の子どもたちの救援のために立ち上げた、がんばらないレーベルのCD「ひまわり」と「ふるさと」。
趣旨に賛同いただき、自ら買っていただいた。

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『よくばらない』発売

『よくばらない』(PHP研究所)が発売された。
心が自由になる生き方メッセージ集。
ちょっぴりつらくなったとき、ぜひ読んでもらいたい。

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何度も読むうちに、ちょっと泣けてきたり、笑えたり、勇気をもらえたり、そんな本になればと思って書いた。

『へこたれない』(PHP研究所)に続き、前田真三さんの美しい写真とともに、叙事詩のような形でメッセージを送る、カタマの新しいスタイルの本。
ぜひ、お読みください。

先日、お知らせした25日の、新宿・紀伊国屋ホールでの講演会&サイン会のチケットについて、多数お問い合わせをいただいている。
ブログをみてくださった方々が、多数申し込みをいただいたようで、感謝です!
まだ、若干の空席があるので、お早めにお問い合わせください。

講演会では、「空気は読まない」というタイトルで話をする。
欲望を暴走させて経済が壊れた時代に、『いいかげんがいい』という本を出版した。
版を重ね、11万部を突破した。
KYという言葉がはやっている時代に、『空気は読まない』という、へんてこなメッセージの本を出した。
25人の主人公を通して、日本に漂っている空気について考えている。
経済を動かしているのも空気だし、人間の心や行動を動かしているのも空気。
そんな鎌田流の視点で、丸ごと一冊、空気について書いている。
講演の後にはサイン会もあるので、ぜひ、聞きにきてください。

『雪とパイナップル』と『がんばらない』の単行本と文庫本(いずれも集英社)の増刷が決まった。
こちらも、読者の方々に感謝です。

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2010年3月17日 (水)

リクナビで紹介

リクナビNEXT「プロ論。」に、ぼくの新刊『空気は読まない』(集英社)が紹介されている。

景気回復のカギは、空気を読まないことにある。
人生は「波」。
資本主義はお金とあたたかさを「回転」させること。
そんな鎌田理論がわかりやすく展開されている。

ぜひ、ご覧ください→http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/proron/1014/proron_1014.html

25日、新宿・紀伊国屋ホールで、講演会・サイン会がある。
もう少しで満員。
お早めに、予約をお願いします。

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景気回復と財政の建て直し

政府と民間企業が協力し合うことはたいへん望ましいことである。
日本の商品が世界で売れるように、国も協力するほうがいい。
しかし、そのときに売る商品に関しては、5年前、10年前の古い発想ではなく、太陽光発電や風力発電、電気自動車など、このところ外国に追い抜かれそうなものに、政府が応援して、勢いを盛り返してもらいたい。
大きな発想で商売をしていくことが大事。
砂漠に太陽光パネルを並べるような事業を起こすとか、発想の転換をしていくような必要がある。

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昨年12月に全国422カ所で、介護就職デーを実施し、1万人が参加。
そのうち1183人が介護職に就いたという。
こういうことを丹念に行っていくことが大事だと思う。
医療や介護を見直しながら、雇用を増大させていく流れをつくっていくことが大事である。

財政問題の建て直しは、急を要する。
総債務はGDP比170%。ふつうは40~60%くらいである。
ただ、日本の場合は資産がGDP比82%くらいあるので、純債務は87%くらい。
それでも、87%というのはイタリア、ギリシャ、アイルランド、スペイン、ポルトガルなどと一緒である。

租税と社会保険料の国際比較をGDP比でみていくと、日本は27.9%、アメリカは28%、フランスは44%、スウェーデンは49%、カナダ33%、イギリスは37%。
税金や社会保険料は、日本は安い。
こういうと、企業からお金を取ればいいとよく言われるが、法人税は約40%で諸外国と比べると高い。軍事費は1%で、すでにこれ以上抑えられないほどだ。

公共投資はかつて6%だったが、今は3%。不景気を改善させることを考えると、これ以上削るわけにはいかない。むしろ、大きな流れでは、削るべきだが、ここ数年は景気のことを考えて増やしてもいいくらいである。

個人所得税と法人所得税の割合は、日本では5.1%対4.7%。
アメリカは、10.2%対3.3%
イギリスは、10.8%対4%。
日本では、もう少し個人所得税を上げなければいけない。
同時に消費税を上げることによって、国の財政改革をしないと、国が破産に近づくと、現在のギリシャのように大変なことがおこってくる。
そうなる前に、手を打つことである。
2年後、3年後に消費税を上げると決めれば、それまでにいろんなものを買おうという動きが出る。
個人所得税は累進課税をもう少し強めて、個人所得税をもう少し上げていいのではないか。
そして、その範囲のなかで、新しい民主党が望んでいるような国民が安心できる国づくりのデザインを考えたほうがいいと思う。

今のピンチは新政権のせいではないことはよくわかっている。

Img_1094 問題は、選挙のときに配ったマニフェストへのこだわりを早く捨て、政権を交代してはじめてわかった国の実情を並べて、頭を下げ、国民に協力を求めることが大事だと思う。

経済を立て直す予算案を作り終わったら、首相と幹事長の二枚看板を見直して、新しい内閣をつくるという手があると思う。
もう時間はそれほどない。

ちなみに、政治と金の問題のほうは、この1、2カ月のうちに、二度と誤解を受けないような厳しい制度にしたほうが、政治家のためにもなるのだと思う。
政治家であることを誇りに思えないようなザル法では、いつまでたっても国民は政治家を尊敬できない。
これは政治家にとっても、国民にとっても不幸なことである。

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2010年3月16日 (火)

オバマさんと鳩山さんの選択ミス

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オバマはピンチに立っている。
共和党と熾烈な戦いをしているエセックス州の補欠選挙で、民主党から共和党へ1議席譲ったため、議会で重要法案を可決するのに深刻な状況に陥っている。
最もダッチロールに追い込まれているのは、医療改革法案である。
もともとクリントン大統領時代に、妻のヒラリー・クリントンが必死に通そうとしたが、夫の支えがあったのにもかかわらず、医療改革は行えなかった。

医療改革法案は通すべきと思うが、この国ではむずかしい。
むずかしいテーマを、オバマはなぜ、一年目に議場に乗せたのか。
ここに大きなミスがあると思う。

それに金融規制。
どちらも大事であるが、どちらもタイミングが悪い。
ほんのちょっと景気がよくなると、アメリカでは、一部の金融会社がべらぼうな収入を得る。
それに対して、オバマの正義感が燃えたのだろうが、今のような不景気のときには、景気をよくするために、多少儲ける人がいてもかまわないと考えたほうがいい。
狭い正義感だけでは、大統領はできない。
オバマが最もやらなければならないことは、景気の回復と雇用の拡大、アフガニスタン戦線の縮小である。まずそれを1年目でやったうえで、信任を厚くし、医療改革を提案するべきであった。
そして、経済がしっかりしたことを確認したうえで、金融規制をすべきだった。
まるでタイミングが悪い。

一方、鳩山さんは、たとえば普天間基地移転問題に手を出すべきではなかった。
外交は、前政権が決めたのだから、変更すべきことはできないと、そのままの路線を守っていくのがいちばんだったような気がする。
どこに基地を移そうとしても、すべての人が納得するとは思えないテーマである。
新政権が、ここに手をつっこめばガタガタするのは決まっている。
そのへんの読みが甘い。

国民は、何から何までマニフェストどおりにやってほしいなんて、思っていないと思う。
景気をよくすること、雇用を拡大すること。
これを軸にしながら、官僚のあり方を見直してほしかったのである。
官僚の力を借りるなということではない。
官僚の数は、先進国の中では少ないほう。
むしろ、優秀な官僚の力を活用するべきだ。
問題は天下りである。ここだけしっかり楔を打つこと。
それ以外は有能な役人にやる気を起こさせ、政治主導でやっていくシステムができればいいだけの話である。
ぼくは厚生労働省の役人とつきあってきたが、みんな誠実で有能で情熱をもった人たちが多かったように思う。

写真は、雪の岩次郎小屋にやってきたドバト

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2010年3月15日 (月)

多忙な一日

先日、第4回高齢者医療改革会議のため、東京に出かけた。
東京に行くと、たいていいくつも仕事が入る。

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この日も、大忙し。
TBSラジオの「土曜朝イチエンタ。堀尾正明+プラス」の収録をした。
新刊『空気は読まない』(集英社)を取り上げてくれた。
堀尾さんとは、彼がNHKアナウンサーだったとき、「難問解決 ご近所の底力」という番組でご一緒したことがある。
フリーになり、元気もりもりという感じの堀尾さんだった。

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「中島啓江のトーンと、ようこそ!」にも出演。
中島さんは、かつて「鎌田實 いのちの対話」に出演してくれたことがある。
久しぶりに旧交を温めてきた。
番組では、イラクの子どもたちの薬代のために、CD「ひまわり」や「ふるさと」をかけてくれた。
どちらも、放送日が決まったら、ぼくのHPでお知らせします。

そのうえに、週刊現代の対談と、月刊WiLLの取材、ラジオのFM放送ベストセラーズチャンネルという収録があり、目の回る忙しさだった。

朝7時のあずさで東京に向かい、夜10時のあずさで戻ってくるという、強行軍の一日が終わった。

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2010年3月14日 (日)

若者を大事にしよう

長野県の2月末のデータでは、237人の高校卒業予定者の就職が決まっていない。
全国的にはもっと厳しい状況で、長野県はまだ恵まれているほうだと思う。
長野県では、約8億円の予算を投入して、就職できない新卒者を1年間、研修させてくれた企業に一人あたり330万円を委託費として払う。
その代わり企業は、1年後にその人を正規雇用をするという条件がついているという。

高校を卒業して、社会人としてのスタート地点が、フリーターというのは悲しい。

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若者に仕事を与えられないなんて、もう国の形をなしていないのではないか。
もう政権争いなんかしてないで、若者の雇用拡大に全力を尽くすべきではないか。

いくつもやらなければならないことがあることはわかる。
しかし、右も左も新政権も旧政権も、何はともあれ、若者の雇用拡大にいますぐに取り組むべき。

日本の知識人の何割かには、心のどこかに、成長戦略なんていらないという思いがあるように思う。
落ち着いた成熟社会を目指していくことが大事というのはよくわかる。
GDPを7%も伸ばすことは難しい。
しかし、1~2%伸ばしながら、若者の雇用を拡大し、仕事を通して若者に成長してもらう、そういう当たり前の、いい回転を日本はしなければいけないと思う。

豊かな国の日本だったはずが、この20年のリーダーたちの国づくりの失敗で、たいへんな国になったと思う。
怒りながら、日経新聞から5月に出す「ウエットな資本主義」の原稿を書いている。

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ドラマ「がんばらない2」再放送

ぼくの『がんばらない』と『あきらめない』を原作にし、西田敏行さんが主演をつとめるドラマ「がんばらない2」が、4月14日、CSTBSで再放送される。
放送時間は、21時~23時。
感動的なドラマです。
視聴できる方は、ぜひ、ご覧ください。

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2010年3月13日 (土)

英訳「雪とパイナップル」

イギリスに住んでいる女性からメールをいただいた。
『雪とパイナップル』(集英社)に感動したということである。
とてもうれしい。
鎌田のブログを見て、これを見てみたい、聴いてみたい、食べてみたい、とエネルギーをもらっているという。

この方からうれしい申し出があった。
『雪とパイナップル』を英訳したいという。
ご主人や子どもたちに読ませたいのだという。

スイスに講演に行ったときに、仲良くなった人が、ぼくが『なげださない』(集英社)に書いた笹森恵子さんに感動し、英訳してくれる友だちを紹介してくれた。
偶然だが、この3月、笹森さんが帰郷し、一緒にご飯を食べようと約束している。

外国から、ぼくのホームページやブログをみてくれる人が増えているのはうれしい。
今年の8月には『雪とパイナップル』の英訳をホームページに載せる予定。
ぜひ、お楽しみに。

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父とコーヒー

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各地での講演や東京でのラジオ出演などを終え、久しぶりに岩次郎小屋に帰ってきた。
夜明けに、5月に出す『ウエットな資本主義』の原稿をひとまとめした。
一段落したところで、コーヒーを飲む。
何となく、亡くなった父、岩次郎さんと一緒に飲みたくった。
岩次郎さんはコーヒーが好きだった。
「岩次郎さんのおかげです」と語りかけながら、仏前にお供えした。

3月といっても、信州は雪である。
まだ暗い外の雪景色を見ながら、音楽を聴いている。

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「Green Earth」
ユネスコ平和音楽家の城之内ミサさんにもらったCDである。

以前、城之内ミサさんと、フランスで時代小説を書いている好村兼一君、同級生の池田香代子さん、それにNHKの村上信夫さんと食事をした。
好村君はフランスで城之内さんと友だちになったという。
好村君は、村上さんのラジオビタミンに出演した。
なんとなくつながりがあり、楽しい時間をすごした。
そのときいただいたCDである。

いい音楽を聴きながら、徐々に夜が明けていく。

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2010年3月12日 (金)

鎌田實の一日一冊(54)

『行くのか武蔵』(好村兼一著、角川学芸出版)

新しい宮本武蔵ができた。
宮本武蔵にまつわるいくつかの事実と思しき書物を見たことと、大学を中退してフランスに渡り、剣道8段になった、まさに古武士のような存在そのものの好村兼一が、素振りを繰り返すなかで、武蔵と小次郎の戦いはおそらくこうだっただろうという、想像力を広げている。
なんともユニークで好村らしい剣豪小説。
380ページの厚い本であるが、最後の30ページくらいは、まさに手に汗を握る。
新しいスタイルの時代小説が誕生した。

門司港に近い船島で行われた対決がどんなものであったか。

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好村版武蔵がなんだか、いちばん真実の姿に思えてくる。

武蔵の生き方として、伏線がいくつも張られている。
武蔵に二刀流の極意を教え込む義父、宮本無二が、武蔵にこう言う。
「何時であっても、機先を制し、だまし、たぶらかすによって、勝利を得ることができるのだ」
しかし、武蔵の顔色が変わる。だまし、たぶらかすということに納得できない。
また、青年になった武蔵は、おのれを死の危険にさらしてみたいと、戦いを望む。
この二つに、その後の武蔵の生き方が見えてくる。

武蔵は機先を制しても、だましたり、たぶらかしたりしない。
小次郎との戦いも、勝負にこだわって、駆け引きをしたのではない。
そして最後に、小次郎を破った後、今まで尊敬してきた義父・無二に対して、
「あなたはまぎれもないならずものにしておしまいになった」と述べ、そして「敗者を思いやる心をお忘れでございます。敗者であられた父上が忘れるはずがござりますまいに」と言葉を残し、立ち去る。

武蔵がこの後、小次郎との戦いについてほとんど語っていないことに、好村は注目している。小次郎との戦いに勝ってはいたが、武蔵は心に傷をつけていたのではないか。
そして、武蔵は、道を究めるために、旅に出るのである。
行くのか、武蔵。

この本では、武蔵という人間が魅力的に生きている。
続きを読みたくなってしまう。
好村版の武蔵、なかなかのすぐれものです。

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週刊誌をご覧ください

週刊朝日のコーナーで、鎌田が映画「やさしい嘘と贈り物」を推薦している。
24歳の若き監督が、2人のベテランのオスカー俳優を使って、感動的な映画をつくった。

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歳をとること、忘れることなんて、全然怖くなくなるような、素敵な映画である=写真。
3月27日から東京のシネスイッチ銀座ほか全国順次公開される。

週刊文春では、介護のコツについて、特に、誤嚥性肺炎の予防のテクニックについて書いた。

週刊ポストの「じたばたしない」は快調。
ほろっとしたり、ほっとしたり、楽しくなったりするコーナーを目指している。

ぜひ、お読みください。

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2010年3月11日 (木)

さよなら上条食堂

上条食堂は、カマタが愛用してきた馬刺し屋さんである。1002288image497 夫婦できりもりし、驚くほどうまいものを出してくれる。
57年間、みんなに愛されてきたが、今年2月、とうとう幕を閉じた。
たびたび本にも書かせてもらった。
本を読んだ人が、東京や関西から予約を入れたという。

2月の最後の日、家族を連れて、最後の上条食堂を訪ねた。
まずは馬刺しを食べた。

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純粋な赤みである。
脂身が一切ない。
グリコーゲンが多く、脂肪分が少なく、うまみたっぷりで、4歳の孫ももりもり食べた。

そして、まるごと煮た鯉。

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骨まで食べられるほどやわらかい。
かつてフランス人を連れていったことがあったが、絶品だと感動していた。

いんげんのしょうが焼きと馬のステーキ。

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最後は馬のすき焼きである。

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〆は、のりがあふれるほどのお茶漬け。
ちょっとすっぱくなりはじめた野沢菜の古漬けとたくあん。

1002287image496 1002285image494

親父さんは86歳。
何度もやめようとしてきたが、お客さんたちからやめないでといわれて、なかなかふんぎりがつかなった。
胃の病気で手術をした。
大動脈の病気も、心臓の冠動脈の病気も起きたが、全部うまくクリアしてきた。
ぼくは、36年、この夫婦をみてきた。
永六輔さんが、何度も信州に講演に何度も来てくれたのは、ここの馬刺しを食べたいからだという。

本当に上条食堂がなくなってしまうのは、残念。
今まで、たくさんのおいしいものをありがとう。

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2010年3月10日 (水)

模試全国1位の看護学生たち

ぼくは諏訪中央病院看護専門学校で、1年生に保健医療論を30時間、3年生に看護哲学を30時間教えている。
今年の卒業生は43人。
先日、卒業式が行われた。

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彼らはとても優秀である。
国家試験目前の1月に行われた2つの全国模擬試験はそれぞれ600校ほど参加しているが、クラス全体で1位と3位になるという成績だった。
国立大学などの看護学生も受けているはずなので、4年生の大学にも負けていないということになる。
1回だけなら偶然かもしれないが、2回もいい成績を出したので、かなり力があると思う。
試験が優秀なだけでなく、厳しい実習を経ているので、実技はどこの看護学校にも負けない。
なおかつ鎌田の看護哲学を受講して、心のあたたかい看護師になってくれると思っている。
3月末に国家試験の発表がある。
今年も100%合格だとうれしい。

43人のうち18人が諏訪中央病院に就職してくれた。
この諏訪中央病院看護専門学校を巣立った学生たちが、全国であたたかい看護を実践してくれるのを期待している。

写真は、諏訪中央看護病院看護専門学校の謝恩会の様子

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美味、ママカリ

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倉敷の吉備という店で、ママカリを食べた。
酢でしめたママカリと、焼いたママカリ、両方とも絶品であった。
案内してくれた福山のドクター数野が「ここの刺身はとてもうまい、このへんの牡蠣も絶品です」とすすめてくれたが、その言葉どおり、うまかった。
感動したのが、シャコのから揚げ。
皮のついたままのシャコをバリバリと食べられる。
これにはびっくり。

ずいぶん先の話になるが、今年のクリスマスコンサート(坂田明さんのジャズ&鎌田のトーク)が12月22日、福山で開かれることになった。
ドクター数野たちが中心になって、企画してくれている。
今年のクリスマスの時期にはぜひ、どうぞ。

写真は、焼いたママカリ。とてもおいしかった。

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2010年3月 9日 (火)

この人に会いたい(19)足立信也さん

足立信也厚生労働大臣政務官と、毎日新聞で対談した。
後期高齢者医療制度を廃止した後の高齢者医療を考える、高齢者医療改革会議の後、政務官室をお訪ねした。

久しぶりにゆっくりと話ができた。
かつて足立政務官は、当時の党首の前原さんや10人ほどの国会議員をひきつれて、諏訪中央病院を視察されたことがある。
そのとき以来である。

彼は外科医である。Img_1038 2002年に当時の政権が医療費抑制に舵を切り、現場の空気が悪くなっていくのを実感したという。
このままでは医療崩壊が起こると思った。
以前から選挙に出ることをすすめられ躊躇していたが、このまま医療崩壊がおこれば、医師や看護師にとっても、国民にとっても大変なことになると思って、選挙に出たという。
なので、「自分の仕事は医療崩壊を救うこと」という。

今回の診療報酬の改定は、もう少し上げたかったが、0.19%が精一杯だった。
しかし、0.19%以上の効果が出るように工夫をしたという。
燃え尽きそうな医師や看護師たちが、もう一度元気がでるような医療のスタート地点には立てたのではないかと胸を張った。

彼は外科医であるが、外科医も6年ぶりに増加傾向に転じた。
産婦人科は10年ぶりに増加した。
燃え尽きそうになっているドクターたちがもう一度やる気を取り戻すのを後押ししたい、それが国民のためになる、と彼は熱く語った。

「国がどの方向に行くのか、メッセージが伝わりにくく、残念だ」と、ぼくは言った。
「自分は政務官なので、なかなかアドバルーンを揚げるわけにはいかず、忸怩たる思い」と言ったので、「じゃあ、ぼくがときどきこうやって話を聞いて、国民にわかりやすく話しますか」と冗談を言った。
少し、これから日本の医療がいい方向に進むと思った。

◇中医協の診療報酬の改定が発表された◇

政権が変わるということは、こういうことかと思った。
もちろん、多くの医師にとっては、今回の改定は不本意だ。
まず、0.19%のアップというのは、疲れきっている医師たちの期待を裏切った。
マニフェストではもっと大きなアップを表明していたはず。
しかし、すべてがマニフェスト通りにしなくてもいい、とぼくは思っている。
子どもっぽい民主党が、国にお金がなくて、それほどアップできないことに気がつき、大人の判断をしたと思う。

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それでも10年ぶりのアップである。
全体としては微々たるアップであるが、中身をみると、強弱がつけられている。
医師の技術料などは1.55%の引き上げをして、ほかで倹約しているのである。
医科の診療報酬は4800億円の増加が実現した。
そのうちの4000億円が救急や産科、小児科などの厳しい条件で働いている医師たちに配分するという。
外科の、難しい手術の手技は、3~5割が引き上げられた。
外科医もなり手が少なくなりはじめていた矢先なので、この大胆な手当ては効果を発揮するだろうと思う。

病院の外来の再診料を、診療所と統一することで、病院はちょっと一息ついた。
開業医に対しては、今回の改定でも、厳しい状態である。
茅野市で地域医療やっていると、24時間体制で治療している開業医が多い。その医師たちの、高齢者医療費を低く抑えようとする誠実な姿を見てきたので、今回も、つらいだろうと思うが、国にお金がない以上は、仕方ない診療報酬の改定だったと思う。

病院の救急や産科、小児科、外科を中心に大胆に手を打った今回の改定は、すずめの涙のような増加で、大きな効果を生むようにした、見事な采配だったと思う。

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守りたい美しい景観

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宮崎駿のポニョの舞台になった鞆の浦に行ってきた。
宮崎駿さんの別荘があるという。
坂本竜馬も、いろは丸事件の後、ここに何日か宿泊したという。

古い港町の灯台や、大常夜灯、番屋の雁木が今も残されている。
船着場には、いくつも古い蔵がある。
町並みが美しい。
小さな路地はくねくねうねっていて、どこか、プラハの路地を思わせるところがあった。

美しい町を抜けると、寺町があった。
その突先の、車では入れないところに、セラーノという喫茶店がある。
このセラーノが気に入った。
たたずまいがいい。
コーヒーもケーキもおいしい。
鞆の浦がもっともよく見える丘に立っている。

この鞆の浦の景観や自然を破壊して、新しい道路や橋をつくろうという計画があるようだが、なんとも不粋である。
こんなすばらしいものは残さないといけない。

写真は、セラーノから見た美しい景観

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2010年3月 8日 (月)

高校無償化の問題を考える

高校の授業料無償化法案の審議がヒステリックになっている。
特に、朝鮮学校を対象にするかということに対して、ヒステリックになりすぎないようにしないといけない。

読売新聞の3月5日の社説はとてもいい社説だった思う。

「格差解消の本質を見失うな」というタイトルがついている。
「北朝鮮による核開発、ミサイル発射、拉致問題への国民の反発があるにせよ、今回の問題で朝鮮学校を他の外国人学校とことさら区別するのは、無理があろう」
と書かれている。

詳しくは、こちら→http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100304-OYT1T01277.htm?from=any

新聞は、右とか左とか、ある程度、方向性を示すことで、購読者を確保してきた。
大新聞では、ニュートラルな立場をとりながら、やはりチョイ右、チョイ左の発言をチョイチョイあらわしてきた。
そのチョイ右の新聞が、そんな立場を超えて大人の発言をした、いい社説だと思う。

大切なことは、高校無償化がなんのために行われるか冷静に考えることである。I1003032mage499
それは当然、子どもたちの未来を守り、日本の未来に夢をもつことにつながる。
同時に、日本は国際社会の一員として生きていかなければならない。
いろんな境遇のなかで生きざるを得ない若者たちが、高校のとき、日本から受けた扱いは、20年後、30年後に影響を及ぼす。
そのことを冷静に考えたほうがいい。
右か、左か、なんていう主張は子どもじみている。
政治家もマスコミも、そんなお遊びの主張ではなく、本質を見極める大人の対応が必要になる。

もちろん、右でも左でも、主義主張をもつのは自由。
でも、チョイ右の人がチョイ左の人の主張を理解できる、チョイ左の人がチョイ右の人に共感する、ということが大切だ。
政治が混迷するなかで、本当の意味でのニュートラルな大人の対応が求められる。

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2010年3月 7日 (日)

メタボ健診の腹囲に根拠なし

厚生労働省研究班が、心筋梗塞や脳梗塞の発症の危険性を明確に判断できないとする結果をまとめた。
現在の腹囲基準、男性85センチ、女性90センチ以上に科学的根拠はない。
そのとおりなのである。
それはこのブログでも前から言ってきた。

内臓脂肪から血圧を上げる物質や血糖値を上げる物質、高脂血症を起こす物質が出ていることは科学的にはっきりしているので、腹囲がまったく意味がないわけではないが、腹囲だけを問題にしても、解決するとは考えにくい。
まず、腹囲の基準が必須条項で、その上に脂質異常や高血圧、血糖値が高いことのうちの2つ以上を満たすと、メタボリックシンドロームという診断基準が作られた。
この診断基準がおかしい。
腹囲も、脂質異常や高血圧、血糖値が高いことと同じ程度のリスクと考えるべきで、腹囲だけを第一の必須条項として、腹囲が減った、増えたと一喜一憂するような注目の仕方はおかしい。

メタボリックシンドロームという考え方はいいが、メタボ健診の診断基準とその進め方に、国が振舞わされたと思う。
健康づくりは、本人にどう「行動変容」を起こすかということが大事で、現在のメタボ健診では「行動変容」を起こりにくくしている。
たとえば、健診率が重要視されて、健診率が低いとペナルティーが科せらるというのは、健診してしまえばいいという発想につながる。
今年度の速報をみると受診率は、目標35%に対して、実際は30%。
健診指導率も、目標25%に対して15%しか達していない。

全国的にみれば、数字上、メタボ健診は敗退している。
なおかつ、「行動変容」を起こさない健康指導になっている。
一人ひとりが健康のため生活の仕方を変えなければならないのに、数字にこだわり、その数字の目標も達成していない。

目標設定が疑問である。
女性の腹囲が90センチ以上とゆるく、世界の基準からずれている。
同時に、メタボの定義と診断基準とつくった構成メンバーの医師11人全員に、2002年から04年の3年間に、メーカーから多額の研究補助費が贈られた。そういう人たちが診断基準をきているのである。
ある意思が働いているとかんぐられて仕方ない。
診断基準をどう設定するかによって、薬の使われ方は圧倒的に変わる。
健康づくりのための「行動変容」よりも、薬が使われるような流れができているのではないか。
さらに、現在の診断基準では、腹囲がそれほど大きくない人では、糖尿病の予備軍や高血圧症のボーダーラインであっても、以前のように「行動変容」を起こさせるような、生活指導がなされなくなっている。

メタボ健診が行われるようになってから、がん検診の受診率も一気に低下している。
このメタボ健診の導入は、日本の健康づくりは大きな被害を起こしたと思われる。

厚生労働省の研究班が3万2000人に行った調査が、こういう結果になるということは、何ヶ月も前からうわさとして聞いていた。
女性の腹囲基準が90センチから80センチに変わることになるが、逆に、この考え方全体の信頼性が失われて、そんなものだったのかと思われると、ますます国民の行動変容は起こりづらくなっていく。
制度設計に、科学的根拠があるかどうか、信頼性は大事である。

政権も交代したので、メタボ健診が意味があるかどうか再検討する委員会をつくったほうがいいと思う。
その検証委員会の委員には、もちろん製薬会社からお金をもらわない人を選ばなければならない。
メタボ健診に巨大なお金を投入する自治体の労力や、企業の健康管理をしている労力は大変なものである。
糖尿病や高脂血症、高血圧などの人たち一人ひとりに、行動変容が起こるような、本来の健診のあり方を問い直してもらいたい。

前政権がどさくさまぎれにやった後期高齢者医療制度とこのメタボ健診は、厚生行政のなかでは大きな誤りだったと思う。
足の引っ張り合いやうらみではなく、本当に必要なことのために、軌道修正していく必要がある。

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テレビ寺子屋に出演

「テレビ寺子屋」という番組の公開録画を行った。
1回目のテーマは「いいかげんがいい」、2回目は「あったかさが大事」というテーマでお話しした。

放送はキー局のフジテレビでは3月21日と4月4日の朝4時半から5時まで。
地域によって放送日や放送時間が異なり、すでに1回目の放送が終わっているところもあるが、詳しくはこちらをご覧ください

ぜひ、番組をご覧ください。

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2010年3月 6日 (土)

新刊発売記念の講演とサイン会のお知らせ

新刊『空気は読まない』(集英社)の発売を記念して、新宿東口の紀伊国屋ホールで、鎌田實の講演会とサイン会がある。

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この本は、大好評『いいかげんがいい』と同じシリーズの、超お得なソフトカバー。
285ページで999円。

この10年、自分なりに時代を読んできた。
がんばりすぎる日本人に『がんばらない』という本を書き、安倍さんや福田さんという、この国のリーダーが自分の責務を投げ出してしまう現状に対して『なげださない』を書いた。やせ神話やメタボ幻想に世の中が向かっているときには『ちょい太でだいじょうぶ』という本を出した。

そして、この『空気は読まない』は、「KY」という言葉があったように、空気に流されやすい日本の現状に一石を投じようと書いた。
空気を読めることはいいが、その空気にのまれない、凛とした生き方がカッコいいと思ったからだ。
ちょっと気合が入った本である。

講演会&サイン会は、3月25日、午後7時から。
詳しくは、紀伊国屋ホールのホームページをご覧ください。

ぜひ、ご来場ください。

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2010年3月 5日 (金)

明日はラジオ出演

今日は、諏訪中央病院看護専門学校の卒業式だった。
ぼくは、名古屋の日本福祉大学で講演があったので、名古屋から諏訪に戻って、夜、謝恩会に出席した。1003052image500

写真は、卒業生たちと→

明日は、TBSラジオ土曜ワイド「永六輔その新世界」に出演するため、最終のあずさで東京に向かう。

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←あちこち飛び回り、疲れた足を駅の足湯でいやした。

明日、午前9時~9時半ごろまで、ぜひラジオをお聞きください。

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御柱祭の料理

御柱祭のときには、多くの客でごったがえす。
御柱街道沿いの家は、たくさんの料理を用意して、客を接待する。
そのときに必ずといっていいほど出るのが、寒天料理。
御柱祭のときには、寒天料理は欠かせない。

茅野市が若者が、御柱祭ではどんな寒天料理を振舞うか、高齢者にアンケート調査を行った。
1位は、点寄せ。おかずをよせたもので、見た目もきれいだ。
2位は、コーヒー寒天、3位は、牛乳寒天。
以下は、ようかん、豆腐寒天、サラダ寒天、胡桃入り寒天、フルーツ寒天と続く。

寒天料理はマスターしてしまえば、ぼくでもできる。
デザートだけでなく、おかずもつくれるのがいい。
お客を呼ぶときにも、テーブルが華やかになると思う。

御柱街道ではないお宅でも、ぜひ、やってみてはいかがでしょう。

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2010年3月 4日 (木)

尾道のせいろ寿司

尾道は平安時代から対明貿易や北前舟などの寄港地として栄えてきた。
林芙美子や志賀直哉がこの地で創作活動をしたという。
小津安二郎が「東京物語」のロケ地に使っている。

宮徳という800年の歴史のあるせいろ寿司を食べに行った。

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刻みこんだかんぴょうと、マテ貝が寿司飯に混ざっている。
マテ貝がうまい。
その上に、焼きアナゴとしいたけ、錦糸卵、小えびのそぼろをのせて蒸している。
代々800年受け継がれてきた味だという。

関西にはいろいろな寿司文化がある。
寿司といえば、江戸前の寿司がぼくは好きだが、こうした古い文化のにおいがする寿司もいい。
せいろ寿司、お見事。

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原村の秘密

2週に1度、ぼくは原村の診療所に手伝いにいく。
その原村の村長が、参議院の国民生活経済に関する調査会に参考人として出席するという。

原村では、子どもの医療費や高齢者の医療費を無料にしている。
健康診断にかんしても多くは無料で、ドック・健診では補助を出している。
それによって国保加入者の医療費が県平均を下回っている。

手厚い福祉、子育て支援施策がなぜ実現したのか、原村の秘密を語るという。

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2010年3月 3日 (水)

太陽の力を借りる

茅野市にある諏訪東京理科大学と地元の企業がピンク色のフイルムやネットを共同開発した。
これがただものではない。
太陽光を吸収し、光合成に適した波長域に変換して、農産物の収穫量を増やすのだという。
光合成を促進させる「光返還光合成促進農法」というらしい。
断熱作用にも優れているため、夏は太陽からの熱を遮断し、冬は温度を下がり過ぎないようにすることもできる。

おもしろい発想だと思う。
これを利用することで、年や土地によって起こる日照不足を解消できるかもしれない。

すでにぶどうや小松菜、セロリ、トマトなどで実験され、大きな効果を生むことがわかった。

ユニクロの保温効果のあるシャツが評価されて、爆発的なヒットしたのと同じように、農業でも太陽の光を上手に使う素材の開発というのは、おもしろいと思う。

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JCFのHP一新

日本チェルノブイリ連帯基金のホームページが新しくなった。
ブログも始まり、ぼくも理事長として、最低月1回、余裕があれば、週1回投稿したいと思う。
ぜひ、ご覧ください。

JCFでは4月、大きなイベントを予定している。
チェルノブイリ原発事故の放射能が今も色濃く残っている、ベラルーシ共和国のベトカで、地区病院の院長をしているナージャ先生をお招きして、24年たった今も、どんな被害が残っているのか講演会を開く。
講演会は、JCF京都が中心になり、ほかのNGOの人たちとともに、4月25日、京都で開催する予定。
鎌田も会場に駆けつけるつもりだ。
お近くの人は、ぜひご参加を!
また、松本と東京でも、ナージャ先生の講演会を準備中である。

詳しいことは、こちらJCFのホームページで随時お知らせしていくので、チェックしてみてください。

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2010年3月 2日 (火)

農業をもっと魅力あるものに

昨日、安城市の農業の話題を書いたが、諏訪でも農業がちょっと熱い。
先日、就農準備セミナーが開かれ、37人が参加したという。
定年退職後の帰農が大半であったが、20~40代の農業に興味をもつ人が7人参加した。

不況で雇用が減っているなかで、農業に関心が高まり始めているのではないか。
農業は、自然を相手にしながら、やり甲斐がある。
やり方によっては、安城市のように経営的に成り立つ方法もある。
離農者が増え、いったん田畑が荒れてしまうと、元に戻すには時間がかかる。
農業が盛り返せば、農村のコミュニティーも存続でき、上手に販売ルートをつくり、安全な食を提供していけば、みんなからも喜ばれる。
なんとか、若者たちが農業に新しい風を入れてくれたらいいと思う。

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2010年3月 1日 (月)

新しい農業

愛知県の安城市に講演に行った。
安城市は、日本のデンマークといわれているらしい。
碧南美人という高級品のニンジンをつくっている。糖度が高く、生でもおいしく食べられる。
玉ねぎなども自慢だという。
イチジク農家も多い。

農業のスタイルを大規模農業に転換しはじめている。
5~6人で協働経営をしながら、大型の農業器具を入れて効率を高め、営農というシステムを取り入れた。
年収1000万円クラスの農家もではじめているという。
若者たちも魅力を感じて、農業後継者になりたいという人も増えた。

手を泥だらけにするという農業のイメージとはちょっと違う。
若者たちが、音楽を聞きながら、大型トラクターなどを動かしている。
仕事の後は、若者たちが集まって情報交換をしながら、余暇を楽しんだり、勉強したりしている。

今、全国的に農家は高齢化し、後継者が不足している。
4~5年田んぼを放っておくと、その後、手入れをしても、なかなかすぐには田んぼとして復興しない。
だから、できるだけすぐにバトンタッチすることが大事なのだ。

この碧南地方では、荒れた遊休地はほとんどないという。
農家が高齢化して農地を耕せなくなったら、営農の人たちが土地を借り受けて、有効に利用している。
こうした取り組みは、日本の一つのモデルになるのではないかと思った。

農業をやりつづけることによって、地域の自然を守り、安全で安心な食を守ることができるれば、いい風が吹き始める。
こういう不況のときだからこそ、こういう新しい農業の試みが大事なのではないかと思う。

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