足立信也厚生労働大臣政務官と、毎日新聞で対談した。
後期高齢者医療制度を廃止した後の高齢者医療を考える、高齢者医療改革会議の後、政務官室をお訪ねした。
久しぶりにゆっくりと話ができた。
かつて足立政務官は、当時の党首の前原さんや10人ほどの国会議員をひきつれて、諏訪中央病院を視察されたことがある。
そのとき以来である。
彼は外科医である。 2002年に当時の政権が医療費抑制に舵を切り、現場の空気が悪くなっていくのを実感したという。
このままでは医療崩壊が起こると思った。
以前から選挙に出ることをすすめられ躊躇していたが、このまま医療崩壊がおこれば、医師や看護師にとっても、国民にとっても大変なことになると思って、選挙に出たという。
なので、「自分の仕事は医療崩壊を救うこと」という。
今回の診療報酬の改定は、もう少し上げたかったが、0.19%が精一杯だった。
しかし、0.19%以上の効果が出るように工夫をしたという。
燃え尽きそうな医師や看護師たちが、もう一度元気がでるような医療のスタート地点には立てたのではないかと胸を張った。
彼は外科医であるが、外科医も6年ぶりに増加傾向に転じた。
産婦人科は10年ぶりに増加した。
燃え尽きそうになっているドクターたちがもう一度やる気を取り戻すのを後押ししたい、それが国民のためになる、と彼は熱く語った。
「国がどの方向に行くのか、メッセージが伝わりにくく、残念だ」と、ぼくは言った。
「自分は政務官なので、なかなかアドバルーンを揚げるわけにはいかず、忸怩たる思い」と言ったので、「じゃあ、ぼくがときどきこうやって話を聞いて、国民にわかりやすく話しますか」と冗談を言った。
少し、これから日本の医療がいい方向に進むと思った。
◇中医協の診療報酬の改定が発表された◇
政権が変わるということは、こういうことかと思った。
もちろん、多くの医師にとっては、今回の改定は不本意だ。
まず、0.19%のアップというのは、疲れきっている医師たちの期待を裏切った。
マニフェストではもっと大きなアップを表明していたはず。
しかし、すべてがマニフェスト通りにしなくてもいい、とぼくは思っている。
子どもっぽい民主党が、国にお金がなくて、それほどアップできないことに気がつき、大人の判断をしたと思う。
それでも10年ぶりのアップである。
全体としては微々たるアップであるが、中身をみると、強弱がつけられている。
医師の技術料などは1.55%の引き上げをして、ほかで倹約しているのである。
医科の診療報酬は4800億円の増加が実現した。
そのうちの4000億円が救急や産科、小児科などの厳しい条件で働いている医師たちに配分するという。
外科の、難しい手術の手技は、3~5割が引き上げられた。
外科医もなり手が少なくなりはじめていた矢先なので、この大胆な手当ては効果を発揮するだろうと思う。
病院の外来の再診料を、診療所と統一することで、病院はちょっと一息ついた。
開業医に対しては、今回の改定でも、厳しい状態である。
茅野市で地域医療やっていると、24時間体制で治療している開業医が多い。その医師たちの、高齢者医療費を低く抑えようとする誠実な姿を見てきたので、今回も、つらいだろうと思うが、国にお金がない以上は、仕方ない診療報酬の改定だったと思う。
病院の救急や産科、小児科、外科を中心に大胆に手を打った今回の改定は、すずめの涙のような増加で、大きな効果を生むようにした、見事な采配だったと思う。