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2010年3月16日 (火)

オバマさんと鳩山さんの選択ミス

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オバマはピンチに立っている。
共和党と熾烈な戦いをしているエセックス州の補欠選挙で、民主党から共和党へ1議席譲ったため、議会で重要法案を可決するのに深刻な状況に陥っている。
最もダッチロールに追い込まれているのは、医療改革法案である。
もともとクリントン大統領時代に、妻のヒラリー・クリントンが必死に通そうとしたが、夫の支えがあったのにもかかわらず、医療改革は行えなかった。

医療改革法案は通すべきと思うが、この国ではむずかしい。
むずかしいテーマを、オバマはなぜ、一年目に議場に乗せたのか。
ここに大きなミスがあると思う。

それに金融規制。
どちらも大事であるが、どちらもタイミングが悪い。
ほんのちょっと景気がよくなると、アメリカでは、一部の金融会社がべらぼうな収入を得る。
それに対して、オバマの正義感が燃えたのだろうが、今のような不景気のときには、景気をよくするために、多少儲ける人がいてもかまわないと考えたほうがいい。
狭い正義感だけでは、大統領はできない。
オバマが最もやらなければならないことは、景気の回復と雇用の拡大、アフガニスタン戦線の縮小である。まずそれを1年目でやったうえで、信任を厚くし、医療改革を提案するべきであった。
そして、経済がしっかりしたことを確認したうえで、金融規制をすべきだった。
まるでタイミングが悪い。

一方、鳩山さんは、たとえば普天間基地移転問題に手を出すべきではなかった。
外交は、前政権が決めたのだから、変更すべきことはできないと、そのままの路線を守っていくのがいちばんだったような気がする。
どこに基地を移そうとしても、すべての人が納得するとは思えないテーマである。
新政権が、ここに手をつっこめばガタガタするのは決まっている。
そのへんの読みが甘い。

国民は、何から何までマニフェストどおりにやってほしいなんて、思っていないと思う。
景気をよくすること、雇用を拡大すること。
これを軸にしながら、官僚のあり方を見直してほしかったのである。
官僚の力を借りるなということではない。
官僚の数は、先進国の中では少ないほう。
むしろ、優秀な官僚の力を活用するべきだ。
問題は天下りである。ここだけしっかり楔を打つこと。
それ以外は有能な役人にやる気を起こさせ、政治主導でやっていくシステムができればいいだけの話である。
ぼくは厚生労働省の役人とつきあってきたが、みんな誠実で有能で情熱をもった人たちが多かったように思う。

写真は、雪の岩次郎小屋にやってきたドバト

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