さよなら上条食堂
上条食堂は、カマタが愛用してきた馬刺し屋さんである。 夫婦できりもりし、驚くほどうまいものを出してくれる。
57年間、みんなに愛されてきたが、今年2月、とうとう幕を閉じた。
たびたび本にも書かせてもらった。
本を読んだ人が、東京や関西から予約を入れたという。
2月の最後の日、家族を連れて、最後の上条食堂を訪ねた。
まずは馬刺しを食べた。
純粋な赤みである。
脂身が一切ない。
グリコーゲンが多く、脂肪分が少なく、うまみたっぷりで、4歳の孫ももりもり食べた。
そして、まるごと煮た鯉。
骨まで食べられるほどやわらかい。
かつてフランス人を連れていったことがあったが、絶品だと感動していた。
いんげんのしょうが焼きと馬のステーキ。
最後は馬のすき焼きである。
〆は、のりがあふれるほどのお茶漬け。
ちょっとすっぱくなりはじめた野沢菜の古漬けとたくあん。
親父さんは86歳。
何度もやめようとしてきたが、お客さんたちからやめないでといわれて、なかなかふんぎりがつかなった。
胃の病気で手術をした。
大動脈の病気も、心臓の冠動脈の病気も起きたが、全部うまくクリアしてきた。
ぼくは、36年、この夫婦をみてきた。
永六輔さんが、何度も信州に講演に何度も来てくれたのは、ここの馬刺しを食べたいからだという。
本当に上条食堂がなくなってしまうのは、残念。
今まで、たくさんのおいしいものをありがとう。
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