鎌田實の一日一冊(56)
『大島渚と日本』(四方田犬彦著、筑摩書房)
大島渚論である。
平幹次郎や黒澤明、北野武と違って、大島渚にとって、日本という主題がいかに抜き差しならぬ本質的なものであるかを、著者は訴える。
なるほどなと思った。
ぼくは、大島渚の映画はほとんど見ている。
「日本の夜と霧」や「新宿泥棒日記」「絞死刑」「無理心中日本の夏」、当たり屋一家事件をモデルにした「少年」という映画も「儀式」という映画も、みんな日本という国を見つめているような気がする。
これらの映画を新宿シアターでよく見た。
小津安二郎や黒澤明はそれぞれのスタイルが一貫しているが、大島渚は毎回スタイルが変わる。
ここがセンセーショナルなところ。
ファンを欺くのがうまい。
予想させないようにしている。
漫画を使ったり、ドギュメンタリータッチにしたり、唐十郎を使って芝居がかった演出をしたり、まるで台詞劇のようにしたり。
大島渚の映画は、どれも刺激的である。
1996年、ロンドンで倒れ、その後「御法度」で復活するが、再び病状が悪化。
大島渚ファンとしては、あと2本くらい彼の映画をみたいと思う。
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