鎌田劇場へようこそ!(38)「抵抗 死刑囚の手記より」
以前、「海の沈黙」という映画を紹介したが、「抵抗 死刑囚の手記より」も1956年のフランスの名画である。
監督はロベール・ブレッソン。
ドイツ軍の占領下、レジスタンス派のフランス軍中尉が、ドイツ軍につかまり、独房から脱走を試みる物語である。
牢獄の外のことはすべて省かれているが、実に魂がふるわされる映画になっている。
占領されてもあきらめない強い意志がある。
ジャン=リュック・ゴダール監督が、「ドストエフスキーがロシアの小説に、モーツアルトがドイツの音楽に占める位置を、ブレッソンはフランス映画に占めている」と語っている。
なるほどと思う。
フランス映画的なのだ。
ぼくはポーランドのアンジェイ・ワイダが好きだが、「灰とダイヤモンド」などはやはりフランス映画とは違う。
ゴダールが言うように、「抵抗」にはフランス映画の伝統のようなものが流れ、それがゴダールの作品へとつながっていくのがわかる。
ヨーロッパは一つの国になろうとして模索しているが、それぞれの国の伝統や文化はみんな違う。
岩波ホールでは、「海の沈黙」や「抵抗」などの古い名画を掘り起こしている。
現在は、岩波ホールでの上映は終り、各地でいくつか上映が予定されているようだ。
映画というと、どうしても新しい作品に目がいきがちだが、世界が認めた名作もいい。
発表当時、何らかの事情で日本では公開されなかった映画をみられるというのは、映画好きにはたまらない。
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