涙腺のテロリスト?
『空気は読まない』(集英社)に、柏原病院小児科再生の物語を書いた。
地域医療が崩壊しはじめ、ある小児科医が病院をやめようとしたとき、地域のお母さんたちから「ありがとう」と言われ、踏みとどまった。
たいへんな状況を抱える小児科医療のなかで、地域住民の「ありがとう」が奇跡をおこした病院である。
「小児科を守る会」が発足して3年が経った。
それは、小児科医、和久先生にとっても、「小児科医・医者としての志が救われて」3年が経ったことを意味する。
和久先生は、「小児科を守る会」のブログにこんなコメントを書いている。
「丹波は自慢のふるさとになりました。ありがとうございます。ほんとうにありがとうございます。
よくばりですが、次はぜひ、自慢できる日本になればいいなと思います」
和久先生は自分や自分の病院だけでなく、日本のことも考えている。
医師としての志が高い。
『空気は読まない』のことも書いてくれた。
「『空気は読まない』をご存知でしょうか?(中略) 読む人読む人をところかまわず泣かせてしまう本だそうです。(いじめ本? 「涙腺のテロリスト? よっ鎌田先生!」(笑)」
「守る会のことも書いてあるので、またまた日本に医療再生の種が、人々の心の中にまかれるといいなと思います。
そしてそれぞれが大切に育てて花を咲かせてほしいと思います。
医者も住民も、田舎も都会も関係なく。
温かい時代がくることを願いたいです」
ぼくも同感である。
柏原病院の「ありがとう」には、今の日本の医療を救う大きなヒントがあると思い、熱い気持ちで書いた。
和久先生から、3周年を記念してメッセージをほしいといわれた。
ぼくは、「守る会は地域の宝。いや、日本の宝である」というメッセージを筆で書いて送った。地域に支えられている、和久先生は日本一幸せな小児科医だ。
http://mamorusyounika.sblo.jp/category/466501-1.html
すぐに和久先生から、泣きながら読みました、と返事が来た。
『空気は読まない』は、女性だけでなく、よく男性の読者から「泣けました」という声をいただく。
「涙腺のテロリスト」という言い方、ちょっと気に入ってしまった。
和久先生から、ぜひ丹波へお越しくださいと、お声をかけられた。
2年前、柏原病院の近くで、坂田明と鎌田のコンサート&いのちの講演会を開いたが、とても盛況だった。
いずれ、また和久先生をお訪ねしたいと思っている。
写真は、緑が鮮やかな岩次郎小屋
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